2 あははの辻でお待ちかね
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気を失ったり、寝てしまったり。冥府に来てからの自分はとても疲れているらしい。眠りが浅くなってそんなことをぼんやりと考え、うっすらと目を開けると姫のすぐ間近に黄泉の宮の顔があった。
「きゃっ!」
「一応、乙女声は出るんだな。ふーん」
「宮。ななな、なんであなたが、ここに」
「私の部屋だ。姫の世話係がいなくてな」
「こ、この前の、女童風の鬼がいるじゃない」
「あれをずっと具現化していたら、私が大変なんだ。基本、冥府に女の鬼はいない。前回の女童鬼は私が生み出したまぼろしだ。かといって、そのへんを歩いているいかつい形相の鬼には任せられないし」
「絶対にいやです。鬼の獄卒から、お世話を焼かれるだなんて」
「だろうな。私が極力、姫の世話をするが、仕事があるからずっとお守りはできない。いいか」
「私は赤さまではありません、自分のことぐらい、自分で」
「ずっとお姫さまをやってきたんだ。無理するな。私は閻魔の補佐。他人の世話には慣れている」
宮はまめまめしく動いた。顔を洗う盥の水を運び、食事の支度をし、姫の着替えも差し出した。手早い。
「あなたは、閻魔とどういう関係なんですか」
「……伯父と甥だよ。もっとも、私には父がいないから閻魔は父代わりでもある。伯父にも子がいないから」
「まさか、次代の閻魔候補?」
「ご明察。そういうことになるね。それでは、私は仕事に行く。姫は鏡でも見ていなさい。平穏な現世への憎しみが、じわじわと生まれるよ」
「いや。宮さま、私を連れて行ってください。あの、ひとりでここに待っているのもつらいし、だったら外に出てぱあっと騒いだほうが、いいと思うの」
「騒ぐ?」
「あっ、いえ。お手伝いをさせてください」
「逃げようって魂胆か」
「ちょっとは考えましたけど、家族を憎みたくないの、私」
「姫が負の感情を募らせなければ、魂の色は変わらない」
「それ、少し思いついたんだけど、別に憎まなくても、私の心が成長すれば、魂が熟れてゆくんじゃないかしら。負の感情ならば手っ取り早いってことは分かるけど。宮の下で働いて、成長……できないかな、なんて」
「理屈だな。お姫さまになにができる」
宮は姫の顔を覗き込んだ。宮の眼は、深い紫いろをしている。宝玉のような、うつくしさだった。照れを感じるものの、視線を逸らしたら負けのような気がして、姫は唇を噛みながら睨み返した。姫は押す。
「お願いします。本音を告白すれば、熟れたくなんかないけど」
喰われるだけなんだ、できれば熟れたくない。まだ、少女のままでいい。
先に視線を外したのは、宮だった。
「……閻魔に聞いてくるか」
渋い表情で立ち去った宮だったが、意外にも閻魔は姫の宮同行を許した。魂が熟れれば、手段は選ばないのだろうか。
もちろん、いくつかの条件が出された。
その一。姫は白拍子姿になること。白い着物に緋いろの袴。手には、扇。長い髪は束ね、烏帽子をかぶる。
その二。逃げたら、一族即地獄行き。しかも、もっとも苦しい地獄に堕とす、と。
その三。現世では宮の指示が絶対。しゃべっては、ならない。
突っぱねることはできない。姫は承諾した。こんな常闇の国にいたら、負の感情に呑まれそうそうだった。現世の空気が吸いたい。生きていることを実感したい。喰われてしまう前に、少しでも自分の世界に長くいたい。
さすがに、着替えには鬼の女童を出してくれた宮だったが、髪を結うのも、足袋を履かせるのは宮の役目だった。ためらったが、拒否したら連れていってもらえないこと、確実。姫は恥ずかしい気持ちをぐっとこらえ、支度が終わった宮のあとを静かについて行った。
「分かるか? その先の右、頭の上の光だ」
冥府から現世につながっている道はいくつもあるらしいが、宮はもっとも都に近い出口を指示した。
指示されたのは、小さな井戸。まずは宮が自力で登り、次に姫は井戸の釣瓶にがっちりとつかまりながら、ようやくゆるゆると地面の上に出た。頭の烏帽子が傾いてしまったので、乱れをそっと直す。
「……っ」
久しぶりの現世。あたりはさびれている。見知らぬ寺の敷地裏に出たようだ。
夕闇につつまれており、すでに薄暗いが久々に感じる自然の明るさだった。篝火とはまるで違う、広がりがある光だった。喜びのあまり、叫びそうになったが姫の声は喉に張りついたっきり、出てこなかった。
冥府を出る前に、宮は姫に声を封じる咒をかけた。
短い祭文を唱えかけられた数瞬後には、咒が効いていた。
声を出そうとしても、喉からはか細い息が漏れるだけで確かな音にはならない。たとえ、往来で家族を見つけたとしても声をかけることもできないし、危険に遭遇しても悲鳴を発することもできない。宮とさえ、必要な意思疎通は筆談することになる。不便だが、我慢した。
姫は井戸の蓋をもとに戻した。この井戸は、冥官も勤めたかの小野篁という平安時代初期人物が、冥府からの帰りに使った井戸だ。
「冥府への行きは六波羅。帰りは嵯峨野。一方通行だ。『死者の口』に対してここは、『生者の口』と呼んでいる」
『じゃあ、ここは嵯峨野なの? 洛外じゃない。どうりでさびしい風景のはず』
勢いに乗って、姫は筆でそう書いた。
花見や紅葉狩りの名所、あるいは別荘地として名高いが住まう人はとても少ない。なにしろ、葬送地が近い。世捨て人ぐらいだろう。
「ああ。さっさと移動する。じきに暗くなるから、なにも見えなくなる」
『どこへ?』
姫は首を傾げた。宮の仕事を手伝うと意気込んで出てきたはいいが、なにをすればよいのかさっぱり分からない。
「百鬼夜行にとらわれて動けなくなった魂がいくつか浮いているから、『あははの辻』で待ち伏せ、それらを冥府に送る」
あははの辻、というのはあわわの辻、あわの辻などとも呼ぶ、もののけが通る有名な場所だ。特に、百鬼夜行、ともいう。御所にも近い。姫はもちろん行ったこともないし、噂でしか耳にしたことがない。魑魅魍魎が飛ぶ、ねじれた空間。緊張を新たにした。姫はごくりと息を飲んだ。
日没直前の、夕闇の時間が異形たちをもっともとらえやすいらしい。光や時間が混沌としているから、もののけの住んでいる世界と、現世の行き来がしやすくなる、との説明を受けた。姫の知らないことばかりだ。感心もあり、喋れないぶん、大げさに頷く。
怖い。行きたくない。もののけだなんて。
井戸のそばから動かない姫の様子から、内面を察した宮は姫を背におぶった。
「さあ、『閻魔の沓』で洛中まで一足とびだ」
生者の口である嵯峨野から内裏の南にある、あははの辻まで夕暮れの景色は飛ぶように過ぎ、姫があまりの速さに目を回しているうちに現場に到着した。自分が立っているのは都のどのあたりなのか、恥ずかしながらまったく見当もつかない。自分も邸の位置も、方向も。
「来たぞ。ちょうど、百鬼夜行のおでましじゃないか」
もののけが往来するという噂がしきりに流れている場所なので、歩く人も行き交う牛車もない。いやな風が吹く。なんだかなまぬるくて、じめじめしている。顔に、風がじっとりと張りついてきたから、姫は身震いした。隠れるような物陰もなく、姫が宮の背中にぎゅっとしがみついた。
猫や猿、牛など動物に似た異形。硯や鏡、古い道具が長い歳月を経て変化したもの。妙な舞を舞う草木も、列のあとをついてきている。ありとあらゆるものが、もののけになる魂を宿しているのだ。人々からは怖れられているが、もののけたちはけっこう楽しそうにふわふわと浮かびながら飛んでいる。
「姫。お気を確かに。もののけに、魅入られるぞ。さあ、咒符をしっかり持って」
宮は水干の袖から伸びる姫の腕を後ろから支え、咒符を握らせた。陰陽師が使うような見慣れない文字が、蛇のように紙の上を這っている。
「閻魔紙の咒符。決して、身から離すなよ。咒符を持っていれば、もののけには姫の姿が見えない。百鬼夜行に取り込まれている魂だけをつかまえるんだ。もののけの列に取り込まれていると、いつまでたっても成仏できない。哀れな霊に成り下がってしまう」
つかまえる、なんて簡単に言われても。姫は眉根を寄せた。
「咒符を持っていれば、もののけもだいじょうぶだ。私の真似をしてみろ。この百鬼夜行には五つほど、死んだばかりの魂が混じっている。命を終えたら冥府に運ばれるのは常なんだが、よっぽど現世に思いを残しているのか、もののけにひきずられているのか。よっぽどの悪行を犯していないかぎり、魂は来世に転生できるんだ。いつまでも魂のまま現世に縛られていたら、輪廻の流れから外れてしまう。迷い魂を少しでも減らしたい」
分かる。
もしも、自分の家族や友人の魂が現世に思いを残した挙句、妙なもののけに憑かれてしまい、生き返る術を見失ってしまったら、とても悲しい。
輪廻の、流れ。
宮は姫を往来の壁際に置いて、百鬼夜行の列に挑んだ。
「あの光が、人間の魂だ。冥府でも見ただろう」
胸の前で軽く印を結ぶと、宮は百鬼夜行の列に加わっている魂に向かって照準を合わせ、両腕を前に伸ばした。もののけともののけの間を縫うように浮かんでいる魂はやや鈍い色を放っているが、よく目立つ。
「導魂」
印の先から、ひとつ目の魂めがけて黄色っぽい光が鋭く伸びた。前後のもののけが光の筋をよけた。光と光がぶつかったが、宮の放った光が勝り、魂全体を包むように覆った。とらえたのを確認すると、宮が光を引っ張った。そのままくるくると手繰り寄せ、光の端を腕に巻きつける。
姫はただ、ぼんやりと眺めているだけだった。
……すごい。
「おい。なにを突っ立っている。次はお前の番だ。今の手順で、やってみろ」
『ええっ』
驚いた姫は口をぱくぱくと開いた。声が出ない。
「『導魂』だ。姫にも分かりやすいように、ことばを発しただけだ。心で念じればいい。ほら、早くしないと通り過ぎてしまうぞ。そうだな、あの小さい魂に狙いを合わせろ。子どものものだろう」
宮の指示を受けて姫が目を凝らすと、ほかの魂よりもふたまわりほど小ぶりな光が列の後方に連れ従っている。
「百鬼夜行にくっついていたら、いつまでも母親に会えないし、転生もできないぞ。迷っている子どもを助けれやれ、姫。特別な力は必要ない。手にしている咒符から、勝手に力が湧いてくる。きっかけを与えるだけでいい。こころを込めて、よく念じるんだ。魂を導くから、こちら側に来い……『導魂』と」
母を探してさすらっているのかもしれない。そう思い直すと、胸が締めつけられるように切なくなった。宮は知らん顔で、ほかの魂をどんどん回収している。残るは小さな魂だけ。
姫は、一歩前に出た。
見よう見まねの印。思いを込めた咒文。
どうか、こちらに。冥府までの、標を、道を、示すから。
……『導魂』。
「お願いっ」
突然、握りしめた咒符からいくつもの光が生まれた。姫は印を結んだまま、咒符ごと腕を夕空に掲げ、叫ぶ。
「ついていっちゃだめよ!」
封じられているはずの姫の声が発されている。宮は驚いたが、姫はそれどころではない。
姫の放った青い光が魂を追う。小さな光は戸惑ったのか、逃げようとしたが姫の光が魂を絡め捕った。
「引け、今だ。強く!」
「はいっ」
姫の体に引き寄せられる魂。小さくて軽いせいか、浮いてしまってなかなか来てくれない。もどかしさのあまり、焦った姫は手が滑って咒符を落としてしまった。咒符はひらひらと地面に落ちてゆく。
『オヤ、人間ノ匂イ』
『スルスル。イイ匂イ』
『美味ソウナ目ダ』
いっせいに、西方向へと百鬼夜行をしていたもののけたちが姫のほうを見た。
「しまった、見つかった」
宮は腕に絡め取っていた魂を素早く袖の中にしまうと、姫の体を折るようにして肩に担ぎ上げ、走り出した。
「や、やだっ! 降ろして」
もちろん、姫は抵抗する。荷物のように担がれ、納得する姫はいないだろう。あんまりだと思ったのか、宮は姫を抱き直した。いえ、お姫さま抱っこも……かなり……つらいものがあるのだけれど。姫は俯いて小さくなった。早く、六波羅の井戸に着いてほしい。
「私ひとりならどうにもなるが、姫を守りながら道を開くには相手の数が多すぎる。あの列に加わって、夜な夜な徘徊したいか? 贄のお役目も、私のお手伝いも果たせないぞ」
姫は宮の背中を叩くのをやめた。
「……はい。でも、小さな魂が」
「諦めよう。取り込まれたら、もののけに縛られてしまう。次回だ」
光を結んでいた手を、放してしまった。もうすぐ姫の腕が届く位置までやってきていたのに、魂は再びもののけの列に取り込まれてしまった。
私のせいだ。今さらだけれども、姫はなにもつかんでいない、手のひらをぎゅっと握り締めた。
「ごめんなさい」
「いや、初めてのわりに途中まではよかった。詰めが甘かった。咒符は絶対に手放すんじゃない。経験を積んだ私のように、人間の匂いや気配が消せるわけでもなし。姫には、咒符が命綱だ」
「は、はい」
一応、宮は褒めてくれた。それでも。
小さな魂さん、ごめんなさい。閻魔の沓を駆って、飛ぶように進む中、姫は祈った。どうか、また会えますように。次は必ず、冥府の裁きを受けて転生できますように。自分の無力さを思い知らされつつ、姫は謝り続けた。
宮の足は早かった。途中までは追いかけてきたもののけも、あまりの速度の違いに諦めたらしかった。見覚えのある寺の門をくぐり、境内のもっとも奥にある六波羅の枯れ井戸……死者の口にふたりは飛び込んだ。ようやく安心できる。緊張していたのか、疲れたのか、姫はそのまま宮の腕の中でとろとろと眠ってしまった。
「よく寝る姫だな」
気がつくと、ちょうど閻魔が姫の顔を覗き込んでいるところだった。
「ひゃあ!」
姫らしからぬ、悲鳴に閻魔はうつくしい面を苦笑させた。
「だが、よかったぞ。途中までは。果敢にも、百鬼夜行に立ち向かう姿勢。咒符の使い方。印の結び。強い念。姫の活躍を鏡から見ていた。白拍子姿も似合っている」
「た、大変お見苦しいところを見せてしまいました。あのう、私、魂を連れてこられませんでした」
「なあに。初めてにしては、上出来だ。ほら、封じられていた声を発しただろう? 宮の咒を破ったんだよ。宮も褒めていた」
「宮さまが?」
意外だった。いつも厳しいのに。姫は辺りを見回し、宮の姿を探した。残念ながら、近くにはいない。
姫は閻魔庁にいる。相変わらず、鬼たちが忙しそうに立ち働いている。目の前にはやはり、裁きを待つ魂の列。姫に話しかけながらも、閻魔は次々と魂の交通整理を行っている。
「次なる任務は、裁きの記録を頼む。我が読み上げるから、一文字一句すべて正確に写し取ってくれ」
魂はずっと真っ直ぐにずらりと並んでいる。閻魔に裁かされないと、いつまでたっても次の生き方が決まらない。姫は筆を執った。以前の記録を参考にしながら、姫は書くことに決めた。どうしても分からなければ、ほかの書記官……鬼に聞いてみよう。
閻魔は鏡を見ながら、魂の犯した過去の罪を順々に調べてゆく。ときどき、魂に向かって尋問する。罪状をまとめて姫に話す。早い。貴族の姫のたしなみとして、手習いは幼いころからかなり積んできたはずだが、書き留めるのがやっとで字のうつくしさなどにはこだわっていられない。姫が少しでももたつくと、閻魔の叱責が飛ぶ。冥府に送られるのは人間の魂だけではない。生きているもの、すべての魂だ。姫は髪を振り乱して一心不乱に書き続けた。
「よし、今日はそろそろいいだろう。姫、宮が迎えに来ている」
閻魔に言われて、記録紙からようやく顔を上げると、姫の前には宮がいた。
「おつかれさま、姫」
「え、ええ。どこに行っていらしたの?」
不安そうな姫の表情を見て、宮は軽く笑い飛ばした。
「まるで、浮気を責められる夫のようだな。地獄だよ、地獄。地獄行きの魂の先導。さすがに、地獄行きは姫も困るだろうが」
「そうだけど……」
もっと自分の頑張りを宮に見ていてほしかったと、姫は少々拗ねた。すると、宮は不意に姫の左手首をぎゅっとつかんだ。驚く暇もなく、手のひらに唇を落とされる。
「きゃ、きゃっ!」
声とともに、姫の魂が手のひらの上にぷかりと浮かんだ。きれいな青白い炎色。変わらない。
「働いたからって、たったの一日じゃ、変わらないか」
「宮、みだりに姫の魂を体から出すんじゃない。寿命が縮まる」
閻魔が宮を叱ったが、宮は悪びれたふうもない。
「どうせ閻魔に喰われるんだ。こいつに残されている寿命なんて、十年だろうが五十年だろうが、関係ないはずだ」
「寿命の残り少ない魂は、不味い」
「ふうん」
あまり興味がなさそうに宮はつぶやいた。
「それより、現世でなにか起きているのか? 閻魔庁にやってくる魂の数が、半端じゃない」
「でしょう? いくら働いても働いても、魂の行列は全然減らないの。むしろ、長く伸びてゆくぐらい」
姫も同感した。儚い光の列は、途切れることなく、長く長くつながっている。閻魔の文机から、最後尾は見えない。
「その件で、今ちょうど獄卒に調査させている。この魂の量はちと、疑問だ」
「あのう、閻魔……御前さま。魂が増えるってことは、それだけ生きものが現世で亡くなっているってことですよね」
「その通り。現世では、なにかが起きている」
姫は自分の家族に思いを巡らせた。無事だろうか。父、母、会ったことのない弟、妹。邸の女房たち、従者。それに飼い猫の、みゅう。不安の黒雲が心をよぎる。
「心配したってはじまらない。全部明日だ、明日」
退室を促す宮。閻魔も頷く。
「そうだな。姫、今日はよく働いてくれた」
閻魔は姫をねぎらい、笑顔を投げかけた。予期していなかったので、閻魔の笑みは姫の心の奥にまで、すとん届といた。宮も、苦笑とか嘲笑ばかりでなくて、普通にやさしくほほえんでくれたらいいのに。姫は味気なく思いつつも、閻魔に会釈を返した。