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第六話;教師として

ルージィアが寝てしまった後、ジンは灯がともった焚き火の火を見つめていた。辺りは、やはり暗く、静かだった。昔の思いにふけっていたジンは片手にコーヒーを入れたカップを持っていた。しかし、その沈黙は草の音でかき消された。(誰かが・・・・来る・・・。)ジンは火を自分の足で踏み消した。武器は短剣が五本だけだった。これはジンが拾われる前から身に付けていたものらしい。その短剣を足にぐるぐる巻かれた両足の包帯に二本ずつ。そして、手に一本所持していた。長い沈黙の重い空気があたりの空間を取り巻いていた。そして、また一歩と近づいてくる。草はカサカサと鳴り、相手はその音やこちらを警戒していないように感じられた。だが、油断は命取りになりかねない。ルージィアの命の守らなければならない。そのことが、少し重荷に感じられた。(後、一歩・・・いや、三歩踏み出したら即駆け出して刺す。)ジンがそう考えたのは集団ではないので山賊ではないと思えるし、腕っ節がいい大男でも俊敏に動けるジンならば射程距離以内だからだ。しかし、影から見て大男ではないようだった。しかし、油断はしなかった。(あと、二歩)刻一刻と射程距離以内に踏み込んでこようとしている人物が手をふってきたのである。それには、ジンも驚いたが(油断させようとしているのかもしれない)と、慎重に相手の動きを伺った。思わず声が出てしまった。「誰だ!」その声は響き渡っただけで返事が返ってくる感じはなかった。そして、相手が最後の一歩を踏み出たときに顔があらわになった。それは、ディークだった。ジンは拍子抜けしたようななんともいえない表情だった。ディークは満面の笑みで微笑みかけていた。

「やあ。追ってきてよかったよ。」穏やかな声音で言うディークは、本当に心の底から言っているようだった。ジンは落ち着きを戻し「で・・・何用?」と、そっぽを向いて聞いた。そのようなこと気にする様子もなくディークは表情を硬く締め本題を切り出そうとしていた。

「ジン。これ、地図なんだが・・・。忘れていったろ?」ディークの手のひらに乗っている物はまさしく地図だったが、ジンは渡されたことなんかあっただろうかと考え込んだ。しかし、見に覚えはなかった。(こんな地図なんてしらねぇ・・・。)ジンはそのことをディークに告げようとしたが「ごめん・・・渡し忘れただけだったね。」開き直ったかのように笑ってごまかした。そして、仕切りなおして本当の本題はというと「実は・・・」ディークは真剣そのものだった。あたりは静寂に包まれていて二人だけの世界へと変わりつつあった。一風吹いた後、ディークの重い口が開いた。そして、発せられた言葉とは・・・

「僕も・・・連れて行って欲しいんだ!」おちゃらけた空気が周りを漂っていた。そして、ジンはつっこむ気も失せたらしくその言葉を聞いた直後に立ち上がり木陰の方の寝床へ向かおうとしていた。「ジン・・・。真面目な話なんだ。」縋るような声でディークは言った。そして、ディークはジンを回想シーンへと引きずり込んだ。


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