3 ユキト
(まさか、儂が輪廻転生するとはのう…)
昌幸は、メイドの話しを聞きながらそう思った。
昌幸が、目覚めて半日が経ちわかった事は、自分の名前がユキトと言う事だけだった。
(もう少し詳しく知りたいが、赤子の姿では動けぬからのう…どうしたもんかのう…)
「……そして、ガルデン王はガルデン王国を建国したとさ。めでたしめでたし。」
メイドは絵本を閉じて、昌幸の方を笑顔で見た。
「どうでしたか、坊っちゃま。面白かったですか?」
「あう!」
メイドは嬉しそうに、次の絵本を開こうとした。
(ふむ…しかし、先程のには、驚いたわい)
ー半日前ー
(なぜじゃ!なぜ赤子に戻ってしまったのじゃ!)
昌幸は苦虫を噛み潰したかのような赤子らしからぬ顔をしていた。
「坊っちゃま?どうかされましたか?」
昌幸の顔を不思議そうに先程のメイドが覗きこんだ。
「あう!あ、あう!あう…」
(どうかしたわ!って喋れぬのじゃった!忘れておったわ…)
女性は昌幸が、何て言ったのか少し考え込んだ。そして、「あっ!」と叫び。昌幸に「少し待ってて下さいね」と言い部屋を出て行ってしまった。
少しして、部屋のドアが開き、二人の女性が入ってきた。
一人は先程のメイド服の女性、そしてもう一人は、長い黒髪を後ろで一つに結んだ、美しい女性だった。
(美しいおなごよのう…)
昌幸はこの女性に見とれていた。昌幸は生前も無類の女好きだったが、それは、今生でも変わっていなかった。
昌幸が見とれている間、二人は昌幸が寝ているベッドの横に立ちメイドが昌幸を抱き抱えた。
「あう?」
(なんじゃ?)
昌幸が、不思議に思っているともう一人の女性が昌幸口に何かを差し込んだ。
「あば?、ばば?…あう…」
(うぉ?なんじゃ?…甘い)
昌幸が女性の手元を見ると白い液体が入った哺乳瓶を持っていた。
「たくさん飲みましょうね」
女性は昌幸に牛乳をさらに飲ませた。
「あう!あう…あう…」
(うまいな!だが…何か眠くなってきたぞ…)
昌幸は腹が膨れたせいかだんだん眠くなり、うつらうつらと、してきた。
それを見た女性が微笑みながら頭を撫でた。
「眠くなってしまいました?」
昌幸は小さく頷き目を閉じた。
「ユキトお休みなさい」