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よろしくお願いします。

結局ハルは大成から献上された賄賂(シュークリーム)で手打ちにしたようだ。

顔中(てか身体中?)クリームだらけにしながらご満悦である。


膝の上だと漏れなく俺もクリームだらけになりそうで、子ども椅子に座って貰ってる。

勿論、その下には新聞紙だ。

赤ん坊の食事時のスタンダードだと思う。


クリームたっぷりの小さな手を不思議そうににぎにぎしては口に突っ込んで舐めとっている。……すごいな。


「あう?」

じーっと見てたら欲しがってると思われたらしく、反対の手でへしゃげたシュークリーム(元、とつけたい衝動にかられる)を差し出してきた。


「うん。大丈夫だから、全部ハルが食べちゃいな?」

愛はあっても、あれを食べる勇気が無い。

ダメな叔父ちゃんを許してくれ、ハル。


ニッコリと笑顔を返しながら、ハルに残りを食べるように促せば、何を思ったのかせっせと口に詰め込み出しはじめた。

喉詰まらせるぞ?


「あちゃ」

無事に詰まらせることなく食べ切ったハルが両手を合わせてペコリと頭を下げる。

「偉いなぁ、ハル。じゃ、キレイキレイしようぜ〜」




全身クリームだらけだし、いっそシャワー浴びるか〜とリビングを出たところで、電話が終わったらしい和海さんと会った。


いつも穏やかな微笑みを浮かべている顔が、珍しく険しくなっていた。

けど、出てきた俺たちを見て、直ぐにいつもの表情に戻る。


「お風呂?いってらっしゃい」

「あ……、はい。いってきます」

ニコリと微笑まれ、なんとなくモヤっとしながらもペコリと頭を下げる。

ハルは無邪気にバイバイしていた。


「なんか、あった………んだろうなぁ〜」

自分とハルのの着替えを持って風呂場に向かいながら、ぼんやりとさっき見た和海さんの表情を思い出す。


彼があんな表情をする原因なんてそんなに多くは無いだろう。

そして、その原因に自分が関わっていかずにはいられない事も、なんとなく分かっていた。


「……大したことじゃ無いと良いな〜ハル」

腕の中のハルはクリームだらけの顔でキョトンと俺を見上げていた。




お風呂からあがり、夕食をすませ、ハルが力尽きて和室で伸びた後、『家族会議』がはじまった。


のは、良いんだが。


「なんで大成がいるんだよ?」


俺の隣でチャッカリと座ってコーヒーを飲んでいる大成に視線をやればヘラリと笑われた。


「僕が頼んだんだよ。彼は事情を知ってるし、いつも君と2人でいるだろう?

巻き込まれることもあるだろうから、知ってもらってた方が良いと思ってね」


思わず、唇を噛む。

じゃあ、側から離れればいいと簡単に言えない。言ってやれない自分の弱さがイヤになる。


「ユキの事情に巻き込まれるのなんていつもの事じゃん。何回一緒に変質者撃退したと思ってんの?」


ニヤリと笑って俺の髪をかき回してくる大成は、どうすれば俺の心が軽くなるかなんて知り尽くして居るんだろう。


そう、思えば、ストンと肩の力が抜けた。


「だな。フォロー、よろしく」

トン、と隣にある肩に自分の肩をぶつけると同じ様に返された。




「じゃぁ、良いかな?」


そう言って話し出された情報は、あまりにも俺の知る日常とはかけ離れた不思議の世界だった。







読んでくださり、ありがとうございます。

次回、ちょっとした説明会になると思いますm(_ _)m

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