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最後の嘘  作者: pon
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入籍と隠し事

短いです

あんなに、同棲を嫌がってたのに。

それとも、入籍前に同棲するのが嫌だっただけなのかな。



「うん。嬉しい……」



ちょっと恥ずかしくなりながら答えると、武士さんはローテーブルを越えて私の横に来ると、ギュウっと抱きしめた。



「綾は、俺のものだよな?」



いつも自信満々なのに、今日は随分不安そうだ。

そっと抱きしめ返して、背中をポンポンと叩きながら



「私は、武士さんのものだよ」



言うと、武士さんはますます強く私を抱きしめた。



「今日はどうしたの?なんだかいつもより元気がないね」


「うん……なんだか急に不安になった」


「大丈夫だよ」



私は武士さんの腕をポンポンと叩いて体を離すと、婚姻届の自分の欄に記入した。



「はい。武士さんも書いて」



自分で持ってきたのに、武士さんは躊躇いながらも婚姻届に記入した。



「保証人の欄は、うちの親と武士さんのお父さんに頼めばいいかな」


「いや。すぐにでも出しに行きたいから、名前だけ勝手に書く。別に今更反対されたりもしないだろうし」



そう言って、保証人の欄に武士さんのご両親の名前を書くと、武士さんはおもむろに立ち上がった。



「どうしたの?」


「今から、役所に提出しに行く」



本当に、今すぐ入籍したいんだ。


その姿は焦っているようにも見えたけど、私の過去を思えば不安になる気持ちもわかる。



「じゃあ、私も行く。一緒に提出しよ?」

「ん。もう遅いから、車で行こうか」



ようやく笑顔になった武士さんを見てホッとする。



役所に婚姻届を提出すると、おめでとうございます、と言われて簡単に受理された。


結婚なんて重大な出来事なのに、紙切れ一枚で済んじゃうんだな、となんだか物足りなさを感じた。



武士さんの強い意向で、次の休みの日には住むところを決めて、その二週間後には二人で新居に引っ越しをした。


気がつけば、結婚式まで残すところあと1ヶ月になっていた。


武士さんとのふたり暮らしは、なんの問題も起こらない。

たまに、意見のすれ違いがあったりするけど、二人で話し合って妥協点を見つける。翌日には持ち越さない。

それは、二人で決めたルールだ。


甘やかされて、この上なく大切にされて、私は幸せの絶頂にいた。



だから、武士さんが私に隠し事をしてるなんて、思いもよらなかったんだ。







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