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急展開。

てか、体育祭の模様をダラダラ書くのに飽きました(笑)

体育祭が終わった。


僅差で負けていた青組が最後のリレーで逆転勝利するという、なかなかドラマティックな結末にみんなテンション上がりまくりだった。

この後、それぞれ仲間で集まって打ち上げするらしい。


ありがたいことに何組かお誘いを受けたけど、全て断った。

落ちてきたフェンスの件についての先生からの呼び出しがあったからだ。




「あ〜、疲れた」

片づけが終わり、解散していく生徒の姿を、俺はボンヤリと窓から眺めていた。

もともと、体育以外は殆ど運動らしいことをしてない俺には、なかなかに濃い1日だった。


「大成、遅いなぁ」

2人ともに呼び出されていた為、教室で待ち合わせてるんだけど、なかなか来ない。

ホームルーム長引いてるのか、クラスメイトに捕まってるのか。

多分、後者だろう。


「ねむ……」

座ってボゥとしてると、疲労感と共に眠気がやって来る。

クワッと欠伸した後机にうつ伏せになった。

ま、大成が起こすだろ。




遠のいた意識の中、カタン、ッと微かな音を聞く。

大成が来たのかな?

ゆっくりと意識は浮上していくが、体はまだ起きていないみたいで、自分の意思ではピクリとも動かせない。


近寄ってくる気配。

誰かが、すぐ隣に立った。

サラリと髪を撫でられ、その感触に相手が大成で無いことに気づく。


起きないとヤバイと思うけれど、意識はあるのに不思議なくらい体が動かない。

金縛りみたいだ、と、どこか他人事のようなことを思う俺と、早く起きなきゃと焦る俺がいて、変な感じだ。


スルリと髪を撫でていた手が首筋を撫でた。

大きな手は男性のものだ。

そのまま、耳の方まで触れられて鳥肌が立つ。


やめろと叫んで、その手を振り払いたいのに、やっぱり体はピクリとも動かない。

コレは異常だ。


頑なに開こうとしない瞼に、ほんの僅かも動かない体に焦りよりも苛立ちが大きくなってくる。

その間も、誰かも分からない傍若無人な手は髪を乱し耳や首を探っている。


肩にかけていたジャージが取り払われ、体操服の襟元が下に押し下げられた所で、プツリと何かが切れた。


「………っもちわりぃーんだよ、テメェッ!!」

飛び出した叫びと共に枕にしていた腕を思い切り後ろへと振り抜いた。


「ツツッ!?」

ガッと人の体に腕がぶつかる感触に驚いた様に息を呑む気配。

(よし、当たった!)


まだ、上手く動かない体を動かし、気持ち悪いイタズラを仕掛けた犯人を捕まえてやろうと振り向く。

が…………。


「あれ?」

そこには、誰もいなかった。

夕暮れに染められた見慣れた教室の風景が広がるばかりだ。


「………ゆめ?」

に、してはヤケにリアルな感触だった。

触られていた首筋をなぞれば、誰かの手の感触をハッキリと思い出して鳥肌が立つ。

腕には、誰かにぶつけた痛みがまだ鈍く残っている。


けれど。

殴られた後逃げ出したにしては、なんの足音も聞こえなかった。

なにより、いくら動きが鈍かったとはいえ、チラリとも人影が目に映らなかった、なんて……。


「どう考えても、おかしいだろ」

呟きは誰もいない教室に虚しく響いた。


しばらく何も出来ずに佇んでいると、廊下を走る音と共に大成が飛び込んできた。

「わるい、遅くなった!………って、どうした?顔色悪いな?疲れたか?」


心配そうな顔で、俺の額に手を伸ばしてくる。

サラリと前髪を避け、額に当てられた感触は、やはり、さっきのとは似ても似つかぬものだった。


「………ほんと、遅いよ。何やってたんだよ」

抗議の声は思ったよりも弱々しい響きで、大成の眉が更にしかめられた。


どうした?と、視線で尋ねてくる大成に首を横に振る。

「なんか、変な体験した。おばけ、かな?」

なんと言っていいのか自分でも分からず、曖昧な答えを返す。


「………先生のところ行って、サッサと帰ろうぜ。遅くなったお詫びになんか奢ってやるよ」

昼飯代が浮いたからな、と浮かない顔の俺を元気づける様に笑って、俺の背中を押した。


「………疲れたし、甘いもんが良いなぁ」

誰かの手の感触を振り切る様に軽く頭を振った後、促されるままに教室を後にする。


背中を押す大成の手の温度に少しほっとしたのは秘密だ。










読んでくださり、ありがとうございました。

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