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ポストアポカリプス・オフライン  作者: 名無しのオプ=アート
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第2話 武漢症候群(Wuhan syndrome)患者の取り押さえ方

「こいつが譫妄(せんもう)患者か!?」

「よし! いくぞ! 3(サーン)2(アル)1(イー)、それ!」


 中国人民武装警察から派遣されて、武漢市内の病院にあるCOVID-19の隔離病棟に詰めていた2人の武装警察官が、暴れている患者を取り押さえた。


 人に噛みつく譫妄(せんもう)症状を発症しているCOVID-19の患者への対応もすっかり手慣れたものだ。1人が軍用・警察犬の訓練にも使われている両手用の犬咬傷防止袖を装着した右腕を噛ませて、その患者の頭を抱え込んでいる間に、もう1人が鎮静剤を打つ。


 患者の顎の力が凄まじいので、防刃手袋・スーツだけでは大怪我をしてしまう可能性もあるが、犬咬傷防止袖であれば安心だ。


 大人しくなった患者を医療従事者に引き渡すと、やんや、やんやの拍手喝采が巻き起こる。犬咬傷防止袖をしたままの武装警察官は悪い気はしなかった。



 2020年1月の終わりになる頃には、武漢症候群(Wuhan syndrome)患者への対処が問題になっていた。


 武漢症候群は、COVID-19患者の中でも、特に他者を攻撃して噛みつこうとする症状を呈したケースに用いられた。後に、その殆どがCOVID-19非感染者だけを対象にしていたことが判明する。


 武漢症候群患者の体液から感染した場合、COVID-19ワクチン接種済みでも、発症すると100パーセント近い武漢症候群の症状を示すことが確認された。


 武漢症候群から回復した症例は100件未満であり、その何れも脳や脊髄といった中枢神経、それ以外の末端神経にも重度の神経障害を引き起こしていた。



 武漢症候群患者に対して、COVID-19患者に接する際の個人防護具(PPE;Personal Protective Equipment)、防護服(hazardous materials suit)では、診療・ケア業務に従事することは困難を極めた。


 搬送・診療・入院中に発症するケースもあったからだ。


 武漢症候群患者は、患者自身の骨、筋肉、腱、靱帯、関節、軟骨、その他の結合組織から構成される筋骨格系を損傷する怪力を発揮していた。


 武漢症候群の患者は(ウー)殭屍(ジャンシー)(ウー)(シー)として恐れられ、道路、建物、都市が封鎖された「中」「髙」リスク地区からの部外者の移動を警戒した地域住民による道路封鎖なども行われていた。



 中国のCOVID-19対応の現場では、携帯用スタンガンを装着し、指なしの肘まである防刃手袋を中に着込んだ医療関係者だけでなく、スタン警棒、テーザー銃、麻酔銃を装備して防刃スーツに身を包んだ中国人民武装警察、中国人民解放軍も対応に当たった。


 世界の工場と呼ばれていた中華人民共和国は、自国での対応を最優先にしていた。世界の人類全てが、COVID-19とCOVID-19ワクチンに汚染されるまでは。


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