表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/23

カラオケにて

 

放課後。

オレと仲のいい三人組が声をかけてきた。さっき席を替わった木村もそのうちの一人だ。

「遠藤、カラオケ行かないかー。」

「あー、婚約者がいるからダメかぁ?」

田中も言った。もちろん本気で言っているわけではないが、冷やかされて、なんとなくむっと来た。

「行くよ。」

田中が誘った。

「あ、さくらちゃんもどう?」

しかし、彼女は首を振った。

「ううん、歌える歌もないし、用があるから。じゃあね、勇太。」

さくらは手を振って、去っていった。

「じゃあねぇかぁ。可愛いな。」

「うんうん、遠藤にはもったいない。」

「あのな。」

 オレは抗議したが、そんなことは聞いちゃいない。

「笑顔がいいんだよ。」

「そう?」

「そうだよって、亜紀……。」

 木村の彼女が後ろにいた。

「へぇ、ああいう子が好きなんだぁー。へぇ。」

「いや、あの、もちろん、亜紀のほうが可愛いよ。」

「ふんっ。」

「あ、亜紀……。」

 木村は慌てて、彼女の後を追いかけていった。

「あーあ、怒らせた。」

「そりゃ、怒るよな。」

「だろうな。とりあえず、玄関で待ち合わせだから行こう。あ、近藤たちもカラオケ行かないか?」

 くるりと振り向くと、東とその友だちの近藤が立っていた。田中は、この近藤さんに気があるようだった。

「行く?」

「いこうか。」

 女同士で結論が出たらしい。

 カラオケには仲直りしたのか、木村たちと田中、東さんに近藤さんで、全部で六人で行くことになった。


 カラオケにて。

 まだ、オレの婚約の話は続いていた。部屋に入るなり、木村が言い出した。

「それにしても、急な話だよなぁ。高校生で結婚なんて。」

「俺なんてなんにも考えてないけどね。」

「オレだって!急に聞かされたんだ。」

 とにかく、東に聞こえるように、誤解されないように、一生懸命に事の顛末を話した。

「でも、結婚するんでしょ?」

 亜紀が言う。こいつは、オレと小学校の時からの付き合いのせいか、ずけずけものを言う。

「知り合ったばっかりで、できるか!つーか、しねぇよ!」

「やっぱり、家が大きいから政略結婚とかじゃないのか?」

「ええ?」

 俺は怪訝な顔をした。

「家は兄さんたちが継ぐんだよ?政略結婚するなら兄さんたちだろうが。だいたい、いまどき、そんなものあるか?」

「あら、ドラマだとあるわよ。」 

近藤が言う。

「オレの場合は現実に起こっているの。」

「ねぇ、あの子、一緒に住んでいるのよね?」

「あ、ああ。」

「そうなの?」

 亜紀が目を丸くした。

「ばあさまが勝手に家に入れたんだよ。」

「あのこ、ちょっと言葉に癖があるけど、どこから来たの?」

 東が唐突に言った。

「さぁ?」

「ええ!?知らないの?」

 亜紀はますます目を丸くして言った。

「え、いや、聞いたけど、答えてくれなかった。」

「あやしぃー。」

 マイクを使って響く声のままで、田中が言った。

「なんだよ、なにがだよ!」

「身分隠して花嫁修業かなぁ。」

 近藤はなにやら夢を見るかのように言った。

「よし、俺、これ歌う!」

 急に田中は数字をいれて、最近のドラマの主題歌を歌いだした。なんとなく、今の話がオレの頭の中でぐるぐる回っていた。政略結婚……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ