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ジェットコースターの後は催事場の方で行われているミニ動物園に向かうことにした。

期間限定の動物園はウサギやモルモット等の小動物の他に巨大なリクガメやポニーもいて、小さい子供なら乗せてもらえるそうだ。


「ポニーは無理だけど、亀くらいならいけるんじゃ無い?」

「だな〜。ハル、亀乗るか?亀」

のんびり歩きながら笑っていた俺達は中々の迫力を醸し出していた巨大な亀に固まることとなる。


てか、マジでデカ!

甲羅の1番高い所だとハルの身長くらいありそう。甲羅のデカさも1メートルくらいはありそうだ。

それがノソノソと動く様子はかなり迫力で、ハルがビビっている。


「んっ!んっ!」

ベビーカーに乗っていたのに、必死に手を伸ばして抱っこを要求してきた。

亀の正面に降ろそうとすると必死にクビにしがみついてイヤイヤと首を振る。


「ハル、怖がりすぎじゃねぇ?」

その様子に大成が遠慮なくケラケラ笑っている。

まぁ、ハルにとって亀って近所の池にいる緑亀のイメージだっただろうし、しょうがないよな。

こんだけサイズに差があれば別の生き物に見えるだろう。しかも、ハルからすれば自分より大きな生き物だしな。


「ハル、抱っこのままでいいから、よく見てごらん?おっきいけど、公園の亀さんと同じ形だろ?」

このまま他の動物に行っても良いんだろうけど、もう一度くらいチャレンジしてみる。

苦手よりは好きが多い方が良いしな。


クビにしがみついていたハルが、恐る恐る亀に視線を向けた。

「大きな甲羅だね。公園の亀さんより、すごく大きいな〜」

上から見下ろすことで少し余裕が生まれたのか、ハルはじーっと亀を見つめる。


「でも、ほら。お目目見て。怖い顔してるか?ハルに意地悪しそうにみえる?」

少しだけ膝を折り、顔をみせる。

ハルはじーっと見つめた後、首を横に振った。


「な?優しそうな目をしてるな〜?」

正面じゃなく、横に座り込み亀の甲羅を触ってみせる。そうすれば、興味がわいたのか小さな手が亀に向かって伸ばされた。


最初はそろそろと。

次第にシッカリと亀の甲羅を撫で出すハルをみんなで見守る。

係りの人や周りの人達の目も、なんだか微笑ましそうに見つめる中、緊張していたハルの顔がふにゃりと笑顔になった。


「あ〜う〜」

振り返り、俺に向かってどこか誇らしげに声をあげるハルにコッチまで笑顔が伝染する。

「うん。触れたな〜すごいな〜」

頭を撫でてやれば、ニコニコ笑顔でまた亀に手を伸ばす。


「良ければ乗ってみますか?お兄さんが支えて下されば大丈夫ですよ〜」

頃合と見たのか、係員のお姉さんが声をかけてくる。


亀の背中に座らせてもらったハルは大興奮だった。

巨大亀はハルの体重なんて感じていないかの様にノソノソと歩く。

「あっきゃぁ〜!う〜う〜!」

手を振り回しご機嫌な声をあげるハルはすご〜く可愛かった。

偶々居合わせた遊園地の広報担当の人に「ホームページにアップさせて下さい」と写真を撮られるくらい可愛かった。

流石うちの子!


勿論自分のデジカメとスマホでも撮りまくった。

亀の他にもウサギやヤギにエサやってる姿もラブリーだったし、ヒヨコに囲まれて目を白黒させているのも可愛すぎたし。

大満足で俺達はミニ動物園を後にしたのだった。




その後、コーヒーカップに乗り(大成・隆太組はどれだけ早く回せるかにチャレンジして、そこだけ絶叫マシーン並みのスリルを味わっていた)、ゴーカートでレースをし(参加したゆう成さんが圧巻のハンドルさばきを見せ圧勝した)、ゲームコーナーの射的でぬいぐるみをゲットした。


流石に事故に遭遇したばかりで絶叫マシーン系に乗る気にはなれず、ハルも楽しめそうなのんびりしたものを中心に回るけど、中々楽しい。

遊園地=絶叫マシンだったけど、新しい楽しみ方に開眼しそうだ。

まぁ、無邪気に喜んでくれるハルが居るからこそ、だろうけどな。


園内にあるレストランで昼食をとり、腹ごなしにノンビリと歩く。

高原にある遊園地は木々や花々が随所に植えられており、ぼちぼち紅葉も始まっている。

散策するのも結構楽しいんだ。


ハルもベビーカーから降りてトコトコ歩いている。

最近は手をつなぐのを嫌がり、1人でバランスをとりながら歩く様になった。

自分でやりたいお年頃か?

ちょっと寂しいんだが。


「あ、ミラーハウス」

木々の間にひっそりとあったそれは少し古ぼけた印象だ。

「うわ、懐かしい。まだあったんだな〜これ」

いつもは絶叫マシンマシーンを渡り歩いているため、メインルートから外れた場所にあるここの存在をすっかり忘れていた。

建物の中は鏡で作られた迷路になっていて、実際よりも広く感じるんだよな。

小さな頃は、すごく好きだったっけ。

いろんな見え方をする鏡が使われていて、巨人になったり、逆に小さくなったりと面白かったんだ。


「入ろうぜ」

誰ともなく言い出せば、みんなでそちらへ足を向ける。ベビーカーは畳んで入口の職員さんに預け、折角だからと1人ずつ順番に入っていくことにした。

俺とハルは1番最後で。

じゃ無いと、ハルの足じゃ直ぐに後ろから追いつかれる事になるからなぁ。


「じゃ、出口で待っとくから」

2分くらいの間隔をあけてそれぞれに入っていく。

まぁ、そんなに大きな建物じゃ無いし、中でかち合うだろうけど、な。


「じゃ、ハル。行こうか」

みんなを見送りきっちり2分後、意気揚々と歩き出すハルの後をついて俺達もスタートした。


読んでくださり、ありがとうございました。

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