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友好か、同盟か
「友好関係じゃなくて、同盟?」
「どちらも似たようなものさ。なぁに、種族間ではなく、個人間での同盟だ。私と貴様の合意だけで成り立つんだ」
ミーアは余裕に満ちた面持ちで、冷徹で鋭い目線を私に向ける。対してこちらは受け入れざるを得ない状況に立たされている。彼女の提案を蹴ってしまえば、一瞬にしてこの城の中にいる魔族達が、目の前にいる魔王が失望しながら襲いかかってくる可能性が大いにあるからだ。かと言って簡単に引き受けても、魔王以外の魔族が簡単に受け入れてくれるはずがなかった。
「あのぅ、一つ聞いてもいいでしょうか」
「む、なんだ?」
返答に迷い、静寂とかしてしまったこの場をエルピスが軽く手を挙げて打破する。
「仮にその同盟を組んだとして、お互いに恩恵はあるのでしょうか」
「そうだな。それを言わなくてはならなかったな」
ミーアは奥歯を噛み締め、何かを決心したようで、大きくため息をついて真っ直ぐな目をこちらに向けた。
「その前に、一昔前の話をしよう」