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EGOISM。  作者: RYK
3/5

崩壊

Sは相変わらず、群れようとも誰かと話そうともしなかった。




私はそんなSを気に入っていた。



落ち着くし、気を遣わなくていいからすごく楽だった。






そんなある時。



Sが自分から“ちゅん”と呼ばれている女の子に話しかけに行くのを見た。


別にそれがどうしたってわけでもないのだが。



ちょんはすごく天然で私は苦手としているタイプだった。





でもSはもともとコミュニケーション能力が高かったのかすぐに仲良くなっていった。




私は二人の世界に入ることはしなかった。

否、出来なかった の方が正しい。




「S、最近ちゅんといるけど仲良いの?」



自席で小説を読んでるSに話しかけた。



Sは相変わらず冷めた目で私を一瞬見て答えた。




「仲良くなかったら話したりしない。」




まぁそうだよね 当たり前の答えが返ってきて納得した。




「ちゅんといる方がいい?」




私は勝手にSの隣は自分のものだと思っていた。

それをとられて嫉妬したのか、思ってないことがスラスラ口から出た。



「ちゅんといた方が楽しい?」





「お前何言ってんの、そんなこと言ってないっしょ。」



呆れて冷めた目を向けて、面倒くさそうにため息を吐くS。



「どうしたの?お前変だよ?」





心配してかのぞき込むようにしているSに向かって




「別に、何でもない。」



素っ気ない一言が出た。




「あ、そう。」




Sはそのまま、小説に目を戻した。





♣︎




Sに謝ろう。

さっきはめんどくさい事を言った。

謝らなきゃ。



授業が終わったら話しかけよう。



そう思っていた。


しかし、




「S〜!ご飯食べよ〜!」



ちゅんがSと二人でご飯を食べるようだった。




「おぉ、ちゅん。いいよ、こっちおいで。」




Sは私には見せないような笑顔で、優しい口調で、優しく愛おしいと言うような目をして話していた。



あんなSの顔、見たことない。



私はショックだった。




自分が一番そばにいる。

自分が一番知っている。

自分が一番心開かれている。



そう思っていたのに。




「でもS?Mはいいの?」



ちょんが私の知りたいことを悟ったのかなんなのか知らないが、聞いてくれた。




「あー...よく分からん。前の休み時間は避けられたし嫌われたんじゃね。」




違う、誤解だよ...。




「そっかぁ〜。じゃあさ!今日一緒に帰ろーよ!」



待って、いつも私が一緒に...




「わかった。Mには私から伝えておく。」



いや、ちょっと待ってよ...




Sが席を立ちこちらに向かってくる。




「今日ちゅんと帰る。嫌いなら嫌いと言え。二度と話しかけたりなどしない。」




いつもより冷めた視線を私にくれた。


そのまま私に背を向けた。





「ちゅん」



Sはきっと嬉しそうな表情をして、ちゅんの元へと足早に向かっていった。








次の日。



Sは遅刻ギリギリに来て、1限が始まる前に寝始めてしまった。




“嫌いではない。”そう伝えたかった。




「S〜!トイレ行かないー?」




ちゅんの甲高い声が響く。




Sは嫌な顔ひとつせず


「うん。行こ。」





すぐに起き上がり、ちゅんとトイレへ向かった。





私が話しかけた時はそんな顔しないでしょうに。





「...嫌いに、ならないでよ。」





私のつぶやきは教室の騒がしさに紛れた。





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