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4話  隠しキャラ令嬢、叔母に対面する

それから清楚で可愛いAラインの花柄ワンピに着替え、美悠紀さんにヘアアレして貰いながらメイクをした。

前世ではゴスロリと相性抜群・現場様メンヘラメイクしか出来なかったけど、今世ではレパートリーが異様に多いので、清楚可愛いお嬢様系ナチュラルメイクもお手の物。蓮乃ちゃん神。


「お嬢様。出来ましたよ」

「んー……え待ってくっそ可愛い美悠紀さん神やんけマジ感謝ありがとう愛してる」

「ふふっ、喜んで貰えて嬉しいです」  


うわーん美悠紀さんが天使だよー!隠しキャラ令嬢なんて比にもならねえ位可愛い。あ、駄目だこんな事言ったら蓮乃ちゃん推しの弟に殺される。ごめんよ樹、でもいくら推しでも中身がこんなクソ姉貴とか嫌だろ。本当にごめんな。

ちなみに髪の方はくるりんぱハーフアップにしておリボンを結んでいます。こういうのは私じゃなくて美悠紀さんの方が似合うって思ったし言ったけど「お世辞を言っても何も出ませんよ」って笑顔で言われた。しょぼん。


そういやふと疑問に思った人も居るかもしれないけど、記憶が戻る前も割とこんな言葉遣いだったから意外とバレてない。


仕上げにパールピアスとネックレスを付けたらもう完璧なお嬢様よ。

転生してから初めて鏡を見た時は義務教育すら終わってないガキの癖にピアス開いてるのにまあまあびっくりしたけどこの世界では珍しい事でも無かったと思い出して再びびっくりした。金持ちとゲームの世界は良く分からん。



コンコン



「蓮乃。出掛ける時間だ」


入ってきたのは中々にダンディーな男の人。

無論、私のぱぴーである。


「おけおけー。そんじゃ行ってくる~」

「行ってらっしゃいませ」

完璧なお辞儀で見送ってくれる我が天使美悠紀さんを残して部屋を出る。

「はぁ……その言葉遣い、誰に似たんだか」

「知らね。お母様じゃね?」

「確かに」


この親父さん。良い人なんだけどね。忙しいから叔母様の狂気に気付かないのよ。良い人なのに。

てっきとーな会話をしながら歩き、リムジンに乗り込む。 


リムジンには、叔母が居た。

あらま、こんなにはやくご対面出来るとは思わなかった。


「蓮乃、今日は何時にも増して可愛いわ」

「ありがとうございます。お義母様。お義母様もお綺麗ですよ」

「あらこの子ったら、口がお上手ね。ありがとう」


とっさに出てきた言葉だけど、嘘は無い。


毛先に連れて僅かに色味を持っていく長い白髪に、淡い蜂蜜色の瞳。色白で線も細く、クリーム色の薔薇の様な女性。まだ二十代前半だったはず。

儚げで、ふんわりしていて、それでいて目鼻立ちのはっきりしている私の叔母。オフホワイトのロングワンピースに蜂蜜色のアクセサリーが良く似合っている綺麗な人。

おっとりと微笑む姿には、逆に狂気を見出だす方が難しい。

だけど蓮乃は……私は、彼女の内に秘めた狂気を確かにこの目で見た。


美しいからこそ、優しいからこそ気付けない物。

満ち足りていて、気高くて優しくて残酷で。




彼女の姿から自分の面影を見つけ出し、ほんの少しだけ悲しくなった。

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