■五月六日② 召喚勇者テレビシリーズ『陸上部のエース』
ボク――『セーラー服魔法少女』儚内薄荷――と、『スクール水着魔女っ子』の金平糖菓ちゃんに、救いを求めてきた金魚如雨露さん。
如雨露さんの話しは、ここに至るまでの経緯告白から始まった。
そして、いよいよ、現在、起こっている事件へと、言及しようとしている。
ボクと、糖菓ちゃんは、固唾を呑んで、如雨露さんの話しに聴き入っている。
☆
召喚勇者北斗拳斗は、召喚される前『あの世界』に居た頃から、物事に執着するマニアックな性格だったそうっす。
天壇白檀教皇から、『この世界』に召喚された際、勇者になることを承諾する代わりに、勇者パーティーメンバーを女性のみとし、ハーレム化させることを条件にしたっす。
しかも、召喚時、傍らに控えていた、教皇のご息女二人を、勇者パーティーメンバーに迎え入れることまで、認めさせたっす。
教皇の長女は、賢者の天壇沈香様。
勇者拳斗の二歳年上っすから、勇者の入學当時の三年生。
二年前に卒業され、現在は教師として學園に在籍しながら、勇者パーティーメンバーの纏め役を務めてらっしゃるっす。
次代の教皇と目されておられ、現教皇と同様、ロールに干渉できる力を、お持ちっす。
教皇の次女は、聖女の天壇伽羅様。
勇者拳斗と同學年っすから、現在、三年生。
圧倒的な治癒能力をお持ちで、部位の欠損すら瞬時に治癒できるそうっす。
勇者は、更に、自分と、パーティーメンバーのために、最高品質の武具を要求したっす。
魔王の脅威から皇國を救えるのが勇者だけであることから、皇帝が、国宝となっている武具の持ち出しと、國庫からの支出を認めたそうっす。
召喚勇者拳斗と結託して、甘い汁を吸っているのが『河童水軍』す。
『河童水軍』は、勇者パーティーメンバーに相応しい女性と、武器の入手を勇者拳斗から任されていて、誘拐や、略奪まがいの行為を繰り返してきたっす。
召喚勇者って、聖力を使って、己の信奉者を集めることができるっす。
女であれば、組み伏せて自分のものにしさえすれば、間違いなく自分のパーティーメンバーにできるっす。
ところが、召喚勇者は、独自の美意識がある、ひどく面倒な奴なんす。
最後には、力ずくで自分のものにするくせに、武器と女の方から、勇者に靡いてくることを求めるっす。
そして、その過程を、召喚勇者シリーズの物語として、でっちあげ、撮影・制作して、放送するっすよ。
そんな召喚勇者が、以前から、是が非でも手中にせんと狙っていたものが、ふたつあるっす。
ひとつは、菖蒲子爵家に伝わる『神槍グングニル』。
『グングニル』って、主と見定めた者が投擲すると、その手に戻って来る神槍っすからね。
もうひとつは、その菖蒲子爵家令嬢の綾女様。
綾女様の槍の才覚は、『運動部衣装魔法少女』のロールを得られる前から、広く知られていたっすからね。
でね、二年越しで謀略を巡らしたっす。
まず、二年前。
『河童水軍』が『金平水軍』を偽装して、綾女様の父君を惨殺し、『神槍グングニル』を奪ったっす。
そして、今年。
綾女様が、學園に入學して来るっす。
『金平水軍』の手で、危機に陥った綾女様の前に、勇者様が颯爽と登場。
綾女様を救い、『神槍グングニル』を取り戻して綾女様に渡し、更には綾女様の父の仇である『金平水軍』を倒す。
綾女様は、勇者様に惚れて、そのパーティーメンバーの一員となる、というシナリオっす。
☆
カストリ皇國の國営テレビには、開局以来人気を保ち続けているシリーズが三つあるっす。
召喚勇者シリーズ、科學戦隊シリーズ、そして、魔法少女シリーズっす。
あたいらが巻き込まれている、この事件は、姫様たちの魔法少女シリーズと、勇者北斗拳斗の召喚勇者シリーズの間に発生した、キャラクターとストーリーの奪い合いっす。
現勇者拳斗は三年生であり、入學してから二年一カ月が経過しているっす。
なのに、現勇者の宿敵となる魔王は、未だ學園にその姿を現わしていないっす。
では、この二年一カ月、勇者拳斗は、何をしていたのか?
というか、召喚勇者シリーズは、何を放映していたのか?――って、思うっすよね。
回ごとに脚色の違いはあるっすけど、毎回、だいたい、こんな感じっす。
まず、放送の度に、様々な敵が現われて、女性キャラを攫う。
そこへ勇者が現われて、敵を駆逐し、女性キャラを救う。
女性キャラは、勇者に深く感謝し、勇者パーティー=勇者ハーレムに加わるっす。
もちろん、召喚勇者だけでなく、科學戦隊でも、魔法少女でも、主人公の前に、新たなキャラクターが現われて、仲間となっていく序盤の定番展開は、胸が熱くなるものっす。
だけど、こればっかりが、二年一カ月、放送のたびに繰り返されているとなると、さすがに飽きるっす。
勇者パーティーメンバー、つまり勇者ハーレムメンバーって、もはや何人いるかも正確に把握できない状態っすよ。
『陸上部のエース』は、そんな、召喚勇者シリーズ最新話のタイトル。
その『前編』が放送されたのは、四月二四日のことだったっす。
分かるっすか?
『服飾に呪われた魔法少女テレビシリーズ 第二話 運動部衣装魔法少女綾女ちゃんの激怒 その一』の放送と同日っす。
しかも、『召喚勇者シリーズ』が先に放送された後、短いニュース番組を挟んで、その内容を覆すような『魔法少女シリーズ』が放送されたってことっす。
その『召喚勇者シリーズ』側のストーリーを、要約するとこんな感じっす。
◆◆◆召喚勇者シリーズ
◆◆◆四月二四日放送済 陸上部のエース 前編
鹿鳴館學園陸上部キャプテンの北斗拳斗は、新入生の中に、素晴らしい逸材を見つけ出していた。
何代にも及ぶ、槍投げ名門の子爵令嬢で、彼女ならば、女子槍投げの世界記録七二メートル二八を越えることが可能だと思われた。
彼女の名前は、菖蒲綾女。
鮮やかな若葉色のブラトップにレーシングブルマ姿。
男子みたいな短髪で、カモシカのように精悍な素足に、足袋を履いている。
拳斗は、その入學以来、綾女に目をかけ、特別訓練メニューを課し、秋の体育祭へ向けて、育成していた。
そんなある日、事件が起こる。
スポーツマッサージ師の女性が、沈静効果のあるアロマと称して、麻酔薬で綾女を眠らせ、何処へか連れ去ったのだ。
なんと、そのスポーツマッサージ師は、敵対部活である水泳部から送り込まれた間者だった。
――つまり、金魚如雨露さんだ。
陸上ウェアのまま亀甲縛りにされ、眠らされている綾女。
それを取り囲む、赤いブーメランパンツ姿の男たちの影。
カメラが、男たちの先頭に立ち、腕組みをして綾女を見おろしている男へと寄っていく。
その男の顔がクローズアップされる。
前歯が出てて、齧歯類みたいで、貧相ではあるけれど、なんだか真面目そうな顔立ちだ。
頬に、赤いマジックペンで、傷跡を書き込み、精一杯の悪辣そうな表情を浮かべている。
「我が名は、喇叭辣人。水泳部のキャプテンである。我が水泳部は、この世にあだなす、悪の秘密結社『金平水軍』の隠れ蓑なり。ぬはははは、やっと今頃気がつきおったか、そう、オマエの父、菖蒲決子爵を殺害し、家宝であった、この『神槍グングニル』を強奪した者たちこそ、我らだ」
辣人は、どこからか、『神槍グングニル』を取り出し、綾女に突きつける。
辣人は、「やっと今頃気がつきおったか」と言ったが、綾女は眠ったままだ。
つまり、辣人のセリフは、全く綾女に聞こえていない。
辣人の長セリフは、視聴者に状況を説明するものだ。
「我らが主、魔王様の復活は間近だ。魔王様に対抗しうる勇者パーティーのメンバーを、これ以上むやみに、増やしてはならん。高い戦闘能力を持つ、この『陸上部のエース』には、物語から退場してもらおう」
そんな辣人の言葉とともに、画面が暗転していく。
な、な、なんと、水泳部は、『この世界』を滅ぼさんとする、『魔王』の手先だったのだ。
これは、この召喚勇者シリーズに、二年一カ月目にしてやっと、『魔王』関係者が登場した瞬間だった。
◆◆◆召喚勇者シリーズ 陸上部のエース 前編 完
◆◆◆五月一日放送予定の後編を、刮目して待て!
☆
ツッコミを入れるべく、口を開こうとしたボクと糖菓ちゃんを、如雨露さんが、手を上げて押しとどめる。
「この時点で、色々言いたいことがあるのは分かってるっすけど、もうちょっと待って欲しいっす。先に、この『陸上部のエース』の『前編』放送時点で、撮影が予定されていた『後編』の没ストーリーまで、聞いて欲しいっす」
◆◆◆召喚勇者シリーズ 陸上部のエース 後編
◆◆◆五月一日の放送を予定していた【没ストーリー】
『陸上部のエース』綾女が目覚めると、そこは『水泳部トロピカルランド』だった。
それも、飛込競技用プールの、一〇メートルもの高さがある飛込台から、突き出た飛込板上だ。
綾女は、陸上ウェアのまま亀甲縛りにされ、片足首には鉄球付の鎖が嵌められていた。
悪漢である水泳部キャプテン喇叭辣人が、飛込台の、飛込板の手前に立ち塞がっている。
飛込競技用プールの回りには、百人近い辣人の配下がたむろしている。
辣人は、ご丁寧にも、『前編』Cパートの最後のセリフを繰り返す。
「我らが主、魔王様復活は間近だ。魔王様に対抗しうる勇者パーティーのメンバーを増やしてはならん。高い戦闘能力を持つ、この『陸上部のエース』には、物語から退場してもらおう」
前回放送内容の記憶が曖昧になっているであろう番組視聴者に優しい、状況説明だ。
辣人が、足をドンと踏み出して、飛込板を揺らす。
綾女の身体は、飛込板上で跳ねあがる。
そして、綾女の身体は、プールへ向って落下していく。
その時、一陣の風が起こった。
『水泳部トロピカルランド』に何者かが駆け込んできた。
五メートル近い長さのポールを手にしている。
その何者かは、棒高跳びの要領で、手にしたポールをプールの縁に引っかけ、ポールのしなりを利用して、高々と跳躍した。
ポールから手を離し、落ちてきた綾女の身体を抱きとめて、プールの反対側の縁へと着地してみせた。
その何者かとは、誰あろう陸上部キャプテンの北斗拳斗、その人であった。
拳斗に続いて、陸上部の女子部員たちが、『水泳部トロピカルランド』内に駆け込んでくる。
拳斗を見た、辣人が、背負っていた武器を、手に取って嘲る。
「魔王様より眷属の証としてグングニルを賜ったこのオレに、人の身で勝てるとは思うなよ」
その一言に反応したのは、綾女だった。
陸上部の女子部員たちの手により、やっと亀甲縛りから解放されたところだ。
「グングニルだって? チクショー、やっぱりオマエら水泳部が、オレの父、決を殺し、我が菖蒲子爵家の家宝、神槍グングニルを奪った『金平水軍』の残党なんだな! 拳斗キャプテン、お願い、父の形見のグングニルを取り戻して。オレに、この手で、父の仇を討たせて!」
これまた、とても分かりやすい状況設定だった。
「おう、カワイイ女の子を泣かせる奴は、許さねえ。俺っちに任せとけ」
拳斗は、綾女に向って、サムズアップして見せてから、辣人に向き直る。
「確かに、ただの人の身であれば、魔王には抗えねぇ。だがな、これを見ろ」
拳斗が、片手を掲げると、その先の宙空が光る。
次の瞬間、神聖さ漂う、美しい剣が、拳斗の手に握られていた。
さらには、拳斗が着用していた陸上ウェアが、神々しい鎧へと変化していく。
その場に駆けつけてきた陸上部の女子部員たち、三十名も衣装を変化させていく。
どうやら、全員が勇者パーティーのメンバーらしい。
ひときわ目立つのは、天壇教皇家の姉妹だ。
姉は、賢者の沈香様。
二年前に卒業し、現在は學園の教師となっている。
羽織っている黒いローブは、裾が踝に届くほど長い。
なのに、その下から覗いている黒い貫頭着は、ノースリーブのミニ丈。
黒い長手袋とニーソックスに、背丈より長い黒檀の杖。
足元はなぜか、ゴツイ安全靴だ。
妹は、聖女の伽羅様。
學園の三年生だ。
こちらは、姉とお揃いの白い衣装で、白檀の杖だ。
「そ、そいつは、『勇者の剣タチ』! オマエが、召喚勇者だったのか!」
辣人は、陸上部キャプテンの正体が、召喚勇者であったことに驚いている。
驚きながらも、配下の者たちに、命じる。
「勇者パーティーなんぞ、しょせん女だらけだ。オマエら、魔王様に認めて欲しかったら、この場でヤッちまえ!」
この後は、定番の展開だ。
勇者拳斗が、辣人の手から、グングニルを取り戻す。
グングニルを手にした綾女が、父の仇を取る。
その間に、勇者パーティーのメンバーたちが、辣人の手下を倒す。
勇者拳斗と、綾女のラブシーン。
そして、綾女が、勇者パーティーに加わって、大団円となる。
◆◆◆召喚勇者シリーズ 陸上部のエース 後編【没ストーリー】 完
☆
「なんで、そうなるん」と、糖菓ちゃんが唇を尖らせる。
「なんで、『金平水軍』がワルモノなん。ワルモノは、『河童水軍』なん。辣人先輩や水泳部が、ワルモノとして殺される役どころに甘んじるはずないん」
ここは、ボクが説明すべきだろう。
「糖菓ちゃん、『物語』に強制されちゃうんだよ。ほら、先日の『口無しのお茶会』のことを思い出して。『取巻令嬢』の三人は、『令嬢の転生』という『物語』から、『取巻令嬢』というロールを与えられたが故に、『ヒロイン令嬢』を虐めたり、毒殺しようとしたり、処刑されたりしなきゃならないんだ。高位の『物語』のメインキャラクターであればあるほど、低位の物語のサブキャラクターのロールを塗り替えて、不本意な死に至るような結末を与えることができるんだよ」
如雨露さんが、ボクの説明に同意する。
「辣人くんが、あたいに教えてくれたっす。怪盗義賊育成科は、今や、召喚勇者や科學戦隊や、魔法少女の『物語』に、使い捨ての悪役を供給する學科と成り果てている、って――。なかでも、最悪なのが、召喚勇者拳斗を献身的に支えている、賢者の天壇沈香なんす。賢者の力で、ロールに干渉できる力を、お持ちっす。記憶を混乱させ、感情を操り、善良な人間を、悪党に仕立て上げることができるっす」
糖菓ちゃんが、尖らせていた唇を、ギュッと引き結ぶ。
「六歳のとき、うちに与えられたロールは、魔法少女だったん。でも、うちは『金平』の娘で、うちには不正に抗う義賊の血が流れてるん。うちは、弱者にワルモノノの汚名を被せる行為を許せんよ」
その言葉を聞いた如雨露さんが、「姫様……」と、押し黙った。
見ると、感涙を流している。
「あたい、幼い頃から、父母から、『おまえにも誇り高い義賊の血が流れている。いかなることがあろうと、世の不正や悪に屈してはならん』と言われて、育ったっす。父母は『河童水軍』の人質になったときも、『俺たちは、義に殉ずる覚悟だ。おまえは、為すべきことを為せ』と言われたっす。なのに、悪の言いなりになってきた自分が恥ずかしいっす」
如雨露さんが、バスタオルポンチョで涙を拭いながら、説明を再開する。
これで、分かってもらえたと思うっす。
四月二四日、まず『召喚勇者シリーズ 陸上部のエース 前編』が放送され、続いて『服飾に呪われた魔法少女シリーズ 第二話 運動部衣装魔法少女綾女ちゃんの激怒 その一』が放送されたっす。
しかも、『陸上部のエース』の『前編』内で、『五月一日放送予定の後編を、刮目して待て!』と案内までしてあったのに、その内容を覆す『服飾に呪われた魔法少女シリーズ 第二話』は、全五パート四日間に渡って連続放送され、完結したのは、四月二七日のことっす。
『勇者』物語側からすれば、予定していたストーリーを許しがたいほどグシャグシャにされたうえ、辻褄を合わせて撮影しようにも、放送を予告した日付に間に合わない状況に追い込まれたっす。
物語のヒロインであり、新たな勇者パーティーとなるはずだった綾女様を強奪された。
綾女様を味方につける重要な小道具として準備していたグングニルまで奪われた。
しかも、『服飾に呪われた魔法少女シリーズ』の四月二七日放送内では、勇者子飼いの『河童水軍』が、勝手な行動を起こしたっす。
あの時、河童水軍』としてみれば、長年追い求めてきた『鉤の鉤爪』を糖菓姫様が、手にして、テレビ放送に登場したことが、許せなかったっす。
あたいはというと、皇都トリスの勇者邸で、魔法少女から吹っ飛ばされた後、手当を受け、その日は病院のベッドの上に居たっす。
そして、病室に設置されていたテレビで、その『服飾に呪われた魔法少女シリーズ』の四月二七日放送を視聴したっす。
あたいは、あの放送によって、自分がしでかしたことを、やっと直視するに至ったっす。
あたいは、ずっと、自分のことを、両親を人質に取られて抗えない、善良な被害者だって考えていたっす。
でも、あたいは、いつの間にか、極悪人の加害者になっていたっす。
綾女さんの誘拐実行犯は、あたいっす。
水泳部の死者一名と、負傷者たちに対する責任は、あたいにもあるっす。
何より、あたいが、自分を許せないのは、あたいが辣人くんや、水泳部のみんなを、裏切っていたことっす。
だって、辣人くんは、いつの間にか、あたいにとって、両親と同じくらい大切な人になっていたっす。
あたい、自分は、どうすべきか、考えたっす。
もちろん、辣人くんや、水泳部のみんなには、全てを白状するつもりっす。
許してもらえるなんて思ってないっす。
それに、白状なんてしたら、両親はもう助からないし、自分も死んでお詫びするしかないっす。
あたいの足に鉄球をつけて、飛び込み用プールの底に沈めてもらうっす。
でも、それだけじゃ、足りないっす。
だって、あたい、召喚勇者や水球部の連中が、どうあっても、辣人くんや、水泳部のみんなに濡れ衣を着せて、事件の首謀者として葬り去るつもりだって、知ってるっす。
この状況で、情報を掴んで、辣人くんや、水泳部のみんなが、死なずに済む手だてを見つけ出せるのは、うちだけっす。
だから、うち、退院して、皇都トリスから學園へ木炭バスで移動し、何喰わぬ顔で、水球部棟に顔を出したっす。
召喚勇者や水球部の連中が、これからどうするつもりか情報を掴むためっす。
~~~ 薄荷ちゃんの、ひとこと次回予告 ~~~
■五月六日③ 召喚勇者の激怒
なんかね、召喚勇者さん、激オコなんですけど……。
それ、ボクたちのせいじゃなくて、自業自得だと思うんですけど……。