第14話 三の丸にて①
数日後の朝。
毎日忙しく過ごしていた。その忙しい中合間を縫ってよく義兄上や清姉上、そして道満丸のいる三の丸へ景勝を連れて向かっていた。
「道満丸、今日は元気かな?」
「大丈夫だよ。この間もあんなにも元気そうにしてるんだから」
安心させるような口調で景勝はわたしの頭を撫でてくるので気になって顔を覗き込んだ。すると、彼の口元が密かにこうを描いていることに気がついた。
「そ、そうだよね?」
改めて彼に撫でられるのはなんだか気恥しい気がしてならない。景勝は一体私のことをどう考えているのだろうか?好きなのかな?それは、家族として?それとも……?
……本当に分からない。
景勝は表情や考えていることが表に出るような性格でもない。最近はだんだんとわかるようにはなってきたが、やはりよく分からない時も多い。一体何を考えているのか。
……まあ、分からないなら分からなくていい。それでもいいというのがわたしの考えだった。
「あら、虎に景勝。今日も来たのね」
「……あ、清姉上、義兄上!」
「お体にお触りはありませんか?」
「ああ。私たち家族は問題ないよ」
「それはよかったです」
三の丸へやってくると二人、いや3人がわたしたちを出迎えてくれた。
「あ〜う〜」
「道満丸もおはよう」
清姉上の腕の中で目が覚めたのか眠そうに欠伸をする道満丸の頭を優しく撫でた。
「虎、今日も道満丸と遊んでくれるかしら?」
「もちろんですよ! 景勝はどうする?」
ここで義兄上と話すのもありだし、わたしと清姉上と一緒に来ても、どちらでもいい。
「僕は義兄上に用事があるから虎、一人で行っておいで」
「……わかった! それじゃあ、行こっか。道満丸」
「あう〜」
わかっているのかわかっていないのかよく分からない返事だが、わたしは清姉上、道満丸とその乳母とともに隣部屋に移った。
景勝たちのことが心配じゃないのかと聞かれると正直困る。だけど、わたしがいると話しづらいこともあるだろうと考えてあえて席を外した。
「きゃっ、きゃっ、」
「道満丸、こっちだよ〜!」
道満丸の乳母や清姉上に見られている中で道満丸と2人で遊ぶ。嬉しそうに笑う道満丸はなんだか可愛らしくて癒される。もちろんだが、遊ぶとは言っても道満丸はまだ生まれたばかりで立ったり喋ったりはまだ難しい。だから、基本的には手遊びが中心だ。例えば、握って遊ぶタイプの人形を用意して握らせてみたり、くすぐって見たりと感覚で楽しむ遊びを良くしていた。遊びながらもわたしは聞き耳を立てた。




