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最後の嘘  作者: pon
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隠し事

いつもお読みいただきありがとうございます


では、どうぞー!

その翌日、私たちは新婚旅行でバリ島へ行った。

香辛料の匂いが大丈夫かな、と心配してたけど、私のつわりには影響はなくて安心した。

ケチャダンスや、レゴンダンスを見て、ホテルのプライベートビーチで泳いだり、ちょうど雨季であちこちで祭りをやっていたので、それを眺めたりして過ごした。

お土産は、ツアーガイドさんに教えてもらった現地の人が行くショッピングモールで買うことにした。


現地の人が行くモールだから、そんなに高くはないし、色々あるんだけど、色々あるからこそ、迷ってしまう。


結局、双方の両親と職場には無難にお菓子を買い、私は自分用にガムランボールを買った。

小さめの鈴で、幸運を呼び込むとか、願いが叶うとか言われているもの。

由香には石鹸を買った。

お香のような香りで、ヒーリング系だから、疲れたときにいいかな、と思って。


ふと見ると、武士さんもガムランボールを買っていた。

何度も色々手にとって音色を確認していたのは知ってたけど。


おそろいかな。


スマホのストラップにしてもいいし、キーホルダーにつけてもいい。


私はホテルに帰って早速ガムランボールをキーホルダーにつけた。


でも、武士さんはそれを見ているだけで、自分ではつける様子がない。



「武士さんは、つけないの?ガムランボール」


「あー、あれは、お土産だから」



耳朶を擦りながら言う。


ねぇ。

誰に対してのお土産なの?



「ふーん。誰にあげるの?」


「大学時代の同級生だよ」


「その人、結婚式に来てくれてた?」


「……いや、都合がつかなかったらしくて」


「そうなんだ」



これ以上聞いても答えてくれなさそうだったから、私も話を切り上げた。


武士さんは私に隠し事をしている。


それは間違いない。


由香に相談した頃は浮気も疑ってたけど、今はそうじゃないって確信がある。


私の予想は、武士さんの元カノが入院していて、そのお見舞いなんじゃないかってことだ。


浮気といえば浮気だけど、入院患者相手に何かができるわけでもない。

言うなれば、プラトニックな浮気なんじゃないだろうか。


いくらプラトニックとは言っても、面白くないのは確かだ。

それに、退院したら、付き合い始めるかもしれない。


家での武士さんの態度は少しも変わらない。

いつも通り優しくて、私を甘やかしてくれる。


私が黙っていれば、このまま幸せな生活が続くかもしれない。


問い詰めて、お腹の子を抱えたまま別居や離婚になるのだけは避けたい。


そう思うと、やっぱり私は何も聞けなくて、今日もいつもと変わらず武士さんと生活をしている。



「そう言えば、おみやげは渡せたの?」


「ん?」


「大学のときの友達にあげるって言ってたでしょ?ガムランボール」



「ああ、渡した。すごく喜んでくれたよ」



耳朶を擦らなかったのを見て、私はちょっと安心する。



「あれにしてよかった」



武士さんはしみじみと言ってるけど、男の人にガムランボールを渡して、そんなに喜んでもらえるものなのかな。

まあ、好みは人それぞれだし。


私は頭の中を切り替えて、夕食を食べた。

食べたとは言っても、食べ物の匂いが駄目で、ほとんど食べられないんだけど。

産婦人科の先生からは、食べられるものを食べられるときに食べられるだけ食べればいいから、と言われている。

今のところ、妊娠糖尿病の心配もないし、お腹の子もすくすく育っている。

検診に行くたびに貰ってくるエコー写真を、武士さんは嬉しそうにスマホのカメラで撮影する。


エコー写真は手元にあるんだから、写メまで撮らなくても、と思うけど、初めての子供だし、それだけ嬉しいんだろうな、と思っている。


妊娠してからの武士さんは、今まで以上に過保護になった。

私が食が進まないのを見れば、私でも食べやすい料理を作ってくれたり、掃除も武士さんの担当になった。

さすがに家事もしないんじゃ運動不足になってしまうから、洗濯だけは私がやると言って譲らなかった。


隠し事をされたままでも、私は幸せに暮らしていた。

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