3話 隠しキャラ令嬢、状況を整理する 2/2
黒小路 葵。
ダークチョコレート色のふんわりとした髪にラズベリーの甘い瞳。男にしては色白で、中性的な顔立ちをしている。
大企業のご子息様で、早乙女とは遠い親戚筋に当たる。
異能力は『ギルティープリンス』幻惑とかハニートラップとかそこら辺だったはず。
中学校に入学する少し前に知り合った蓮乃に一目惚れして、蓮乃を自分の物にするべく奮闘する。
絶望していた蓮乃に優しくし、自分から離れられない様にして。
狙い通り蓮乃は葵から離れられなくなった。
しかしストーリーが進み、ヒロインである優花が姉の面影を追う叔母を救い出し、蓮乃は絶望から解放される。
その事に焦った葵は強行手段に出た。
葵の自宅の地下室に監禁された蓮乃を助け出せないと、攻略対象とは結ばれない。
ハッピーエンドでは葵の呪縛から抜け出し、バッドエンドでは葵の異能力によって感情を失う。
そんな私のポジションは、隠しキャラ。
全ルートを攻略した後に解放されるキャラで、内容はギリ百合じゃなかった様な気がする。あんま覚えてないんだよ!
つか何で転生先コイツなん?悪役令嬢とかじゃなくて?え?
まあそれはこの際どうでもいい。いや良くないけど。問題なのは…
私が葵君のリアコだという事だ。
いや本当マジでどうすんのこれ。あ、歌い手厨なのにとか止めてよ。歌い手厨でもゲームのキャラに恋します。多分。
でも私監禁は嫌だなぁ。葵君と両思いになりたいけど監禁はなぁ……。
となると、監禁エンドを回避しつつ葵君と結ばれる様頑張るしかない。
よっし!頑張るぞ!えいえいおー!!……いや待てよ。
葵君と出会うのって確か中学入学のちょっと前だったよね。私まだ葵君に会ってないよね。え?
「お嬢様。そろそろお支度を始めた方が宜しいのでは?」
ナイスタイミングな美悠紀さんの言葉。
「え、何の……?」
「お茶会のです。本日十六時から黒小路家で行われると楽しみにしていたではないですか」
マジで!?
そういやそんな話したなあ!転生ショックで忘れてたわ!!