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追放された行商人が異世界への扉を開くまで  作者: モパ
追放から始まる新生活
3/38

追放

「ようこそ、選ばれし勇者達。



私は、皆様を召還した、カリーナ帝国を含む、この地域を統べる、神仏の代理人の1人。ニンムシュと言う者でございます。



今、この世界は、悪しき者達の手に堕ちようとしております。


私としては、選ばれた存在である皆様に、私が治める地域のみならず……この世界を救って頂きたいのです。



そこで、皆様には、取り急ぎ、【計測の玉】を、お渡ししていきます。


因みに、この【計測の玉】で、皆様が、

何れぐらい素晴らしい方々なのかが、具体的に判明する筈です。



ですから、どうか、ご協力の程、宜しくお願いします。」



気がつけば、体育館ぐらいの広さの部屋に居た。


そして、体育館のステージ台のような場所から、綺麗な、お姉さんが透き通るような、よく通る声で語りかけて来た。



周りを見渡したら、直ぐ隣に嫁が居るのが確認する事が出来た。


そして、僕達と一緒に召還されたであろう人達が、100名ぐらい居る事も分かった。



嫁は、体育館のステージ台のような場所から語りかけて来ている、綺麗な、お姉さんをジッと見つめながら、僕の手を握ってくる。


そして、その手が……小刻みに震えている。



その理由は分からないが……


何となく、体育館のステージ台のような場所から語りかけて来ている、綺麗な、お姉さんが、僕達にとって好ましくない存在のような気がした。



そんでもって、不思議なのは、

僕達以外に召還されたであろう人達が、トロ~ンとした目をしながら、体育館のステージ台のような場所から語りかけて来ている、綺麗な、お姉さんを見つめている事だ。



「『自動設定(不壊タイム)』×4」


僕は貰いたての異能の能力の1つを、嫁と自分に使ってみた。


これで、少なくとも……いきなり殺されるような事にはならない筈だ。てか……そうであると……信じたい。



■■■



「皆様に【計測の玉】が行き渡りましたね。


この場に、ご家族や、ご友人達と一緒に来られてる方も大勢、居られるかと思います。


そういった方々の【計測の玉】と、ご自身の【計測の玉】を合わせて下さい。」



【カチン】



僕と嫁は、取り敢えず、自分達に配られた【計測の玉】を合わせる。



【カチン】・【カチン】・【カチン】・【カチン】

【カチン】・【カチン】・【カチン】・【カチン】

【カチン】・【カチン】・【カチン】・【カチン】



あちこちから、【計測の玉】を合わせる音が聞こえてくる。



■■■



「では。


【計測の玉】が赤色のみの方。


申し訳、ございませんが……我々の手違いで召還してしまった、選ばれていない存在でございます。


とはいえ……【計測の玉】が赤色のみの方に落ち度は、ございません。


私の治める土地で、民の一員として暮らしていけるよう、3ヶ月間程、支援させて頂きます。


申し訳ございませんが、その間に、生活基盤を整えて下さい。



具体的な支援等につきましては、そこの者が中心になって行います。


ですから……彼女の元に集まって下さい。」



「【計測の玉】が赤色のみの方!

こちらへ、お集まり下さいませ!」


中世のヨーロッパを舞台にしたファンタジーの世界に出てきそうな、革の鎧を着こんだ、人懐っこそうな、お姉さんの呼び掛けに、

赤色のみの光を放つ【計測の玉】を持った人達が、トロ~ンとした目のまま、彼女の元に集まっていく。



◇◇◇



「では、次。


【計測の玉】が、赤色と黄色が混ざっている方と黄色のみの方は、

我々の手違いの方々と、召還する程の方々か?と問われれば微妙な方々になります。



とはいえ……【計測の玉】が赤色のみの方と同様、皆様に落ち度は、ございません。



私の治める土地で、民の一員として暮らされるのか、

末端の者として、この世界を救う為に働いて頂くのかにつきましては……


要相談になりますね。



具体的な事につきましては、そこの者が中心に行います。


ですから、彼の元に集まって下さい。」



「【計測の玉】が赤色と黄色。及び、黄色のみの奴は、俺の元に集まってくれ!」


中世のヨーロッパを舞台にしたファンタジーの世界に出てきそうな、金属の鎧を着こんだ、イケメンのお兄ささんの呼び掛けに、


赤色と黄色。黄色のみの光を放つ【計測の玉】を持った人達が、トロ~ンとした目のまま、彼の元に集まっていく。



◇◇◇



「次に【計測の玉】に青色が混ざっている方。及び、青色のみの方。


青色以外の色が混ざっている方の中には、我々の手違いの方々も混じられているかとは思いますが……

青色のみの方々については、我々が求めていた勇者様となります。



但し、緑色が混ざってる方。もしくは、緑色のみの方は別です。


我々の仲間になる資格はありませんので、追放刑に処します。



そして、喜ばしい事に、

今回に限っては、誰かと【計測の玉】を合わせるまでは緑色ではなかった方が居ない。という事ですね。」



体育館のステージ台のような場所から語りかけて来ている、綺麗な、お姉さんが、そう言いながら、僕と嫁を睨みつけてくる。



確かに、僕と嫁の【計測の玉】は、どちらも緑色のみだ。


ただ、僕も嫁も、望んで、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に来た訳でもない。


彼女が、僕達のなにを気に入らないのかは分からないが、【計測の玉】が赤色のみの方と同様、僕達にも落ち度は無い筈だ。



【パァァァァァーン】



そんな事を考えていると、僕と嫁の【計測の玉】が、光り輝き始めた。



◇◇◇



「パパ。

また、何処かに転送されるみたいよ。

持続設定(無敵タイム) を掛けて。」


「『持続設定(無敵タイム)』×2」


僕の手をギュと握りしめながら話す嫁の言葉に、僕は理由も聞かずに従う。


「棚ぼたで管理人や管理者にさえも成れる資格を得た、似非アサグどもが!


深山の奥底で野垂れ死にやがれ!」


体育館のステージ台のような場所に居る綺麗な、お姉さんが、そう言いながら、下卑た笑みを浮かべていた。



■■■



「敵意は、無いでございまする。

1年程、先輩にはなりまするが……拙者達も同じ境遇の者でございまする。」


気がつけば、嫁の手を握ったまま、学校の教室ぐらいの広さの場所の端に居た。


「えっ?えっ?えっ?

まさか……う~ん。う~ん。う~ん。」


嫁が、

僕達に話しかけて来た、サラリーマン風の男と、女子高生風の女の子を見ながら、何かを必死に話そうとしている。


「お姉さん。


自分自身だけやのうて、他人に対しても、

元の世界(アン ナブ キ シェア ラ)の名前を言われへんルールになってはるらしいよ。


せやから、ウチの事は、ヨロズコ。

こん人の事は、ゼロイチと呼んでくれたら良えよ。」


女子高生風の女の子が、そう言いながら苦笑いしている。


「知り合い?」


「はぁ?

この女の子は、1年前、突然、マネージャーと共に姿を消した。って、ニュースになっていた芸能人さんじゃん。」


僕の質問に嫁が驚いた顔で答える。


「そう言えば……そんな事件があったね。


確か、ネットの掲示板とかでは、

失踪した芸能人さんのマネージャーさんが、失踪した芸能人さんに惚れていて……

彼女を富士樹海でも連れ込んで無理心中を図ったんじゃないか?って言う噂が飛び交ってたけど……


どうやら、ガセネタだったみたいだね……」


「そう。それ。そのニュースの人よ。

てか、パパは……本当、人の顔を覚えるのが苦手よね……」


嫁が、呆れた顔をしながら、僕を見ていた。



◇◇◇



「はぁ?

ウチのマネージャーが、ウチに惚れてはった?


なんやそれ?


そんなん、絶対にありえへんわ。」


女子高生風の女の子が、そう言いながら不機嫌な顔をしている。


「えっ? そうなの?」


「自分達(クルサル & サモナブ)の時は、どんな感じやったんかは分からへんけど……


ウチの【計測の玉】の色が、

勝手にウチを召還しはった、ニンムシュちゅう名前の糞女が嫌う緑色だと分かった途端、

ウチの【計測の玉】との接続を解除しはったんや。


もし、ウチを愛してはったんやったら、そんな事しやんやろ。」


女子高生風の女の子が、不機嫌そうな顔で話す。


「けど、まぁ……今となっては……

そのお陰で、こん人と、二人っきりで生活する事が出来たから良かった。って、思ってるんやけどな。」


女子高生風の女の子が、そう言いながら、サラリーマン風の男をチラチラと見ている。


「そのお陰で、拙者は、

魔法使いに成り損ねてしまったでございまする。」


「黙れ。」


女子高生風の女の子が、真っ赤な顔をしながら、サラリーマン風の男を睨みつけていた。

評価や感想やレビューやいいねを頂けたら有り難いです。

頂いた感想には、出来る限り答えていきたいと考えております。

宜しくお願いします。

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