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追放ものに転生した。ただし、ざまぁされる側らしい  作者: 流石ユユシタ
第1章 追放編

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第13話 逆ハーレム要員

 ルディオ・ローゼンベルク



 現在は15歳で公爵家の嫡男、カッコよくて、Sランク冒険者という強さと財力、ルックス全てを兼ね備えている男だ。



 ただ、少し欠点があるとすればオラオラしており喧嘩を売る所だ。無論、弱いやつに向かってカツアゲとかはしないのだが、強い奴を見つけると喧嘩を売りに行ってしまう。


 俺としてはあまり好きではないなとアニメを見て思っていたのだが……意外と女性人気は高いらしい。



 あぁ、確かにヤンキーとかってモテてたような記憶がある。アニメを見ていた時は作者の好みかと思ったがそうではないのかもな。ちゃんと需要を考えてあの様なキャラ造形にしていたのかもしれん。



 

「ミクスさん、今日はどんな依頼ですか?」




 シエラが俺に依頼について聞いてくる。俺は少し早足をしながら彼女に答える。



「あぁ、今日は昨日と同じく清水を取りに行くぞ。なんでも、ここ最近はアンデッドが沢山現れるみたいだからな。かなり需要があるらしい」

「そう言えば確かにそのような噂が……分かりました!」






 実はアンデッドが増えているのは人為的なのだが、それは今考えるべきことではないな。それよりも今日は少し遅刻してしまったからな。



 さっさと清水のある湖に向かわなくてはならない。だって、湖にはあのルディオがいるからだ。




 そんな大事なイベントが控えていると言うのに俺は寝坊をしてしまった。その理由はあの狐2匹だ。



 あの狐2匹は、感動の再会をしたのをいいことにベッドでFOXしてやがった。本当になにやってるんだよ、こいつら……




 一応ね、こっちは主人ですよと? 主人の部屋をいきなりラブホ代わりにするなよ!!!!



 ルディオのことより今こっちで頭いっぱいだわ!! いや、何をやってるん? ベッドでFOXするなよ。



 しかも、念話が使えるシエラが言うにブラックは関西弁、ホワイトはアニメ知識からツンデレ口調であると俺は知っている。


 関西弁とツンデレ口調のFOXは相当うるさいだろ。俺には鳴き声しか聞こえなかったが内心も聞こえているシエラは相当疲れて寝れなかっただろうな。





「シエラ昨日はよく眠れたか?」

「いえ、全然。でも、朝はよく眠れました!」

「あ、そう」





 正直、俺も朝2度寝のような感じで眠りについた。だからこそ、思っていたよりもサリアの町出発が遅れてしまったのだ。



狐2匹マジで許すまじ……。




 だから、今は結構な速さで湖に向かっているだけども……シエラが平気な顔でついて来ているのが気になっている。





「結構急ぎますね。何かあるんですか?」

「ほら、ホワイトもシエラが一緒じゃないと不安かなと思ってさ。早く依頼を終えて帰ってあげたいだろ」

「……別に私が居なくても平気だと思います。もう、性の喜びを知って、子供欲しいとか言ってますし。あー、はいはい、恋人いてもう結婚の話もできて羨ましい限りですね、まぁ、別に私はいいんですけどね? 独り身ですけど、別に」




 

 あれ、思っていたよりも、いや、どう考えても険悪な感じになっているのか? だがしかし、冷静に考えたら……



 自分と同じ境遇だと思って拾った狐が、別の狐とFOXしてて。それは昔の婚約者で、関西弁の狐とツンデレな口調でFOXされたら誰でもいいイメージ持たないな。



 俺はブラックと付き合い長いから家族ができるのなら、まぁ、しょうがないとかは思うぞ。だとしても、ちょっと思うところはある。



 でも、彼女は拾った日の夜だからなぁ。これは険悪な仲になってしまうと本来のアニメの流れから大幅に外れてしまうだろう。


 それは良くないだろうな、うん。





「あ、モンスター。えい!」





 湖に向かうまでにモンスターが現れるのだが、彼女が拳で風穴を開けて、数メートル吹き飛ばす。


 おっと、既にステータスを完全に自分の物にしているようだ。




 ふむ、アニメだとモンスターとの戦闘は勝てないから基本逃げていると言う感じだったのだが。まぁ、いいだろう。ここはアニメと同じじゃなくても良し! 俺がゆるーす!




 ステータスは彼女はいくら高くても問題ないよ。多分だけど。




 さて、清き森を超高速で駆け抜けていくとあっさりと湖に着く事ができた。綺麗に住んで湖、昨日も見たが今日は昨日とはなんだか違う感じがする。


 何だか、肌がピリピリとする様な感覚と言うべきか。常に全身が静電気に当てられている様な気がする。



 おいおい、これがSランクの覇気ってことか?






「あ? 誰だ……? お前ら」





 湖の前に1人の男が立っている。身長約180cm、逆三角形体型の筋肉質。


 ワイルドに伸ばした金髪、後ろで無造作に束ねている。そして、瞳は燃えるような琥珀色。あと、イケメン……くっ、イケメンは死ねやと思ったが、俺も一応イケメンだった。




 だが、格が違うと一発でわかる。確か、ステータス平均値が20000近い。スキルも強力であり、戦闘センスも抜群なのだ。






「ミクスさん、さっさと依頼を済ませてしまいましょう」




 あれ。無視か……あっちはこちらに話しかけて来ていたと思うんだけど。興味なしって感じなのだろうか。




 だが、そうは行かないのだな。





「なんだ、この美しい女は……」





 ルディオはシエラに一目惚れをしたらしいのだ。まぁ、ここは説得力があるよな。シエラは確かに顔が可愛いのはある。



 ルディオはすぐさまこちらに歩み寄ってくるのだが、どうやら俺のことは視界に入ってないらしい。



 ふっ、まぁ、当然だな。


 


「オレはルディオ・ローゼンベルク。公爵家ローゼンベルクの嫡男だ。どうか、名前を聞かせて欲しい」

「……モモタロウと言います」

「モモタロウ……美しい名だ。まるで、お前を表す様だ」




 おおぃ!? シエラ、なんで嘘を言った!?  モモタロウは前に俺が話した童話の主人公の名前だろ?


 それとルディオ君!? それは別に表してないよ!?




「どうだ? 一緒に茶でも?」

「いえ、遠慮します。依頼中ですし」

「それなら」

「依頼終わっても無理です」

「え、あ。そうか」





 いや、返事早い……あれ、こんな感じだったかな? でも、アニメでも最初は断ってたしな。



 ルディオが一目惚れをしたと言っても、黒い髪と青い瞳で差別を受けて来た彼女は適当に言われていると思ってしまうんだったな。



 そこから、時折出会う事が多くなる……と言うより同じ町を拠点にしてるから出会うことも多くなるんだったな。シエラは町で見かけた時も話しかけたりはせずに知らんぷりをしたりするらしいけど。



 しかし、一目惚れをしたと言うルディオが徐々に迫って来て……



 まぁ、ファンが見たがっている恋愛模様が繰り広げられるんだけど……。シエラは最初は偽名を言ってたかな?


 いや、別に言っても良いんだけどさ。



 ちゃんとアニメだとシエラと言ってた気がするんだけど。




「モモタロウ。オレも依頼で来たのだが……お前も1人か? 帰りは危ないだろう。オレが守ってやってもいいぞ」

「いえ、大丈夫です。それに一緒にパーティー組んでる方もいますので」

「あ、こいつか? 顔は良さげだがパッとしねぇ」

「……」




 あ、シエラがすっごい嫌そうな顔をしている。うーむ、シエラは俺に恩義を感じているし、恩人に対しての無礼が許せなかったのか。


 しかし、ルディオはこう言うキャラだからな。所謂、気を使わないし、やんちゃで喧嘩をしてしまうキャラ。



 うーん、女性主人公の恋愛物語とかってそんなに読んだわけじゃないが、こう言う不良キャラとか、不真面目、ヤンキーとかってかなり多いんだよな。


 まぁ、男子と女子ではターゲット層が違うだろうから共感できなくてもいいだろうけどさ。やはり、これなら他国の王子が俺はおすすめだ。



 ただ、不良少年とか悪い感じの子が徐々に性格改善とかされていく過程が好きと言う人はいるだろう。ヤンキーが猫に優しくすると良く見えるように、最初はヤンチャな荒くれ者が、徐々に穏やかで真面目になっていくみたいなのが好まれていた気もする。



 まぁ、俺は最初から最後まで真面目な人間が好きだけどな。だって、ずっと真面目な人って評価されづらいじゃない? そう言うのがあるから、こう言う人間は苦手というのもあるけど。



 ただ、この子はシエラと同じで15歳。15歳の少年だ。


 パーティーで過ごしていた救済の光の面々とは違う、あいつらは俺と同じで22歳だった。大人ならしっかりしろと思うけど……



 15歳なら俺の世界なら中学3年生、子供だし未成年だ。



 こんな子供にいきなり礼節をちゃんと使えとかは、逆に大人気なく器もたかが知れるという物だろう。



 それに元々、この子は公爵家のSランク冒険者でもある。立場的にはこちらが下であるのは間違いない。





「お初目にお目にかかります。ルディオ・ローゼンベルク様、まさかSランク冒険者であり公爵家の嫡男という輝かしい肩書を持つ貴方にご挨拶をできるとは、感激です」

「……あぁ、別に固くしなくて良いぜ。それよりモモタロウ」

「……あ、私ですか」





 おい、シエラ。自分でモモタロウって言ったのに忘れてただろう。しかし、シエラは本当にルディオに対して興味なさげの言動だな。


 まぁ、アニメでもそこまでと言うか、一線引いていたイメージもある。



 顔が互いに知られただけで良しとするか。




「この後、暇か」

「いえ、彼と一緒に依頼をこなした後、夜まで用事がパンパンです。明日も明後日も、1ヶ月先まで入ってますね」

「それなら、2ヶ月後は」

「1ヶ月後まで予定が入ってると見せかけて、1年後まで入ってます」

「……あ、そう。ふ、このオレをここまで無碍にするとは面白い女だ」





 面白い女!? 初めて生で聞いたよ。そんな言葉は……ふふ、こんなコテコテのセリフを言う奴がいるんだな……ふふ。



 コテコテ……ふふ、コテコテ……(ちょっとツボに入った)





「さぁ、さっさと清水を取ってしまいましょう」

「そうだな」





 シエラがあっさりとした反応なのが気になるけど……。だがしかし、アニメ通りの展開だな。




「ふっ、本当に面白い女だな。また会おう、モモタロウ」





 面白い女……ふふふ、コテコテやな。しかし、ルディオは本当に強そうだったな。とんでもない金持ちだし、確か年収は白金貨150枚だったか。



 白金貨は1枚で100万円くらいだからな、1億5000万……1億5000万!? とんでもない金持ちやんけ!!


 ほぇー、すげぇわ。正直、金持ちなら将来食いっぱぐれないだろうし、ルディオでも悪くないか……?



 他国の王子の方がいいけどな。






「はぁ、ミクスさんあの変な人は帰った様ですね」

「変な人、と言うか公爵家の嫡男だけど」

「公爵家だろうと金持ちだろうと、Sランクだろうとどうもでいいです。あの人ミクスさんをパッとしないとか……最悪ですね」

「いやほら、まだ彼も若いじゃないか」

「若いとか関係ないです。腹立つわー。ほんまに、なんやねん、あいつ」




 敬語崩れちゃってるよ。あと、関西弁ちょっと移っちゃってるよ。本当にブラックって関西弁だったんだな。



 まぁ、俺を庇ってくれている様なのは嬉しいけど。




「ミクスさん、あいつステータスが高いことを誇っていた様ですけど。私達はステータスアップの木の実を大量に食べて一気に抜いてやりましょう。今後もああ言う、マウントをとってくる人が来るかもしれないですし。私もガンガン上げて、年収だってどんどん上げます、そうしたら次言われたら私が逆にマウント取ってやります」

「あ、そうなんだ」

「爵位も手柄あげたらもらえるかもしれないですし」

「いや。俺はいいかな。飲食店とか開くと騒々しくなりそうだし。難しくなるかもしれんし」

「……確かに爵位は本当にいらないですね。私も飲食店を開くのが夢でして(大嘘)」

「え。そうなのか」



 あれ、そんな設定あったかな……。まぁ、アニメの1クールまでしか見てないからな。


 実はそう言う設定があったのかもしれんな。2クール目とかで発覚するとかそう言う流れなのかもしれない。




「はい、私は飲食店を開くが夢でした」

「へぇ……そうだったのか。知らなかった。因みにどんな料理を出そうと思ってるんだ?」

「……え? あ、えと、リンゴとか、イチゴとか」

「ほう、フルーツ系……どっちかと言うと八百屋ってことか?」

「……飲食店ですね」

「でも別に料理とか加工とかはしないんだろ」

「まぁ、でも、飲食店ですね」




 飲食店なのか。まぁ、俺としては強力なライバルが現れたと思うべきか。俺としてはひっそりとした喫茶店にしたいと思うから、場所は違うところで開いた方がよさそうだな。


 豊穣の女神の隣の飲食店は流石に、ひっそりなんてありえない。




「そうか、応援してるぞ」

「はい!!」




 清水を確保した後、ステータス木の実を沢山摂取したシエラと一緒に俺達はサリアの町へと帰還した。



『前回のステータス』

【シエラ】

【ステータス】

【レベル】20

【生命】2300

【魔力】1900

【攻撃】2100

【防御】1500

【俊敏】1650




『今回のステータス』

【シエラ】

【ステータス】

【レベル】20

【生命】3900

【魔力】4000

【攻撃】3000

【防御】2580

【俊敏】2240








 やっぱりチートだな、この子は……ルディオが正直可愛く見えるくらいにこの子は凄まじい。






「今日はイライラしてるのでもっと食べます」





『今回のステータス(イライラによるやけ食い)』

【シエラ】

【ステータス】

【レベル】20

【生命】5320

【魔力】4780

【攻撃】4120

【防御】3290

【俊敏】3650






 ……こ、こいつはやはりチート主人公だわ。

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