エピローグ
蓮が旅だって、そして私も、いくつも歳を重ねて、最期は家族に見守られながら、この世を旅立った。
それから、何年も経って。
「うわぁ、大学って、ほんとに部活やサークルの勧誘すごいんだ」
私は、念願だった医学部に入学して、今ちょうど入学式が終わって会場の外に出たところ。
どうしてかはわからないけど、私は物心ついた頃からお医者さんになりたがっていたらしい。
幼い子どもの頃からの夢がブレることは一度もなく、私は医師になるために必要なことを知り、そして医学部という狭き門をくぐるため、必死に勉強した。
今は、臨床医師ではなく、病理医師になりたいと思っていて、必須の講義以外は、病理学をメインにカリキュラムを組むつもりだ。
私の目標は、ガンの撲滅。
発症を無くすことはきっと無理だけど、ガンに罹患しても、少しでも多くのガン患者を救う、その為に、副作用の少ない抗がん剤や、他にもガン細胞だけを死滅させるあらゆる方法を、確立したいと思っている。
たとえ、ステージ4と診断された患者さんでも、寛解させられたらいいと思う。
それが、私の現在の夢。
医学部は忙しいから、サークルとかは無理かなぁ。
そう思いながらも、勧誘の先輩たちをキョロキョロ見ていた私は、ある人の姿に釘付けになった。
特に目立つところもない、普通の、男子学生。
なのに、目が離せなくて。
──やっと会えた。
心にそんな言葉が浮かんだ瞬間、涙がボロボロとあふれ出した。
涙の膜で歪む世界で、相手の男の人も泣いているのが見えた。
意味がわからなかったけど、ただ、とにかく懐かしくて──
私はこの人に会うために、生きてきたんだと、この道を歩んできたんだと、そう、唐突に理解した。
ゆっくりと、その人が近づいてくる。
「……君の、座右の銘は……?」
「「有言実行」」
二人の声が重なって、私達はまるで昔からの恋人のように、なんの疑問もなく、きつく抱き合った。
〜fin〜
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
他の作品は、まだ連載が続きます。




