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最後の嘘  作者: pon
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初めてのデート side蓮

土曜日。


綾と駅で待ち合わせして、水族館まで行く。


綾は本当に水族館が好きらしく、行く途中もずっとはしゃいでいた。



「もう、年間パスポート買おうかと思ってるくらい」



だそうで、その割には一人で来るのも寂しいし、友だちも一緒に入ってくれないしで、なかなか来ることはないという。



「綾ちゃん、彼氏いないの?」


「い、いないいない!いたらこんな風に蓮くんと水族館に来たりしないし」



よかった。

これまでのやり取りで、男の影が見えなかったから多分いないんだろうとは思ってたけど、本人の口から聞くとやっぱり安心する。


薄暗い水族館に入って、順路通りに見ていく。

その途中、綾は大きな水槽の前で足を止めた。

どうやら、ジンベイザメがお気にめした様子。

その動きを、ずっと目で追っている。



「あっ!すいません。つい、夢中になっちゃって」



ようやくこちらの世界に戻ってきた綾が謝ってくる。



「気にしなくていいのに。俺はジンベイザメに夢中になってる綾ちゃんを眺めてるのも面白かったし」



綾は頬を染めてはにかんだ。



「そんなこと言ってもらったの、初めて。ありがとう」



それからもいろんな水槽を見て回って、土産コーナーで、今日の記念にお互いにプレゼントを送りあった。


水族館を出て、時計を見ると2時だった。



「これからどうする?行きたいところが特になければ、オススメの店でランチでもどう?」


「ランチ!行きたい!」


「そんなにお腹空いてたの?」



プッと吹き出すと、綾は顔を真っ赤に染めた。



「お、お腹も空いてるけど、そうじゃなくて、ここでお別れかと思ってたから」



可愛い。

なんなんだ、この可愛い生き物は。



俺は赤くなる顔を隠すように背けて、綾の手を握った。



「じゃ、行こうか」



昔よく、当時付き合ってた彼女と来てたイタリアンレストランへ行く。

価格もリーズナブルだし、店の雰囲気も女子受けする店だ。

もちろん、味もいい。


綾はメニューを真剣な顔で見つめている。



「迷ってるの?」


「うん。カルボナーラもいいし、魚介のリゾットも捨てがたい」


「じゃあ、両方頼みなよ。余ったら俺が食ってやるから」


「……いいの?」


「いいよ」



俺はすぐに店員を呼び、俺の選んだパスタと、カルボナーラとリゾットを注文した。



「ありがとう。蓮くんは優しいね」


「これくらい、普通でしょ」



俺は水を一口飲むと、呼吸を整えて、綾を見た。



「この間の居酒屋でのこと、どれくらい覚えてる?」


「全部覚えてるよ。私、お酒に弱くてすぐに酔っちゃうけど、記憶をなくしたことは一度もないの」


「じゃあ、俺とこれからも会うかどうかって話も、覚えてる?」



綾が頬を赤らめて頷く。 



「俺は、友達としてじゃなくて、恋人として今後は会いたい。綾ちゃんは?」 


「私も……蓮くんの恋人になりたい」



俺達はようやく始まったばかり。 

この先、仕事で行き詰まって八つ当たりしたりされたり、他愛ない喧嘩なんかもするかもしれない。


でも、大切にしようと思った。

誰よりも大切にしようと。

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