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第5話 月と和

 月と和


 清原月あかりが、広瀬和なぎと出会ったのは、お嬢様やお坊ちゃんが通う有名な幼稚園から大学まである名門の学校の中等部のころだった。

 二人は十四歳で、同じクラスになった。

 真っ暗な夜の中で、きらきらと輝く星たちみたいなクラスメイトたちの中で、月と和は少しだけ暗い色のあまり光り輝いていない、見つかりにくい二つの星だった。

 二人ともとても美しい顔や形をしていたし、学問の成績も良くて実家もすごいお金持ちだったけど、少し変わっているところがあった。

 二人とも甘やかされて育ってきた美しい鳥籠の中の小鳥のような同じ十四歳のお嬢様やお坊ちゃんたちよりもほんの少しだけ大人っぽかったし、幸せそうな顔で鳴いたりあまり笑ったりもしないで、(月はお父さんとお母さんが喜ぶから、それに自分の身を守るために演技でそう言うことはよくやっていたけど)どこか冷たいような雰囲気があった。

 もっとわかりやすくいってしまうと、『距離が遠かった』。

 月も和もきらきらと輝く星ではあったのだけど、ほかのみんなよりもずっと遠いところにいて、そこで孤独に輝いていたのだと思う。(きっと、とっても遠かったんだと思う)

 だから、二人とも友達はいなかった。

 月はご友人たちはたくさんいたけど、それは形だけのもので、どこにも本当の友達はいなかったし、和はいつも一人でいた。(よく空を見ていた。それから、よく寝ていたし、よく本を読んでいたっけ。とってもかっこいい横顔だったな)

 ある日、月が忘れものをして教室に入ると、誰もいないと思っていた夕焼けの美しい赤色に染まった世界の中に和がいた。

 和はいつものように、窓際の自分の席に座っていて、そこからぼんやりと真っ赤な色をした夕焼けの空を一人でじっと見ていた。

 月はそんな美しい和に見惚れてしまって、和が涙を流して泣いていることにはじめは全然気がつくことができなかった。

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