綾乃、告白される
公募のための練習作品です。
起承転結を意識して書きました。
【起】
早朝の通学路。日差しがポカポカと暖かい春の陽気。
学校へ向かい歩いていると、クラスメイトの鷹野さんと伏見さんが走り回っている。
(いつも元気がいいな)
思わず、クスッと笑ってしまう。
そして校門を通り抜けて、下駄箱にに向かう。
靴を脱いで下駄箱にしまおうとしたら、手紙のような物が落ちてきた。
(またですか……)
とりあえず鞄にしまって教室に向かった。
【承】
クラスの自分の席に着くと、周りの様子を見て鞄から手紙を取り出す。
そして裏表を確認するが、差出人の名前は書いていなかった。
(はぁ〜、面倒ですわね……本当にわたくしのことを好きな人だけならともかく、財産目当ての人もいますしね)
本気なのか、財産目当てなのか、わたくしには判断がつかない。でも今は恋をしたいとは思わない。ストレートに断るべきですわね。
断ることを決意して、授業を受けた。
休み時間になり、手紙、いや内容的にラブレターに指定されていた屋上に来た。
屋上は立ち入り禁止で、入れないはずなのにドアが開いていたことが不思議である。
風に髪を靡かせつつ、相手を待っていると、ガチャリとドアの開く音がした。
その方向に視線を向けると、クラスの担任である鈴木先生だった。
【転】
短髪でスーツ姿の鈴木先生と目が合う。
わたくしは、生徒が立ち入り禁止の屋上にいるところを先生に見られてしまい、慌てる。自分の立場的にも、わたくしのことを好きになってくれた人の立場的にも、どう言い訳をするか……。
だが、鈴木先生から出た言葉は、予想もしなかったことであった。
「二条……来てくれたんだね」
「?」
言葉が出なかった。状況は理解できた。だが、自分が予想をしていなかった状況であった。
まさかラブレターの相手が、クラスの担任とは、思いもしなかった。
「下駄箱に手紙を入れたのは、鈴木先生ですか?」
「ああ、そうだ。一目見た時から、ずっと好きだった」
あえてラブレターとは言わずに確認したが、先生の方から好きということを自白してきた。確認が取れたので即答する。
「わたくしは恋愛に興味はありません」
「よく考えてくれないか? 成績をつけているのは俺だぞ」
脅しのような言葉に、呆れてしまう。
「わたくしの父がPTA会長ですが、それを知っての上でのお言葉でしょうか?」
それを聞いた担任は、青ざめている。震える唇から言葉を発する。
「両想いならいいじゃないか‼︎」
「両想い? 先程申し上げた通り、わたくしは恋愛に興味はありません」
その言葉が余程聞いたのか、がっくりと項垂れる。
これ以上、ここにいると危険を感じるので、「では失礼致します」とお辞儀だけして屋上を後にした。
【結】
教室に戻り、残りの授業を受ける。
その中で鈴木先生の授業もあったが、どことなくぎこちなさと落ち込みを感じる。
今までも何度も告白されたが、まさか先生から告白されるとは……。
今後、どのように接するか、悩みますわ。
気になる所がありましたら、コメント下さい。
今後の技術力を向上させるための参考になります。
※特に起承転結がおかしければご指摘下さい。




