4 祖父
ー翌日ー
昌幸はあのまま寝てしまい起きたのは次の日の朝だった。
昌幸は朝の微睡む頭をあくびで、かき消し起き上がろうとした。
しかし起きれない。
「あう?」
(ん?)
もう一度起き上がろうとして気付いた。
「あっぅ…あう、ああう…」
(あっ…、わし、赤子じゃったわ…)
自分の状況を忘れていたことを少し恥じた。
そして、何かすることが無いか考えたが思い付かなかった。
「あぅあ、あうあぅ…」
(赤子じゃあすることが無いからのう…)
誰か来るのを待つことにした昌幸は暇でもう一眠りすることにした。
ー30分後ー
「くわぁ~…あう……ああう…」
(くわぁ~…うむ……誰も来んな…)
二度寝して時間がたっても誰も来ないことに困った昌幸は大声で叫ぶことにした。
「あう!ああ、ああう!」
(誰か!誰か、居らんのか!)
昌幸が叫び初めて少しすると、部屋の外からドタドタと大きな音を立ててこちらに向かってくるのが聞こえた。
(やっと誰か来たか…昨日のおなごかのう…)
「ユキト~~」
ドアを開けてと言うより蹴破って入ってきたのは50代くらいの男だった。そして、その男はユキトが入ってる籠の近くに行きそのまま抱き抱えた。
「あ、あぅ、あう!」
(な、なんじゃ、この爺は!)
「ユキト~おじいちゃん、ユキトに会えなくて寂しかったんじゃよぉ~」
「あう!あう!あ、あうあう、あ、あう~」
(うお!離さぬか!無駄に力が強くて痛いわ!だ、誰か助けてくれぇぇ~)
ユキトが痛みでもがいていると、廊下から複数の足音が聞こえ部屋の中に3人の女が入ってきた。そして、1人の女が男の腕にいるユキトを奪い取り男を睨んだ。
「ご隠居様!坊っちゃまを乱暴に抱くのはやめてくださいと何度言えばお分かりになるのですか!」
「いや、そうは言ってもなぁ儂、ユキトに会うの久しぶりなんじゃよ?」
「ご隠居様、久しぶりと言ってもたった3日では無いですか…」
「何を言うか!3日も可愛い孫の顔を見れてないのだぞ!儂にとっては死活問題じゃ!」
「はぁ…ご隠居様、孫馬鹿が過ぎますよ…」
女は呆れた顔で他の女に合図をした。
すると女達は男の腕を掴んだ。
「おい!何をする!」
「坊っちゃまの迷惑になるので一度部屋を出て頭を冷やして来て下さい」
そう言うと男はそのまま部屋の外に引っ張られて行った。
「全く、ご隠居様は…」
女は愚痴を言いながらユキトを元の籠に戻した。
「坊っちゃま、もう少ししましたらミルクを持ってきますのでそれまでおとなしくしていて下さいね?」
女はそう言って部屋を出て行った。
(はぁ…疲れたわ…)
(あれがたぶん儂の祖父なのだろうな…暑苦し爺だったわ…)