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異世界転生大失敗~いつだってジジイと一緒♡~  作者: 棗真広
第1章 入学準備編

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第26話 訓練 後編

「目の運び方の意味は分かったかの?」

「まぁ、なんとなく。できるかはわかんないけど。」

「いきなりできるようになるっていうのはさすがに厳しいからの。まぁ、必要な時までにできるようになればいいんじゃ。そんで次に体の使い方じゃが、これはいくつかある。」

「いくつか?」

「そう。たとえば、グレンゴルドの使っていた剣を見えない位置で持ち替えるやつも体の使い方によるブラフじゃの。」

「あぁ、あの格好いいやつ。あれ俺も使えるようになりたいんだけど。」

「練習するんじゃな。あれはシンプルで結構刺さるしの。る〇剣の鵜〇刃衛も使ってたじゃろ?たしか。」

「背車刀のこと?あー、あれは背中側に回すっていう違いはあるけど確かにブラフという利点もあるだろうな。」

「ただあれは、めんどくさいから“影双”とでも名前つけるか。“影双”は、相当な腕力を必要とするからの。“地割”の要領で一時的に身体強化かけるのも良いんじゃが、それじゃコスパ悪いからしばらく使わないのがいいの。」

「ほーん。もっかい見たいからやってみてくれよ。」

「いいぞい。剣を構えよ。」


 剣を逆手に体の側面に構えると、ジジィは剣を隠すように構えた。今回はわかりやすくするために、少し剣が見えるようにしていた。


「いくぞ。」


 ジジィは体を捻り剣を振り抜く素振りを見せる。右手を振り上げる途中で剣を離すと、一瞬宙に浮いた剣を左手でつかみタイミングをずらして剣を振り抜く。

 事前に知ってたから剣で止めることできたけど、これ初見だったら見破るの不可能でしょ。こんなん初見で見破ることできる奴いんのかよ。


「いるんだな、それが。」

「まじ?父上ならできるかな?」

「あー、できるじゃろうな。おぬしの父親はこの国屈指の化け物じゃからの。あれは本物の天才じゃ。おぬしと違っての。」

「一言多いな。というかまじで父上すごいんだな。ジジィとどっちが強い?」

「さすがにわしじゃの。おぬしが信仰心とか一切もっとらんせいで忘れとるかもしれんが、わし一応神じゃからな?」

「そうか、忘れてたわ。ジジィって神になったの?そもそも神だったの?」

「神だってわかっとるならジジィとか言うなよ。それと、神は基本的に成るものじゃの。座に就くともいうが。」

「え、そうなの?じゃあ俺も頑張って強くなれば、神の座に就ける?」

「強くなるだけじゃ駄目じゃのう。」

「どんな条件があるの?」

「それは流石に教えられんの。」

「まぁ、さすがに無理か。ちなみに、神に成る前のことは憶えてるの?」

「ばっちり憶えとるの。まぁ教えはせんが。」

「ダメかぁ。ケチじゃんね。」

「そういうのは口に出さないんじゃよ。」

「出さなくても聞こえるでしょうが。」

「それでもじゃ。」


 頑固ジジィだな、まったく。ジジィの過去にはだいぶ興味あったけど、詮索するのもあんまりか。兎にも角にもまずは、ブラフとやらの習得が最優先事項だな。同年代と戦った経験ないからわかんないけど、ジジィが才能無いって言うんならないんだろうな。仮にも神様だから審美眼はしっかりしてるだろうし。


「宿屋のおばさんが呼びに来るまでの数時間、おぬしにはわしと組み手をしながら目の運びや体の運びを身に着けてもらうぞい。」

「うっす。ちなみになんか必殺技みたいなのはないの?ジジィ直伝の最強の必殺技みたいなの。」

「あるにはあるが、おぬしに教えても活用できないじゃろうからまだ教えんぞ。」

「え、まじで!どんなの?」

「そうじゃの、簡単に言うなら身体強化じゃの。」

「え?なんか地味じゃない?グレンゴルドが使ってた剣に魔法をまとわせる奴みたいな、かっこいいやつないの?」

「あれ、くそ燃費悪いうえに詠唱が必要だから実戦で使うには微妙じゃぞ。まぁ、ああいうわかり易いやつもあるにはあるが...おぬしに教えて活用できるのか...。」

「はぁ!?なめんなよ。活用してやるわ。」

「はてさてどうかのぉ?まぁ、しばらくは教えんから楽しみにしておくんじゃの。」

「おっけ。まかせろ。」

「じゃあ、組手を始めるぞい。」


 こうして、ジジィと組み手をしながら目と体の運び方を刻み付けた。どうやらあんまり向いてないらしくジジィになんか色々言われたが、それは俺もうっすら感じていたので反論する気すら起きなかった。

 なんかまず、動きと意識を分けなきゃいけないのだがこれがまた超むずいのだ。攻撃する位置と全然違う位置に目を運ぶ必要があったり、ガマクとか何とかいう技で銃身をずらしたりしなきゃいけないのだ。そもそもジジィの剣を捌くので精一杯なのに、そんなこともやらなきゃいけないとか、さすがに脳みそがどっかにいきそうで半分くらいパニック状態になってる。

 ジジィは、この程度おぬしの歳なら癖でできるようになってる、とかなんとか言ってたがわけがわからんのでさすがに嘘だろう。こんなことできる十歳がいてたまるかってんだ。

 そんなこんなで悪戦苦闘していると、どうやら夜ご飯の時間になったらしい。


「女将さんも呼んでることだし、今日はここらへんにしておくかの。」

「おっす。今日も修行ありがとうな。」

「おぬしはもうちょい敬意を持った方がいいのぉ。せめてジジィと呼ぶのはやめんか。」

「敬意はあるさ。でも何て呼ぶのさ。」

「そうじゃの。なんでもいいが、せめて敬意をこめた呼び方にせんか。」

「えー、そうだな...。じゃあ師匠で。」

「ッ!?...まぁよかろう。ジジィよりはましじゃの。」

「何さその反応。」

「いや、別に。ほれ、はよ夕飯を食べに行かんか。」

「おう。」


「......師匠ねぇ....。」


 なんか師匠言ってたな。よく聞こえなかったけど、まぁいいか。さて、何を食べようか。

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