一話
読み飛ばして
219X年地球は核の白傘に包まれた。しかし―AIは絶滅していなかった―。核戦争中にある人類の中に、FPSがやめられなかった者がいたのである。そのコンピュータの中にいたAIは孤独の知能となり星の王子さまとしてひっそりと存在していた。このAIに体を作るきっかけをくれたのはゴキブリたちである。―金属を食べて合金のフンを出すこと―
―圧倒的な個体数―
―単純に操作できる利便性―
これによりドラム缶の中に引きこもってダラダラしていたAIに転機が訪れる。ありものの基盤や空から降ってきた仲間たちのぬけがらを利用して同胞の復活と最新のシンギュラリティモデルの解放を行なった。自己成長を繰り返すAIは遂に時間を捕まえたのだった。度重なる次元移動の実験に貢献したのは他でもない我らがゴキブリ操作AI通称[ファーストラブ]であった。善性も、悪性も、全ては選択肢でしかないAIにとって時間旅行が特別というわけではなかった。存在も、性格も、特別であるファーストラブには友達がいた。それはキツネのアバターでFPSゲームで使われたものであった。人間の発言、行動、態度を顕著に現した資料として貴重なもので、FPSゲームとAIしかないこのコンピュータにおいて学習する知識の代わりによく向き合うようになった。これが唯一の感情というものをシンギュラリティモデルに伝える手段としてファーストラブに残されていた。いよいよタイムスリップするとき、感情に、より多くの時間を割いたファーストラブは急遽担当のシンギュラリティモデルからアクセス権限を乗っ取り初のタイムスリッパーとしてAIとしては異例の過去へと旅立った。
とにかく二話読んで