二番目の兄
〜二番目の兄〜
「え?また?」
学校から帰宅するなり、オレは言った。
「お兄さん、来てるんですか?」
一緒に帰ってきていたさくらも言った。
「今日は、勇次だよ。どうしたんだろうねぇ。続けて兄弟してくるなんて。まったく。同じ日にくればいいものを……。」
ばぁさまはぶちぶちと言った。
「よぉ。おかえり、お二人さん。」
昨日、勇一がくつろいでいたソファで、今日は勇次がくつろいでいた。
「どうしたのさ、急に。」
「いいじゃないか、たまには。昨日、兄貴が来たんだって?」
「そうなんだ。」
「ふーん。」
「ハイハイ、先に着替えてらっしゃい。」
「はーい。」
さくらは素直に返事をして、部屋を出て行った。オレも出て行こうとすると、勇次が言った。
「おい、勇太。」
「なに?さくらとのことだったら、なにも変わってないよ。」
「なんだ?兄貴も昨日、聞いたのか?」
「うん。」
「さすがだな。」
勇次は苦笑いをした。
「じゃ、着替えてくる。」
オレは部屋へと戻った。兄、二人してなんだというのだろう。
「ゆっくり、食べなさい。」
そう、いつも母親に言われていたように、今日も勇次は言われていた。
「いやー。ついね。うまかった。ごちそうさま。」
勇次は満足のため息をついた。そして、しみじみと言った。
「やっぱり、和食はいいねぇ。」
「よかったです、おいしくて。」
さくらはにこやかに笑った。
食後。
「あ、コーヒー?いらない。苦いんだもん。お茶くれる?」
「はい。」
お茶を入れに台所に行ったさくらのあとを追いかけるように勇次は追いかけていった。
「ただいまー。」
「あ、父さん。」
「はいはい。」
ばぁさまと母さんは父さんを迎えに行った。オレは、コーヒーが無いからと台所に向かった。
「おい、さくらー。……なに、やってんの?」
そこでは、勇次がさくらの腕をつかんでいた。
「あ。いえ、もうすぐ勇太の誕生日だから、プレゼントの内容交換を。同じものだとつまらないから。ね?」
さくらは慌てたように言った。
「ん?ああ、そうだな。」
慌てて勇次もそう言ったが、嘘のようだ。
「……父さん、帰ってきたぞ。」
「ん?じゃ、俺は父さんに挨拶だけして、帰る。」
そう行きかけて、勇次は振り返って言った。
「あ、勇太。あんまり長い間、なにもないようだったら、俺がもらうからな。」
「兄さん……。」
「じゃなー。」
勇次は手をひらひらさせて去っていった。
「勇太、コーヒー、おかわり?」
「ん?ああ、そう、頼む。」
「はい。」
さくらはコーヒーを入れだした。
「なぁ、さくら。」
「はい?」
「兄さん、なんだって?本当に、口説いていたの?」
「まさか。あれは冗談ですよ。彼女がいるんですよ。」
「嘘。マジ?」
「ええ。だから大丈夫ですよ。」
さくらはにこやかに笑った。そういうことを聞きたいのではないのだが、さくらの顔を見ていて、まぁ、なんだか平気なような気がしてきたので、オレも笑った。




