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⑻『ゴーストに吹く風』

⑻『ゴーストに吹く風』



ゴーストに吹く風がどうだというのだ、ゴーストに吹く風が何だというのだ、しかし俺は、ゴーストに吹く風、と言うタイトルに呪縛されているかのようだ、脳髄から、両手足まで。一種の、金縛りの様な、不可思議な感覚だ。



無論、街を歩いている時などは、捉われてはいないのだが、パソコンに向かうと、ほら始まったぞ、とばかりに、ゴーストに吹く風、に執着しているのであって、ーそれは、まるで俺がゴーストになった気分でー、確かに謎なんだ。



勿論、だからといって、生活が送れない程ではない。普通に呼吸も出来る訳だから。これは、根っからの小説家の俺、ということだろうか、という、異様なまでの陶酔も格好悪い程に、パソコンを打つ指にも、ゴーストに吹く風の如く、寒いのだ。

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