表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の嘘  作者: pon
31/34

思い出を仕舞って side蓮

翌日、俺はよく眠らないまま、部屋を片付けた。

次の日には親が看病に来てくれることは決まっていたけど、親に俺の生きた証を片づけさせるのは可哀想だから。


綾との思い出も、一つ一つ大切に箱に入れた。


もう着ることがないスーツも、一着を残して売りに行った。

普段着なんかは、全部燃えるゴミに出した。


生活用品や本なんかもまとめて段ボール箱にいれたら、俺の部屋は一気にガランとした。

 

まるでもう、俺が生きていないみたいに。


でも、これでいい。

この部屋には、もう二度と戻ってこないのだから。


次の日、俺は両親と綾のご実家に、婚約破棄の申し入れに行った。

すべて俺が悪い。でもどうしても結婚はできないから婚約破棄させてほしいと頭を下げると、戸惑いながらも受け入れてくれた。

 

その翌日には、俺は入院した。

実家から来てくれた母親が、洗濯なんかをしてくれた。

食事制限なんかはなかったから、母親が差入れしてくれる果物なんかを食べたけど、なんの味もしなかった。


入院してからは、一気に体力が落ちた。

俺は毎日スマホをチェックしたけど、当然のように綾から連絡が入ることはなかった。


ただ、持ってきたノートパソコンには、毎日必ず武士先輩からのメールが届いた。


綾の様子を知らせるメール。


メールの中で、綾は最初のうちこそ、泣きはらした目で出勤したりしていたけど、日に日に立ち直って、元気になっていくのがわかった。


俺は先輩に、綾の好きなものや嫌いなものなんかを教えた。

俺の知る綾のすべてを、先輩に引き継いだ。


本当は綾にしてやりたかったことを全部、先輩に托した。


しばらくして、綾からLINEが入った。



『会社辞めたって聞いたけど、どうしたの?』



ウトウトして目覚めたときにLINEに気がついて、一瞬まだ夢を見ているのかと思った。



『もう、退院のめどが立たないから、会社は辞めたんだ』



そう打ってから、俺は全文消した。

綾は何も知らない。

こんなこと言われたって、わけがわからないだろう。

それに、俺は綾を突き放さなくては行けない。



『確かに会社は辞めたけど、綾には関係ない』



出来るだけそっけない文章を捻り出して、送った。



『私結婚するの。もう連絡しないから安心して』



自分でしむけたことなのに、綾の返信に涙が出そうになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ