そんな真相知りたくなかったです!
突発ネタです。
その漫画は初恋というタイトルだった。
ある学校に転校してきた主人公の女の子が仲良くなった男の子とやがて恋に落ちるというありがちな話。
特に仲良くなった幼馴染みで集まったグループの男の子たちは皆がみなある人物に初恋をしたという。
彼らはときおり懐かしむように主人公にその話をした。
幼い子どもの頃に抱いた淡い初恋。
ありがちな物語はそれを軸に展開していく。
彼らは未だ初恋をひきずっているのだと端々から伺わせ、やがてそれを断ち切り主人公と結ばれる。
作中で決してその想い人が登場することはなかった。
回想シーンや思い出話の中以外でその人物の話が出ることもなかった。
彼らから話を聞くうちに主人公はある結論に辿り着いた。
その人は、もういないのだと。
彼らに語られる想い人は儚い印象を抱かせた。
回想シーンでは常に病室のベッドか、病院内だった。
腰ほどある少し茶色の髪を一つに縛って、カーディガンを羽織ってベッドで上体を起こしている。
幼い彼らに優しく話す、淡雪のような人だった。
病気のせいで学校へ行くこともままならず、激しい運動も出来ない。
それが10年程前の話で、彼らから今の話を聞くことはなかった。
はっきりとその人がどうなったか描かれてはいなかった。つまり、そういうことなのだろう。
今は亡きその人物への想いを断ち切り、主人公を好きになるその過程は読者を大いに悶えさせた。
誰と付き合うのか、主人公は誰を好きになるのか、連載当時は多くの派閥が出来たものだった。
漫画から始まりノベライズ、スピンオフ、ゲーム化、アニメ化と大人気を博した。
そんな漫画だったのだ。
さて、ここまで長々とよく読んでくれたと感謝したい。
何故こんな話をしたかというと今の状況を説明するには必要だったからだ。
まぁ賢明な読者ならばもう気づいているかもしれないが…………
今その世界に転生してます。
あ、別に登場人物とかではない。しいて言えばモブ。
こんな子いたようなーみたいな、顔は見るけど名前とかわからないモブキャラに転生しました。
クラスメイトなんです。主人公たちの。
漫画の世界だと気づいたのはちょっと前。ガッツリストーリーが展開されてるときだった。
あ、でもひょっとしたらゲームとかの方かもしれないけど。基本的なストーリーは漫画そのままだったから。
それでも『初恋』の世界であることは間違いないと思う。
それなりに仲良かったんだけど気づいてからはもっと仲良くするようにした。
いやだって出来れば近くで見たい…もとい見守りたいからね。
まぁ見てるとお前ら早く付き合っちゃえよと思わないでもない。
あ、言っとくけど逆ハーとかはないよ。原作者さんがそれだけはNGにしたんだって。
キャラの性格的にもないからね。一途だから。
せっかく漫画の世界にいるなら出来ればその想い人も見てみたかったなぁ。
綺麗な人なんだろうなぁ。イラストはホント儚げな美人!だったしアニメではすごい声綺麗だった。
現実にあの人がいるならぜひ一度は目にしたいものだった。
写真とかでいいから見せてくれないだろうか。
でもなんて聞けばいいんだろう。
いきなり「その人の写真見たい」とか言えないし。
今度その人の話を聞いたときに上手いこと誘導してみよう。写真とかないの?って。
初恋の人の写真を持ち歩いていたら少し引くけど。ちょっとイメージダウンする…いやちょっとどころじゃないかもしれない。
………………………………………………………………………………そんなことを考えてた時期もありました。
これは予想外でした。えーっと、何が起こっているのか説明すると…
目の前にあの想い人さんがいます。
は?って今思いましたよね?ですよね?
死んだんじゃなかったの?って思いますよね?
「遊くんこの可愛い子たちは彼女さん?」
「ばっ…違う!クラスメイトだよ寧さん!」
隣にいた遊くんと呼ばれた登場人物は顔赤くしながら想い人--------寧さんに言いました。
「かわいい遊くんにもようやく彼女が出来たかと思ったのに。残念」
クスクス笑いながら答えるその姿はとても綺麗でつい見とれてしまいます。
回想シーンで見たかつての面影を残しつつ大人の雰囲気を持つ美人さんに成長しておなりですよ。生で見れるのは眼福ですね。
ですがどういうことなのでしょう。この人は死んだんじゃなかったのでしょうか。
一切登場してこなかったのに生きてたんですか…?
「あの、鳴上くん。お知り合い…?」
遊くんこと鳴上遊大くんに私は聞きました。周りには他の登場人物や主人公たちもいるのだけど会話してる鳴上くんに聞くのがいいかと思って。
「初めまして。遊くんの従兄弟で雪ヶ峰寧です。
お邪魔してごめんなさいね。見かけたものだからつい声かけちゃって」
自己紹介されたので私と主人公も挨拶しておきました。主人公と二人でポヤ〜っと見てしまいましたよ。うん、綺麗。
寧さんは他の登場人物たちと少し話した後、用があるからまたねと去って行きました。
あんなに美人だと主人公と二人でついつい盛り上がってしまうのも仕方ないですよね。
「すっごい綺麗な人だったね!」
「美人さんでしたね。見とれちゃいました!」
「あんなに美人な人が存在するんだねー。綺麗すぎて嫉妬すらできないよね!」
「本当ですね!まさに大和撫子といった感じで!」
いかに綺麗な人だったかを言っているとポツリと誰かの声が聞こえました。
「寧さん男だけどな」
え?
初恋の相手が男だったとか恥ずかしくて言えない。
トラウマなのでその後のことにあえて触れない登場人物たち。。
寧さん→ねいさん≒ねえさんと紛らわしい名前で勘違いを誘ってみる。男性にそんな名前の人がいるかはさておき。
雪ヶ峰という名字で雪ちゃんとも呼ばれていたのでなお周りは勘違いする仕様でした。
従兄弟と書いてあるのがミスリード…になったかな?
勘違いしてくれた人がいたらやりぃ!っという気分になります。
漫画タイトルの初恋は「初恋だと思ったのは男性で違った。本当の異性に恋をしたのは君が初めて」という意味もあり。
ちなみに寧さんは病気の治療の為に海外に行って、少なくとも日常生活は送れるようになりました。
超美人です。だがあえて書こう、オネエキャラであると。
病弱だった為に小さなとき女の子の格好をさせられていたのがきっかけ。丈夫になるようにってそういう風習あったような気がした。
適当に浮かんで書いたので若干矛盾しているかもしれないですけどここまで読んでいただきありがとうございました。