表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の嘘  作者: pon
2/34

とりあえずお付き合い始めました

少しずつ俺を知ってくれればいいから、式場のキャンセルだけはストップさせて。もし、俺と結婚する気になれなかったら、キャンセル料は俺が払うから。



そういった水野さんの言葉に甘えるように、私は蓮にLINEを送った。

キャンセルはしないで、と。

蓮の気持ちが変わるかもしれないという期待もあった。


LINEはブロックされてるかな、と思ったけど、すぐに既読がついて、『わかった』と一言だけ返事が来た。

そのことだけでも、私は救われた気がした。




蓮と私は、就活のときに出会った。

お互いに目指している業界が同じだったらしく、何度もいろんな会社で顔を合わせるうち、いつしか言葉をかわして、連絡先を交換するようになった。

結果として、入社した企業は別れてしまったけど、お互いに内定が取れたお祝いに二人で飲みに行くことになって、そこで蓮に告白された。


蓮はいつでも穏やかで優しくて、大好きだった。

そろそろ結婚しようと言い出したのも、蓮からだった。


でも、互いの両親に挨拶に行って、少しずつ準備を進めていく間に、蓮の出張が増えた。


今思うと、出張というのは口実で、もう一人の彼女と会っていたのかもしれない。


蓮が嘘なんてつけるわけ無い。

疑いたくない気持ちは大きかったけど、結果として私は振られて、蓮が女の子と仲良く歩いていたと水野さんは言っている。


たとえ水野さんの話が嘘でも、私が婚約破棄されたことには間違いない。


蓮と話した金曜の夜、私は水野さんに誘われるままバーで飲んで、タクシーを呼んでひとり暮らしの家に帰った。


土日で、浮腫んでいるだろう顔を治さなくては、と半身浴とリンパマッサージをして、パックもした。




◇◇


金曜の夜。

水野さんは、婚約破棄についても上長に知らせなくていい、と言っていた。

自分と結婚するんだから、と。


思えば、随分自信に満ちた言動だ。

私はまだ、水野さんのプロポーズにOKを出しだわけでもないのに。



土曜日。

水野さんからLINEが来た。

デートのお誘いだ。


特に断る理由もなかったから、私はOKした。

どこに行くのかは聞いていなかったから、動きやすいパンツスタイルにした。


連れて来られたのは、某夢の国。

一度はいってみたいと思いつつ、未だ行ったことのなかった場所だ。


水野さんにひっぱられるように、様々なアトラクションに乗って、キャラクター達と写真を撮った。

夜にはパレードも見た。


もうそれだけで、私は満足だった。


でも、これから帰るんだろうと思っていたら、水野さんは夢の国に併設しているホテルにチェックインした。


まだ、告白されて1日しかたっていないのに、一緒にお泊りは流石に……


そんな私の気持ちを読んだかのように、



「部屋は一部屋だけど、ベッドルームは2つついてるから、心配しなくても大丈夫」



と笑った。

2部屋も寝室があるなんて、きっと高い部屋なんだろう。



「宿泊費、半額出させてください」



流石に申し訳なくてそう言ったが、水野さんはそんな私にデコピンした。



「初めてのデートくらい、カッコつけさせてよ」



そう言われてしまえば、これ以上我を通すのも失礼に当たる。



「わかりました。ありがとうございます」



部屋はファンシーで、さすが夢の国、と変なところで感心してしまった。


私たちは順番にお風呂を使って、明日に備えて早く寝た。


寝る時、ちょっと緊張したけど、水野さんの方からなんの物音もしなかったので、安心して眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ