第30話 女騎士
ガルさんの家を出てダンジョンに向かうこと数時間、ダンジョンが見えてきた。
「ここのダンジョン攻略したことありますか?」
「いや、無いね。上のほう行くと普通にきつくなるし、僕にはあんまりうまみないから。」
「何階層まであるんですか?」
「いくつだったかな?10..2?3?とかそこらへんだったはず。これから行くのは7階層だね。」
「ダンジョンの中ってどんな感じなんですか?」
「どんな感じと言われてもなぁ、中入って自分で見た方が速いかな。そういえばその剣は中で使うのあんまよくないから持って帰っておくよ。」
「あ、はい。ちなみに何でですか?」
「説明してなかったか。その剣、魔力を吸う素材で作られてるんだよね。今日の朝、疲れが取れないって言ってたのはこの剣の影響だね。」
「おぉ!そんな能力が!」
「うん。しかもこの剣、ため込んだ魔力を引き出せるという機能付き。」
「おぉ!どうやってやるんですか?」
「今は無理かな。もっと容量増やして、魔力の制御をもっとうまくできるようになれないと無理かな。」
「そんなぁ。」
「まぁ、そもそもこの剣はかなり重い出来になってるから今は多分振ることもきついんじゃないかな。」
「はい。これ超重いです。というか、なんかめっちゃ軽々持ち上げてませんでしたか?」
「身体強化かけまくってるからね。」
「魔力足りるんですか?」
「ははは、それは僕を見くびりすぎだなぁ。見えないかもしれないけど僕、宮廷魔導士だからね。」
「え、魔力量ってどんくらいなんですか?」
「どんくらいって言われてもなぁ。あぁ、入学試験でなんか水晶使った?」
「はい。40だったかな。」
「40!?あぁでも、ゴネリルの息子ならそんぐらいでも不思議じゃないか。あいつ今でも300ぐらいしかないらしいからな。まぁそれはいいや。あの水晶だと高すぎる魔力は計測できないからゴネリルが言ってた値になるんだけど、おれは5万くらいらしい。」
「5万!?ってよくわかんないな。」
「えーっとね、魔術協会のS級魔術師の平均が1万くらいってゴネリルは言ってたかな。」
「おぉ!すごそう!」
「でしょ?それに制御力もかなり高いからこの剣を軽々持つくらいわけないのよ。お、着いた。」
そうかぁ、5万か。わかんないなぁ。大体S級魔術師がどんくらいかわかんないからな。なんかすごいことしかわかんないよ。でも相当すごいんだろうな。というか親父殿300か。その程度しかなくて、この国の最強の騎士なのか。なんか目がすごいらしいけど、どうすごいかよく知らないしな。聞けば早いか。
「今日も騎士団が来てるな。あれは、2番隊か?2番隊に知り合いいないから気まずいんだよな。こっそり行っちゃおうか。」
「はい。ところで何番隊かってどうやって見分けるんですか?」
「見えるかな?服とか鎧のどこかに紋章がついてて、その紋章に描かれている星の数で隊がわかるようになってるんだよ。」
「あー、確かに2つ星があるように見えますね。なんでダンジョン周辺にいるんでしょうか?」
「グレンゴルドの調査だろうね。トルタヤの住民には適当言ってごまかしてたけど、グレンゴルドは守護竜なんかじゃなく大罪人だし、奴が手傷を負ったのだから今が好機といえる。だから奴の調査と討伐に2番隊が派遣されたんだろう。それに奴が近衛騎士団の1人を殺したことで、近衛から討伐隊を派遣する可能性もある。となると俺も事情聴取を受けることになるのか。めんどくさいけど後回しにしてもしょうがないしな。ごめん、やっぱこっそり行くのなしで。」
「はい。」
そういうと、ガルさんは地面を見ながら話しこんでいる騎士の集団へと歩いて行った。
あの人たち、地面をのぞき込んで何やってんだ?というか珍しいことに一人女性の騎士がいるな。女騎士ってやつを初めて見たな。なんで全然いないんだろうな。個人的にはもっと増えてもいいと思うんだが。聞くことメモに追加しておくか。これで二つ目だな。
「すまない、少しいいかな?」
「はい、どうしましたか?」
「私は宮廷魔導士をやってるガルドゥルというものなんだが、今回のことで聴取があるだろうと思ってな。」
「そういうことでしたか。こちらから出向くべきところを申し訳ない。私は帝国騎士団2番隊副長アンナ・李下・プローマです。」
「李下...西の小国群の生まれかい?」
「いえ、生まれも育ちもネクタルですが母親が鵬翔の人間ですね。」
「あぁ、なるほど。で、聴取はどうする?」
「ゴネリル殿からこっちに戻った時でいい、と。」
「遠回しに帰って来いって言われてるよね、それ。」
「はい。おそらく。」
「わかった。これから1ヶ月くらいはダンジョンに用事があるから帰れそうにないと伝えておいてくれ。」
「はい。2階層の小部屋は調査があるので使えませんが問題ないでしょうか?」
「問題ない。用事があるのは7階層だからな。あぁ、そうだ、この子がゴネリルの息子のユージーン君だ。」
「はじめまして、ユージーン・アンブロシアです。」
「はじめまして、ユージーン君。アンナ・李下・プローマです。タークィンの野郎に手傷を負わせたと聞きました。お父上に似てお強いのですね。」
「いえ、そんなことは。」
「ユージーン君、行こうか。では、アンナ殿また。」
「はい。お気をつけて。」




