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第一話;平和な世界

「俺・・・・。違う世界に行きてぇ・・・。」

(俺が願うことは、幸せが訪れること・・・。それしか、思い出せることがないからかもしれない。)一本だけ立っている木陰の樹皮に寄りかかり空を眺めている。空は快晴と晴れの境目だったが

ジンの心は晴れ渡ったとは言いにくい心模様だった。


「ジン=グリン・・・。」

「あれ・・・?探していた?」


授業を抜け出してきた俺を探しにルージィアが、借り出されたらしい。(ルージィアは、俺を引き取ってくれた夫婦の一人娘。だから、生まれたときからの兄弟みたいな・・・。)ここの世界は山と山に囲まれた極小さな町だ。

「ジン・・・。あんたね・・・サボるからバカなのよ。」

「うるせぇ。俺は、早く違う世界にいきてぇんだよ・・・。」


(そうさ・・・。此処は平和すぎる。ここより、もっとひどい街があるんだ!だから、その人たちを救ってあげたい。ただの、自己満足って言う訳じゃないんだ・・・『孤独』に、生きて来た・・・。俺だからこそ・・・だから・・・!)


ドカッ

「いってぇ・・・・。」


「何いってんのよ!此処は、唯一封印されている世界なのよ!安全なの!当たり前でしょ?だったら、なんで危険な場所に行こうとするの?」


「・・・うるさい・・・。あっちいけよ・・・。」


「もう、知らないんだから!」


あいつは、心配してくれてんだろうな・・・一応『家族』って、やつなんだから・・・。俺の、『母さん』『父さん』って、人たちは今どうしているんだろうか・・・?俺は、憎んでなんかいないのに・・・。どうして、迎えにこないんだ?寂しいのは・・・わかっているくにせよ・・・。)そう考えていたジンは数分考え込んでいた。やはり決意は一つなのだと顔にはあらわになっていたが晴れ晴れとしなかった。頭の中には雨が降ってきそうな勢いだった。だが、その一本立っていた木下から動かなければまたルージィアが来るので動かざる終えなくなった。この気には思い出があったため無意識のうちにここへ来るのはジンの悪い癖だった。


「俺・・・・いつか旅に出てやる・・・・。」言葉に発しないとまた決意に乱れが出てしまうと思ったのかいつにもまして勢いが出ていた。

とりあえず、その場にいると教師がやってくるので羊小屋へと移った。


「おい。なにやってんだ?問題児が!」

「げっ・・・。」


(俺は、なんてバカなことしたんだ・・・イズリ爺ちゃんの小屋にはいちまった!)

「いてぇよ・・・・。」

イズリに、耳を引っ張られて学校へと連れて行かれた。

「勉強しろ!」イズリはその大きな声とその腕力でアッ圧倒して強いのだ。だから、ジンがかなうはずもなく、ただ引きずられ行くのみだった。

「あー・・・・。つまんね―ぇ。」教室に戻って勉強をはじめて数秒のことだった。

バコッ何かが飛んできてジンの頭にぶつかった。それは、洗濯バサミだった。

「何すんだよ!クソ教師!」洗濯バサミを気にすることもなくジンは声を張り上げた。

「言葉を慎め!」ディークはジンに負けじと大きな声を張り上げた。

(学校の教師フィリオ=ディーク。ちなみに、十八歳、性別、男。独身。彼女なし。趣味、つまんね―授業をすること!(俺流)特技、物を投げる。)

「ジン=グリン、真面目になれ。」呆れたように言った。

「うっせー。」ジンも毎度のことに飽き飽きしていた。

バコッお次にハンガーが飛んできた。多分、ズボンとかを掛ける小さい形の方だと思われる。

「なにしやがる!」やはり声をあげずにいられなかった。

「先生に向かって言うことか?」言葉を慎めと同様な口ぶりで言った。

「そんな歳もかわんね―じゃんか!」確かに歳はそんなに変わらなかった。離れていたとしても一歳か二歳程度だろう。ジンの年齢は一切不明なのだし・・・。

「先生!ジンはほっといて授業進めてください。」ルージィアが綺麗な透き通った声で異論を述べている。「それもそうだね。」ディークはその異論に納得するようにジンを抜け物状態に放って置いた。

「これは・・・・・・・・」教室の中にはディークが授業を進める声が響き渡る。

(クソ教師!うっせーやろうだ・・・。家族みんなこの平和な空間に住みやがって・・・クソッ。ふざけんな!)ジンはディークを相当嫌っていた。それも、仕方ないと片付けてしまえば楽なことだ。しかし、そうもいかないのが人の定であろう。

(フィリオ=ディークは、俺が一番嫌いなやつだ。生まれたときから、幸せに暮らしてやがった。俺なんて、故郷はきっと此処じゃないだろうし、母親も、父親も・・・顔なんてもんもしらね―。だから・・・・。むかつくんだ・・・。才能あふれた人材だとか言ってもてあそばれて、俺なんて才能もありゃしない。)

「ジン!」

「ルージィアか・・・。なんだよ、説教ならイズリ爺にされたからいらん。」

「ちがうわよ。あんまり、ディ―ク先生をいじめないで。」

「は?俺、いじめてなんかね―よ。」

「・・・、先生は・・・」ルージィアが言いかけたときディークは優しく笑って首を横に振りながら穏やかに言った。

「コラコラ、もう下校の時間だよ。」

「先生・・・」ルージィアは心配そうにジンを見つめていた。

「ルージィア・・・大丈夫だから・・・・。」


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