出発
早速のブックマーク 有り難うございます。
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「パパ。この指輪を異能を使って、7個ほど増やして。」
「別に良いけど……どうして?」
「この指輪はね、幌馬車に取り付けてられてる【マジックウインド シールド】の鍵みたいな物なの。
これを持ってれば……【マジックウインド シールド】を素通りしたり、
【マジックウインド シールド】を展開させたり、解除させたりする事が出来るの。
だから、私とパパ。ヨロズコちゃんとゼロイチ君。ミケトラにコルドマ。それと……ポチコとジョンロウ用の物が必要なの。」
「了解。
だけど……ミケトラやコルドマ。ポチコやジョンロウに渡しても……保管する事が出来る?
それに……【マジックウインド シールド】を展開させたり、解除させたりする機能もあるんでしょう?
ポチコやジョンロウ。ミケトラにならまだしも……
コルドマにまで渡しても問題無いの?」
「それな。
ヨロズコちゃんが、錬金術を使って、ハーネスと紐を結ぶ輪っかの部分にしてくれるの。
それと……コルドマに渡す指輪に関しては、トラブルが発生しないように、
私が責任をもって【マジックウインド シールド】を展開させたり、解除させたりする為の術式を消しておくから安心して。」
僕の話を聞いた嫁が、得意気な顔で答えてくれる。
「了解。
直ぐに、7個、増やすよ。」
「宜しくね。」
嫁は、そう言うと、【指輪型のマジックウインド シールドの鍵】を、僕に渡してくれた。
■■■
「ほな。説明するで。」
幌馬車の前に集まった、僕達を見ながら、ヨロズコちゃんが話を始めた。
「まず、御者台の下は、マジックボックス化した収納スペースになってるんやけど、ここには……
大型のサイドシート付きのタープテントをバラした物を入れた革の袋と、
ポチコとジョンロウ用のテント生地で作られた折り畳み式のクレート。
大型の焚き火台や七輪・焚き火ハンガー等を入れたマジック ボックス化した鉄箱と、
折り畳み式の椅子やテーブルをバラした物を入れた、マジック ボックス化した木箱と、
調理器具等を入れた、マジックボックス化した鉄箱を入れてる。」
ヨロズコちゃんは、そう言うと僕達を見る。
そして、僕達が頷くのを見て、再び、話を始めた。
◇◇◇
「御者台の左右にカンテラと……革の袋を掛けてるのは見えはるよね?
この革の袋の中には……汲み取り式の仮設トイレを封印してるんや。
封印した入れ物から、物を出し入れする時は……
マジック ボックス化した入れ物と違って、出し入れする度に、マナを消費する事になるんや。
そんかし……マジック ボックス化した物よりも……入れられる容量が、滅茶苦茶、大きくなるんや。
因みに、普通に、汲み取り式の仮設トイレを馬車に積み込んだら……
馬車の中の半分近くは……汲み取り式の仮設トイレが陣取る形になる。
せやけど……そうなったら……
ウチ達か商品かのどちらかしか乗られへん。
せやから、汲み取り式の仮設トイレは、革の袋に封印する事にしたんや。」
ヨロズコちゃんは、そう言うと僕達を見る。
そして、僕達が頷くのを見て、再び、話を始めた。
◇◇◇
「じゃあ……荷室 兼 客室について説明するな。
まず、幌馬車の大きさは、
縦が約6メートル。横幅が約1.5メートル。高さが約4メートルあるんやけど……荷室 兼 客室の高さは約3メートルになる。
でっ、その内の2階部分は、20センチの床板を含めて約1メートルになる。
因みに、この世界の運び屋や行商人用の馬車としては、サイズも形状もスタンダードなものになるらしい。
そんでもって、通常、2階部分は、幌馬車を所持してはる運び屋や行商人の寝室 兼 私物置場等として利用されはるスペースらしい。
まぁ……ウチ達に関して言えば、睡眠が必要なんは、クルサルさんとミケトラだけやけど……
2階部分には、クルサルさんとサモナブさんとゼロイチとウチの寝袋と、この世界の無線機。
ミケトラとコルドマが普段から使ってはる、テント生地で作られた折り畳み式のクレートが置いてある。
それと……ウチ達の私物や【人外地の標準装備】なんかも、このスペースにを置く予定や。
でつ。ミケトラとコルドマには、悪いんやけど……
1階の荷物や商品を含めて荷物の番をしつつ、幌馬車の後方を警戒して欲しいんや。
宜しゅう頼むで。」
ヨロズコちゃんは、そう言うと僕達を見る。
そして、僕達が頷くのを見て、再び、話を始めた。
◇◇◇
「1階部分の前半分は、
クルサルさんとゼロイチの乗車スペースや、マジック ボックス化した木で作ったゴミ箱。それと……アーモン達を含めた、ウチ達の水や食糧や木炭を入れたマジック ボックス化した木箱や樽を置く。
ぶっちゃけ、サモナブさんのエコバッグと、クルサルさんとミケトラの異能があれば、水や食糧や木炭を入れたマジック ボックス化した木箱や樽は不要な気もするけど……普通の行商人のフリをする為の小道具やと考えて欲しい。
それと……
ウチが育てたじゃがいもやトマト。ウチが作った薬や乾燥させた薬草や山菜に木炭。それと……干し肉や川魚の干物にドライフルーツの一部をマジック ボックス化した木箱の内、後方の1/3のスペースに置いてある。
これは……ウチ達用のやない。
今回、ウチ達が行商人に偽装して旅をする為の商品や。
以上。の筈なんやけど……
サモナブさん。申し訳ないんやけど、ウチが説明し忘れてる事があれば、補足して欲しい。」
ヨロズコちゃんが、モジモジしながら、嫁の方を見ている。
「説明。ご苦労様。
敢えて付け加えるなら……
馬車の運転と助手は、私とヨロズコちゃんが交代でするつもり。てっ事と……
エコバッグについては、中身を直ぐに取り出したいから、幌馬車の2階には置かずに、パパに預かって貰う。って事と……
武器については、2階には置かずに常に携帯しておく。って事をパパに伝えるぐらいかな。」
嫁が、そう言いながら、小動物のような感じになっているヨロズコちゃんの頭を撫でている。
◇◇◇
「サモナブ殿。ヨロズコ殿。
荷物の積み込みと説明。有り難うございまする。
ヨロズコ殿。疲れてるところ申し訳ないでございまするが……
ウシュとバテソーロを小瓶に封印し、アーモンとドアイを幌馬車に繋いで欲しいでございまする。」
ゼロイチ君が、嫁とヨロズコちゃんを労った後、申し訳なさそうな顔で話す。
「ウシュとバテソーロを小瓶に封印するのは私がするわ。
ヨロズコちゃんは、アーモンとドアイを幌馬車に繋いで。」
「了解。」
嫁の指示にヨロズコちゃんが頷く。
■■■
「出るで。
悪いんやけど、ゼロイチ。
念力で資材置場から外に出る為の扉を開けてくれへんか?」
「心得たでございまする。
ふん。」
【カコン】
【ギィィィィィー】
ガレージの両開きの大きな扉の閂が外れると、
ガレージの両開きの大きな扉がゆっくりと開き始めた。
【ビュォォォォォォー】・【ビュォォォォォォー】
【ビュォォォォォォー】・【ビュォォォォォォー】
【ビュォォォォォォー】・【ビュォォォォォォー】
ガレージの中に風と雪が吹き込んでくる。
幌馬車には【マジックウインド シールド】が取り付けられている為、御者台や室内に風や雪が吹き込んで来る事は無いらしいが……
雪が積もった道を……幌馬車で移動する事が出来るのだろうか……
「雪が止むまで出発を延期するでございまするか?」
「ウチは大丈夫や。
ポチコ。ジョンロウ。アーモンとドアイの先導は出来そうか?」
『問題無いぞ。』×2
ヨロズコちゃんの質問に対する、ポチコとジョンロウの返答が携帯から聞こえてくる。
「了解。
ミケトラ。荷物の番と後方確認は出来そうか?」
『問題無い(にゃい)にゃ。』
ヨロズコちゃんの質問に対する、ミケトラからの返答が携帯から聞こえてくる。
「コルドマ。
寒過ぎて、死んだりしやんやろな?」
『クレートの中に入れてくれた、エマージェンシーシートと毛布とカイロケースに入れてくれたカイロ。
それと……クレートを包んでくれているダンボールのお陰で、クレートの中はヌクヌクだよ。』
ヨロズコちゃんの質問に対する、コルドマからの返答が携帯から聞こえてくる。
「ちゅう訳や。出すで。」
ヨロズコちゃんが、そう言いながら、ゼロイチ君を見る。
「宜しく頼むでございまする。」
ゼロイチ君は、そう言いながら頷いている。
「『任意設定』。」
僕は、異能を発動させる呪文を唱えて、ゼロイチ君達が住んでいた小屋の原状を……
僕と嫁が、転送される前日の原状に戻しておいた。
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