第27話 夜ご飯
部屋のドアが強くたたかれる。
「夕食の時間だよ!起きてるかい?」
「今行きます。」
そんなに叫ばなくても聞こえてるっての。さて、食堂に行くか。
ガルさん帰ってくるの遅いな。というかガルさん、自分の家が結構近くにあるのになんでわざわざ町まで下りてきたんだ?
エミリアさんもどっか行ったし。ただ、おかみさんが言うには守護竜がどうとか騎士が説明してたらしいから、そこら辺の確認とかしてんのかもな。
お、今日は鳥肉と野菜をいい感じに炒めたやつか、牛肉をいい感じに切って焼いた奴か。どっちにするかな。あー、昨日は牛ひき肉をいい感じにした奴だったから今日は鳥肉にしとくか。
「鶏肉のほうでお願いします。」
「あのおじさんまだ帰ってこないね。」
「そうですね。まぁ、宮廷魔導士だって話だから無事だとは思うんですが。」
「へー、あのおじさん宮廷魔導士なんだ。そいつはすごいね。」
「どんくらいすごいかよくわかってないんですよね。」
「そうか、じゃあ元魔術師のこのお兄さんが教えてあげよう。宮廷魔導士っていうのは、この国に5人しかいない国から認定をもらった魔術師たちのことで、功績がなければ認定をもらえないんだ。まぁ、宮廷魔導士だからって義務とかはないみたいだけどね。」
「全員の名前と顔とか覚えてますか?」
「顔はあったことないから覚えてないな。あぁ、ガルドゥル殿ともう1人はわかるな。名前のほうは全員大丈夫だね。認定された功績も。」
「教えてもらってもよろしいですか?」
「まだやることが残っているから今すぐってのは厳しいな。そこら辺の空いてる席でご飯食べててよ。食べ終わるころには暇になってると思うから。ほら、バン鳥とレスタの炒め物だよ。」
「ありがとうございます。」
そうかあのおじ、おにいさん元魔術師なのか。魔法使い、魔術師、魔導士の違いもいまいちわかってないんだよな。じ、師匠知ってるかな。
(魔法使いは魔法学校を卒業した全員に与えられる称号じゃ。そこから魔術協会に所属したものを魔術師と呼ぶ。魔導士は魔法使いの中でも優れた技量を持つ者を言うんじゃ。)
お、答えてくれた。ありがとう師匠。そうか魔術協会とかあるのか。まぁでもあんま関係ないかな。ん、この鳥肉うまいな。なんて言ってたっけ。バン鳥?とかなんとか言ってたな。この世界の食事情、和洋中華入り乱れてるんだよな。よくあるやつだと転生者が広めたとかあるけどここでもそうなんだろうか。
俺以外の転生者の話とか聞いたことないんだよな。俺がいるってことはほかにもいると思うんだけど、いないのかな。まぁ、そう頻繁に転生されても困るだろうしここ以外の国に転生してることだってあるか。
「お、まだ食べ終わってなかったか。いきなり宮廷魔導士の話をしてもいいかい?」
「ん、んぐ。ふぅ、大丈夫です。」
「食べながらでいいからね。先ずはだれから話そうか。年齢ごとに話そうかな。まずは最年長のオズワルド・フランクボム。この人はヴォルフガング戦争を戦った魔女でそこでの戦果から宮廷魔導士に認定されているんだ。今は、何歳だったかな。多分90とかそこらだと思う。そういえば魔術協会の前会長だったかな?任期が1番長かったはず。“殲滅の魔女”っていう別名もあるぐらいすごい魔女で1人でヴォルフガング軍の20%を倒したとかって伝説がある。まぁ、作り話だとは思うけどね。」
「ふむふむ。」
「次が、あ、こっちが1個前の会長か。ベオウルフ・デネ・ヘオロットが1個前の会長。で、オズワルドが2個前の会長だね。僕はこのベオウルフ殿が好きでね。会ったこともあるんだよ。この方はイェータランドっていう街に竜が現れたときに、1人でこの竜を討伐して街を守ったんだ。このことからイェータランドの街はヘオロットって名前に変えてるね。ベオウルフの何がすごいって、今74歳なんだけど竜を討伐したのは12年前。62歳の時なんだ。すごくない?62歳で竜と戦うなんて僕には無理だよ。絵本とかにもなってるんだけど読んだことないかい?」
「うっすら記憶にありますね。にしてもその2人長生き過ぎませんか?」
「お、いいところに目を付けたね。魔力が高ければ高いほど体の劣化が遅くなる傾向にあるんだ。まぁ、体質とかも関係あるから、魔力が多いほうが寿命が絶対に長いってわけじゃないらしいんだけどね。これを見つけたのが3人目のウォルター・ネーゲリだよ。彼はこの事実の発見で宮廷魔導士に認定されたんだ。僕は研究をやってたわけじゃないからどういう仕組みかわかんないんだけどね。」
「なるほど。」
「そんで次が、現会長のデッドアロン・レッドバロンだね。まぁ、この人はよくわかんなくてなぜか偽名なんだよね。皇帝陛下の友人だから偽名でも許されてるんだよね。宮廷魔導士になったのは、確認されている限り唯一の竜を従属させた魔術師だから。会長になったのも有能だからって理由でどういう人間かよくわかってないんだよね。」
「そんな魔導士もいるんですね。」
「めちゃくちゃレアだけどね。普通の魔導士じゃ許されないことだけど、実力と皇帝のお墨付きだから許されてるね。で最後がガルドゥル・リーフィス殿だね。この方は、」
「俺の話は自分でするよ。」
「あ、お帰りなさい。」
「ただいま、ユージーン。」
「ガルドゥル殿、いきなりで申し訳ないのですがサインをもらってもよろしいですか?」
「すまないね、書かないことにしてるんだ。ユージーン、部屋に戻ろう。話がある。」
「はい。」




