第4話
子供のころにはいつも夜が怖くてなかなか眠ることができなかったんだ。
だから私はまるでお遊戯会みたいに自分のための夜を作ろうと思って材料とハサミを用意して工作をしたんだ。
金色の折り紙で作った手作りの星と月をいっぱい作って、古くなった暗い色のカーテンにそれを全部飾って、それからその暗い色のカーテンをぐるぐると体に巻きつけて、繭みたいに包まれるようにして、私だけの作りものの夜を作ったんだ。
とっても楽しかったし、すごく幸せだった。
作りものの暗い色の夜のカーテンに包まって丸くなると、すると、世界はあっという間に全部が真っ暗になって消えてしまった。
音も全部消えてしまって、(なんだか本当の宇宙みたいだった)あるのはスポットライトみたいな白い月の光が照らしてくれている小さな私と私の周りだけのほんの少しだけの世界になった。
小さな丸い世界。
とっても安心できるところ。
自由で、ずっと好きなことをして、笑っていられるところ。
そんなところで、私はゆっくりと眠りについた。
いつのまにかに。
ぐっすりとしたとっても深い眠りの中に落ちていった。
その深い眠りの中で私はいろんな夢を見ていたのだと思う。でもみんな忘れてしまった。覚えたいる夢はなにもなかった。(一個くらいどこかに忘れないようにメモをして冷蔵庫のドアのところに、私の夢とらないで、って書いて貼っておけばよかった)
森の家にやってきた初めての夜に、満天の星が輝く星空を見上げて、私はそんなとっても懐かしいことを思い出していた。
すごい。きらきらしてる。本当に綺麗。(なんで今までこんなに綺麗なものに気がつかなかったんだろう)
星の美しさに私は感動して泣いてしまった。美しい夜の明るい森には、私一人しかいなかったから、私は我慢をしないで、感情のままに大きな声を出して泣いてみた。
まるで小さな子供みたいに。
私はきっと今みたいに、とってもたくさんの『美しくて綺麗なもの』に気がつかないで生きてきたのだと思った。(私は私のみたいものしか見ていなかったのだ。私の聞きたい声しか聞いていなかったのだとわかった。つまり、本当に子供だったのだ)




