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第七話;同類として

五年前、ディーク少年はこの世界を出ることを決意した。まず、それには待望の知識が必要不可欠となった。そして、この世界を出る方法を手探りに調べていった。しかし、それはとてもつらいことだった。現実にはこの世界を抜け出したものはなく。ここの世界を出ようという者は誰もいなかったからだ。未経験、未知の経験。ディーク少年は戸惑いだしたのだ。かならず出ることは出来る。出来るはずなのだ。しかし、神話などを調べるに連れて思いもよらない答えに行き着いてしまったのだ。それというのは、ある青年の話だ。この世界が、まだ封印されていなかった時の話である。その青年は、突然行方がわからなくなってしまっていたこと。その青年の家には、妙な文面、地図、などが発見されたそうだ。しかし、未だに行方は知れず、消えた記憶として本に載っていた。ディーク少年は、その青年、ガブルの持ち物を集め出した。それには、世界の構造が記されていた。このような情報はいくら探しても出なかったもので、大いに役立つと考えたのだ。しかし、重要な封印外へ出ることは書かれていなかったのだ。そして、そのことに気付いたのは一年前のことだった。そして、諦めざる終えなくなった時、ジンの世界を出るという決意を知ったのだ。そして、ジンのことが頭に引っかかり周辺を調べ上げたのだ。ジン=グリンはこの世界の外から来たことが判明したのだ。そして、ジンの両親のことは何も記されていなかった。ディークにとってとても気になる人物だった。そして、つい昨日のこと・・・ルージィアの両親から頼まれたのだった。「娘と息子のことなのだが・・・ディーク、あんたは昔この世界について調べていたんだろ?お願いだ・・・2人の力になって欲しい。」と頼まれて、今の状況に至る。

            *

「わかったか?」と、理解を求めるようにディークはジンのほうへ振り向いた。ジンは、一度消した火をつけた。そして、明るくなった視界でディークを見た。「言いたいことはわかった。」偉そうな口調で言うのは、本当に信用はしていないからだ。ディークは自分達をだまそうとしている。ジンの勘はそう判断した。ディークは火を見つめて言った。「信用ならないのはわかっている。地図だって渡すつもりなんてなかった。」と、意見を述べて付け加えた。「しかし、昔のことだ。」遠い空を見渡して溜息混じりにそういった。ジンはその表情を眺めていた。空気は、また入れ替わって新鮮なものだった。そんなに時間は動いていないように見えたが、もう東の空がうっすら白かった。そして、朝日が昇ることを知った。「ディーク!とにかく、少し寝させてくれ。・・・お前も寝ろ・・・。」ジンは照れくさそうに言った。ディークはコクリと頷いてジンの後に続いた。そして、つかの間の就寝時間が過ぎた。

朝は、すがすがしかった。太陽は、もう高い位置まで上っており昼間くらいだろうと予測できた。ジンが起きる前にルージィアは起きていた。そして、「おはよう。よく眠れたわ。」と笑顔を振り撒いていた。そして、その後怒った様に言った。「ジン!なんで、先生が来た時起こしてくれなかったの?もぉ・・・。」ルージィアは2人だけのやり取りを心配していた。よく、口論をする上殴り合いなどもしばしばあった。敬遠の中という言葉が相応しかった。そうこうしているうちに、さわやかな薄ら笑顔を浮かべてディークが茂みからやってきた。「やあ。おはよう。朝食はどうするんだい?」と、といった。当然ジンが作ることになった。ジンは一晩で腕をあげた。朝食はパンにサラダ。しんみりした庶民の朝食だ。昨晩のカレーは、一晩置いて熟成さあせてから食べることにした。ディークは三人分のコーヒーをいれている。ルージィアはいるとドジばかりするので遠く離れた川原で水を水筒の中に入れいた。この頃の世界の水筒は木のふと枝の中をのぞいた筒状のものに丸くくりぬいた気の底をはめ込んだものだった。ルージィアは、少し溜息をついて考え込んでいた。(私・・・邪魔なのかな?ドジばっかりだし。・・・でも、ジンとは離れたくない。・・これは、ある一種の決意なのだし・・・。そうよ!大丈夫。)ルージィアは、水がくみ終わったのでジンのところへ戻ることにした。ルージィアもジンと同じ考える事が苦手だった。そして、ルージィアがジンたちのもとへ戻ると、そこには“朝の朝食の代表”のようなものがずらりと並んでいた。その料理というのは、フライパンで焼かれたサクサクっぽい焦げ目のついた食パン。新鮮に水の雫がついているレタス・キュウリ・トマト・・・などなど。そして、湯気が立ちのぼるブラックコーヒー・・・。ルージィアの目は星が三つ漂っていた。(お、おいしそう。ジン、また腕上げたみたいだわ・・・。)ルージィアの表情に一瞬くもりが見えた。(ジンは何でもできる子だわ。ただ、やらないだけで・・・。私なんてやっても、やってみても・・・うまくいかないんだもの・・。嫉妬なのかしら?)ジンはルージィアが戻ってきたのを目で確認して「ルージィア、準備できたから食べようぜ。」と、元気良く声を響かせた。ルージィアは、さっきの考えは何処吹く風といったように晴れ晴れした笑顔を見せ頷いた。


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