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番外編〜幸せな日常①

お久しぶりです(*´ω`*)

「あ~う、あ~うう」

ご機嫌な声と共に、ハルがポテポテと歩いて行く。

昨日買ってもらったばかりのブーツの下で真っ白な雪がキュッキュッと小さな音を立てていた。


朝、今日は冷え込むなぁ〜なんて、何気無くカーテンを開けたら一面の銀世界に変わっていてびっくりだった。

今年初めて積もった雪は、この辺では珍しいサラサラとしたパウダースノーでとても綺麗だ。

しかし、今週末は冷え込むと言って予報も出てたけど、まさかこんなに積もるとは……。


夏生まれのハルに取っては2度目の冬だけど、雪の中を歩くのは初めて。

もちろん、触れるのも初めてだ。

見慣れた風景が真っ白に染まり、ふわふわの感触とその冷たさに驚き、大興奮だった。


で、折角だから近くの公園まで行ってみようと、しっかり防寒対策をとり、外へと繰り出してみたのだ。


「ハル、楽しそうだな……」

俺は既に寒さでめげそうだよ……。

なんで庭で妥協しなかったんだ、10分前の俺。さむっ。


「………ハル君、お散歩そろそろ止めにして帰らない?」

「やっ!」

そろりとご機嫌な背中に声をかけるも、アッサリと拒否の返事が返ってきた。

ですよね〜!


「ハイハイ、お付き合いしますよ」

ため息をマフラーで押し殺し、ハルペースで公園を目指す。

いっそ走ったほうが体あったまりそうなんだけど、歩くのが楽しいハルは最近抱っこは拒否なんだよな。

それ抜きにしたって、こんな雪の中走ったら転びそうだからやらないけど、さ。


寒さと戦いながら近所の公園に着けば、既に何組かの子供達が集まっていた。

楽しそうに雪だるまを作ったり、友達同士で雪玉を投げ合ったりしている。


人見知りのハルも最近関わる人間が増えたせいか、初対面でも子供相手なら平気になってきていた。

ので、その楽しそうな雰囲気にキラキラとした目を向けている。


が、決して自分からは歩み寄ろうとはしないヘタレ赤子である。

そこは頑張れよ!


「ハル、一緒あそぼ〜ってしようぜ」

ヒョイっと後ろから抱え上げて、同じくらいの赤ん坊の側に連れて行ってみる。


「あ〜う?」

赤いコートの女の子はどうやら社交的な性格らしく、隣に来たハルにキョトンと首をかしげながら手を伸ばしてきた。


「あにゃにゃう〜」

モジモジしながら、ハルが何か答えてるんだけど………なんで無表情なのかね〜。

めでたくコッチには理解不能な会話は成立したようで、2人でしゃがみ込み雪に触りだした。


「なんて言ってるんですかね?」

「本当にねー」

気ままな赤ん坊を眺めながら、お母さんたちとの会話もお手の物だ。


なんだろう。

本来の俺の日常に必要ないはずのスキルがガンガンに磨かれていってるよな〜。


若奥様との井戸端会議なんて、一部の人間には垂涎の的かもしれないけど………。

んな趣味、無いしな。

あ、でも、お役立ちグッズやイベント情報なんか教えてもらえるし、かなりお得。

………うん、やっぱなんか間違ってる。


「ゆ〜!」

ちょっと意識を飛ばしてたら、ドンっと足に衝撃がきた。

下を見れば、すっかり雪まみれのハルがしがみついている。


「真っ白じゃん。そろそろ帰ろうぜ。おやつおやつ」

「や〜ちゅ」

手袋に小さな雪玉がいっぱいついてて冷たそう。身体にも細かい雪が降り積もってて、払ってやれば楽しそうにくっくっと笑われた。


おやつを餌に交渉すれば、コクリと頷く。

「ば〜にゃ」

「………好きだねぇ」

手を伸ばしてきたので抱き上げれば、さっきまで遊んでいた子に向かいバイバイと手を振っていた。

だいぶ社交性が出てきて、お兄さんは嬉しいよ。


向こうのお母さんにも挨拶をして公園を後にする。

「ば〜にゃ、ば〜にゃ」

歌うように連呼するハルに笑がこみ上げてくる。たくさん歩いたし、腹減ってんのかな?


「ハル、バナナ、だよ。バ〜ナ〜ナ」

「ば〜にゃ〜にゃ?」

「うん、可愛いし良いか」


そんな会話をしながらいそいそと家に戻ったものの。

「ば〜にゃ〜!」

最後の一本を父さんに食べられてて、ハルが大泣き。

再び雪の中、近くのコンビニまでバナナを買いに行く羽目になる事を、その時の俺は知らなかった。

寒っ!



読んでくださり、ありがとうございました。


この話が好きと言ってくださる方より感想が久しぶりに届き、なんとなく読み返したら楽しかったので突発的に番外編。

北のほうでは結構雪が降ってますねえ。

寒いの苦手ですが雪が降るとテンション上がります。

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