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⑵『ゴーストに吹く風』
⑵『ゴーストに吹く風』
㈠
ゴーストには、誰だって風当たりが強い。それが、この寒くなる季節になると、より一層寒く感じるのは、気のせいだろうか。それはともかく、俺は毎日小説を書いてはいるが、実際、その行動が何を生じさせるかは、皆目、分からないのである。
㈡
しかし、俺はゴーストじゃん、的な悟りの境地にまで昇りつめたい。そうすれば、ゴーストに吹く風も、ゴーストを通り越して、何処かへ行ってしまうだろうから。つまり、ー目に見える生存者のみへの苦痛ー、我々の世界は、広い様で狭い。
㈢
それでも、やるしかない、と決めて、小説を執筆すれば、成程、確かに、小説は進むのであって、であるからして、行けるところまで行く、つまり、書けるだけ書く、この行動が、小説家、ひいては、俺の様なゴーストには、非常に適している訳である。