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ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

「クソッ間に合わなかったか」


白く美しい毛並みをした立派な馬からガシャリと鎧の音を立てて地面に降りた。

左腕に付けていた傷ひとつない盾を馬に括り付け、手を上にあげて全軍を停止させた。


「敵の第二騎士団と交戦中と話を聞いて、すぐに切り上げてこちらに援護に向かったというのにそれでも間に合わなかったか」


「団長!これを見てください‼︎」


馬から降りた兵の一人が地面に転がっていた旗を指差した。

鎧の男は指差された方へと近づいていく。


「これは!」


「黄色い旗、イエリオ軍の旗です!」


「そんな、我が国の第十騎士団で相手に出来るはず…」


真っ二つに切り裂かれた黄色い旗を拾いあげ、辺りを見回す。


「まさか両軍ともに全滅だと言うのか、引き分けに持ち込んだと…そんなバカな」


土や人の血でボロボロになった青と黄色の旗が地面に乱雑に倒れおり、その周りには無数の屍が横たわっていた。

血生臭い鉄の香りが屍の上を越えた風に混じりボンワリと鼻の中に入ってくる。


「一体ここで何があったと言うんだ。誰か国に帰還した者がいるという情報を聞いた者はいるか⁉︎」


「そのような話は聞いておりません」


「ならばもしかしたらこの中にまだ致命傷で済んでいるものがいるかもしれない。探せ!我ら第一騎士団総力をあげて生存者を探すのだ!そうすればここで何があったのかを聞き出せるはずだ」


「「了解です‼︎」」


全軍は馬から降りて、死体の山から微かに残る呼吸の音を探し始めた。

お互いの鎧がぶつかり合わないように慎重に歩きながら探索を続ける。


死体の山から生存者を見つけるには長い時間を要した。

何千といる中から僅かに聞こえる音だけを頼りに探すのはそうそう容易なことではない。


「団長!こちらに生存者が‼︎」


「見つけたか!すぐに向かう」


団の一人が大声で報告した場所まで急いで向かった。

地面に転がる鎧が擦れてあたり、ガシャガシャと音を立てながら真っ直ぐに走り寄った。


「生存者はどこだ!」


「こちらです。彼から僅かに呼吸の音が」


「こいつは⁉︎」


彼は目を疑った、この服装を見れば顔など見なくても誰なのかは判別可能だったからだ。

少し前まで王宮の間で一緒にいた奴がこの死体の山で何故。


うつ伏せに倒れ青いフードが顔を隠しているが、腰には豪華な装飾の鞘が付いていて、手にはちんけな木剣が握られていた。

背中に残る大きな傷が戦いを物語っていた。

息があるのが不思議なくらいに。


「少し変わった服装をしていますが、戦いに巻き込まれた商人でしょうか」


「いや、こいつは紛れもなく我が国レンブルクの兵士だ。と言っても、先ほどなったばかりの新入りだったが」


「団長殿とお知り合いでしょうか。それでは丁重に国へと運び入れさせましょう」


「あぁ、そうしてくれ。この変態には色々と聞かなければならないことがあるからな」


「変態?」


鎧の男はゆっくりと持ち上げて自身の馬の背中に乗せた。

フードをめくり、手に握られていた木剣を鞘に収めた。


「お前は一体何者なんだ」


鎧の男も馬にまたがり王国へと帰還していった。


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