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書き溜めストックがなくなったので亀更新モードになります。
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「まずまずまずね? 市山を嫌いじゃないのは百万歩譲るわそれは影山さんの気持ちだし。けど心当たりアリアリな顔してるわけでそこを踏まえて市山がやってることが性格悪いってのは受け入れたらと思うのよ俺」
「いやっ、……ええと、うん、春陽が歪んでるのはなんとなくわかるよ私も」
「ヨシ!」
よかったこれであまりにも影山さんからピュアすぎる返答がきたらさすがに女の子であろうが肩を掴んで揺さぶっていた自信がある。俺は市山が嫌いだが中傷するほど人間落ちぶれてはいないので基本的には事実ベースのことしか考えない。あと出来るだけ口に出さないようにはしてる。これは元々秋人とつるんでた名残なんだけどな。まあそれはいいわ。
それはそれとして市山だ。ほぼ確じゃね〜と思いつつ俺の予想はあくまで予想でしかなくて、当事者がそれかもしれないと言わなければ始まらなかったけどまあ当事者がそれかもしれないって顔したから間違いないんでしょうね! なんで秋人は気づかないかな!
「その、相談はしなかったけどバレたの。私そのとき秋人が好きで……春陽に、雪那って秋人のこと好きだよね? って聞かれて」
「ほお」
「でもそれだけだったんだよ?」
「それはもうそれだけとは呼ばんのよ?」
影山さんにしてみたらなにごと? なんで? って感じなのだろうが俺からしたらそれはもう最終段階である。市山は恐らくなにかしらで疑いを持って、最終確認をしたんだと思われる。ここで重要なのは秋人じゃなく影山さんで、別に影山さんの好きな相手が秋人じゃなくたって良かったし関係ないはず。たとえば一条先輩が同中で影山さんが先輩を好きだったら、市山は最初から一条先輩を狙ったはずだ。とことん可哀想だな秋人のやつ。
「つまり神坂くんは、市山って子は雪那が好きだと思ってるわけ?」
「十中八九そうだと思いますけどねーそれがどんな種類の好きかは知らんけど」
「ん……まあ、同性愛者だっているもんな……」
「そんな深い話はしてないっすよ俺?」
幼なじみでニコイチだったのに秋人が来て嫌だったとか、恋愛的に好きとか、もっとおっかねえ感情か、なんてのは俺の知るところでは無い……というか怖いから別に知りたくない全然いらないそういうの。俺別に市山も影山さんも恋愛的に見たことないしただのクラスメイトのそんなほの暗いところあんま見たくねえよサスペンスドラマみたいじゃん。
影山さんも一条先輩も黙って顔を見合わせてる。どうしたら正解か考えてるんだろうけど、別に当初の目的である「ざまぁ」は全然やっていいと思うしやるべきなんじゃねーかとさえ思っている。市山と秋人が何を考えていたにせよ影山さんは傷付いた。ポイントになるのはそこだけだし、それで十分だと俺は思う。
「市山に一泡吹かせようって気、なくなっちゃった?」
「そ、れは」
「俺は影山さんが傷付いたならその分はやり返していいと思うし、一条先輩が影山さんを守りたいなら今市山に釘刺しとくのがいいと思ってるんすよ」
「神坂くん……」
あと俺さも渦中の人間みたいになってるけど全然そんなことはなくてなんでここにいるかもよくわからんのだけどそんな縋るような目で俺の事を見ないで欲しい。市山はわしらには救えぬものじゃ。今この瞬間だって俺の人生がマンガだったならコマに描かれないシーンのはずなのだ。多分佳境に入ったかエンディング付近になって「あの時神坂と話したのがヒントになったよな」「なんの話?(すっとぼけ)」みたいな小さい一コマでおさまるだろう。別に泣いてない。いつものことだ。
「……私、まだ心のどこかで春陽と仲直り出来るかもしれない、できたらいいなって思ってた。だって中二からの四年間よりも楽しく遊んだ十年の記憶のが長いから」
「幼なじみだもんね」
「そう、そうなの。産まれた病院も一緒で、幼稚園も、小学校も。同じクラスになったときに凄く嬉しいって、あれは嘘じゃなかった」
過去と決別するとき、みたいなテロップ出てんのかなと余計なことを考える。しかしこの二人はマジでビジュがいいな。俺がいることで顔面偏差値が下がるくらいには分かりやすい美人って感じだ。クールビューティ系の見た目のわりに影山さんはピュアで素直で弱い子のようなのでギャップ萌えってのを狙った結果なのかもしれない。影山さんが意図的にやってるわけじゃなくて、作者がいたとしたらそういうキャラデザにしたんだろうなって話ね。
真面目な話してる時に余計なこと考えててごめんとは思うけど、俺未だに全然自分関係ないと思ってっから許されたいわ。
「雪那、俺はどんなときも雪那の味方だよ。だから雪那のやりたいことをしよう。俺も自分の意見をきちんと言うから」
「夏樹先輩……ありがとうございます」
「うん。で、神坂くん」
「うわ台無し」
こっちを見んな。
今どう考えても少女漫画の波動だっただろ二人の世界で二人で決めて二人で完結してくれ俺はわりと本当にマジでもう帰りたいと思ってる。何度でも言うけど俺は市山がきらいである。ただそれは別になにかをされたからとかじゃなく、傍から見て嫌いだという俺の一方的な感想であって俺自身が市山になにかけしかける理由はなにもない。触らぬ市山に祟りもねーんだよ。
よっしゃざまぁ展開だな!? とは思ったよ一瞬ね。でもそれは読者的目線であって俺今なんでこんなけしかける側に組み込まれてるんだろまじで意味わからんのだけど。大体一条先輩が俺を戦力にカウントしてるのがよくないと思うんだよな影山さんも止めないしあんたら二人はマトモ枠じゃなかったの? 画面の中で主人公になるととち狂う決まりでもあんの? 俺のあらゆる友達がみんなそうなる可能性あまりに恐ろしくて辛いんだけど。
「俺らは彼女に思うところがあるから、もしかしたらこれから言うことはやりすぎかもしれない。神坂くんはそれを抑えるとか止めるとかそういうのをしてほしい」
「俺市山嫌いだからいいぞもっとやれとしか思わないと思う……」
「でも腹が立つって思ったのは本当なの、だから過激なこと考えても止まれないかもしれないから……」
「大丈夫だよ影山さん、日本人はわりとみんな倫理観の奴隷だよ」
つーかそんな殊勝な意識があるなら絶対俺いらん。気付いて頼むから。
「そうだ、もうひとつ聞きたいことがあったんだけど」
「なーに」
「神坂くんの言ってる「ざまぁ」って、なに?」
「そこから!?」
影山さんも一条先輩もラノベ読まなそうだもんね!