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第五話;女の子

「はあ・・・・。走ったら疲れた・・・。」

(ジンのやつ!この私を置いてくなんてできっこないわよ!だって、私も決意が固まっているんだから!未知の世界だろうが魔物が出ようがジンがいれば別よ!後悔なんてしやしない!)



出発当日が来た。ジンは荷物を手に持ち家の外壁を眺めていた。懐かしい思い出がこみ上げてくるがそれもただの重荷に過ぎなかった。しかし、そう簡単にすてられないのがひしひしと心の中で苦痛となって感じられた。もう、迷わないと決めたのに・・・。

「じゃあ・・・。」と、言ったものの一歩目が進み出られなくなっていた。ホリスはそんな息子に「行け・・・」と、一言いったのだ。ジンは、少し微笑んだ。そのホリスの行動はいつもと変わらないホリスの優しさだったから・・・。

「行って来る!」

一歩踏み出したら、二歩・・・三歩・・・。と、自然に出た。あまりの自然さに驚きもしたが後は振り返らず焦らず・・・涙をこらえて・・・・進んだ。ある意味での前進だった。


しばらく道なりに歩いているとそこへ、木立に立った人影がこちらを見ていた。それは、間違えなくルージィアだった。ルージィアが道に出てきたら何か仕草をしていたのが見えた。あまりにも読み取りにくいものだったがジンには何となくわかっていた。(きっと、あれのことか・・・。)ジンは駆け足でルージィアのところへ行った。ルージィアの顔は膨れっ面だった。其れを見るなりジンは噴出しそうになったが笑っている場合ではないことがわかった。ルージィアは真剣な顔つきで「連れていきなさ!もう、荷物があるんですから!このままじゃ家になんて帰れないわっ!」強気に出るのはいい癖とはいえないのだが、いつも通りのことにジンは(少しは学習しろよ)と、言う気持ちになっていた。ルージィアは返事を待っているみたいだったが、もう後に引けないという決意が目に見えていた。ジンは渋々「ついてこい。」と、言う一言だけだった。その、偉そうな態度に腹立たしい様子を見せていたルージィアだが文句もいえずに言葉どおりついていった。いつもは会話が弾む2人でも、今回ばかりはそうは行かなかった。後戻りも出来ないたびの始まりなのだから。ジンはディークの言葉を思い出していた。まずは、封印のことだ。五ヶ所の場所を記した地図は持っていないが、そのことに心配はなかった。今通っている道のところでもデカイ大きな山が五つ見える。そして、山の名前はわからないがこの先十キロで山のふもとにつく。この封印の町はそんなに広い土地でないためそんなに移動に時間が掛からなかった。「ジン・・・・。」ルージィアがいきなり話し掛けてきた。ジンが振り向いてみると物凄く距離が離れていた。「どうした?」大金声で叫んで駆け寄った。ルージィアはへたれこんでいた。空腹か疲れたかのどちらかと見当はついた。(だから、女連れてくのは・・・)っと、ジンが思いにふけっていると。「歩くの速いのよ・・・・!」と、それだけだった。「もう、そろそろ日が沈む頃だ。」と、ジンがさり気なく言ってみると「じゃ!休みましょう!暗いのは危険だわ!」と、嬉しそうに言った。ジンは少々溜息混じりに「はいよ・・・・・。」といった。それがルージィアには不満だったらしい。顔が少し膨れていた。

夕食の支度はルージィアに任せようと思っていたが、ジンはルージィアが料理することができないことも知らずに任せていた。しかし、いきなりルージィアが叫びだした。「もーこんなの無理!」怒鳴り散らして近くにあった川沿いへ走っていってしまった。(仕方ね―か・・・・。生きていくためだ。俺が作ってやる!)ジンは闘気を燃やして旅の一般メニューカレーを作った。初めての料理だったが毎日サリナのおいしい料理で舌が肥えていたので味見をしながら調節していったら、なんとサリナに負けないくらいの味になった。ジンは満足げに鼻を啜っていた。そのカレーを家から持ってきた皿に移して盛り付けをした。立派な夕飯が出来た。そのとき、とぼとぼとルージィアが歩いてきた。カレーの匂いにつられてきたのだろう。ルージィアは笑いながら「お腹すいちゃった・・・。」っと、いって照れていた。ルージィアは作れないことに申し訳なさそうだったが、其れを悟ったジンは「気にしなくていいからな・・・お前は食べるほうに専念してればいいから・・・。」と、男らしい?台詞を言ってみた。ルージィアはコクリと頷いてカレーにがっついていた。

次第に辺り暗くなり、あたりは銀世界へと移り変わっていった。ここら辺には家がないためほとんど光の邪魔が入らず月の光と星の光だけの世界だった。(これが本当の世界なんだな・・・。)方ひざを曲げて座っているジンの横にルージィアが腰を下ろした。ルージィアも夜空の銀世界に見入っている。ルージィアはジンから見て幼さが残っていたが夜空の光に照らされた顔には大人びた一面があった。ジンは数秒の間ルージィアに見とれていた。綺麗、美しいと、言う言葉はうかんでこなかったものの何か心の中で暖かいものに触れた感じがした。ルージィアがジンのほうに振り向くとジンは顔そらし少しの沈黙をやり過ごした。そして、長い時間2人は夜空を堪能した。


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