魔王討伐RTA? 魔王討伐はもう6度目です!これまでの前世で経験してきた全てを生かして魔法世界で最強人生のやり直し!酒に料理に剣術を学んだ男が聖剣を抜いてからたっだ5秒で魔王討伐し幼馴染と結婚する件!
一番最初の人生はただのしがない田舎のオタク高校生だった。故に人生は退屈でいつも漫画やアニメを見ては勇者や魔法使い、ヒーローに憧れて妄想ばっかりの人生だったと今は思う。
そんな俺の最初の人生の終わりは実に情けないもので、車に轢かれそうな話したことのない同級生の女子を助けて死んでしまったのだ。漫画やアニメに憧れていた俺は勇気を振り絞ってヒーローになるつもりで同級生を助けたが、生まれ変わった今思い返してみれば、あの時の車はトラクターだったし、死ぬ間際も全くと言って良いほど痛みは感じなかった。もしかして轢かれたと思って、ショック死してしまったのかも知れない。今となってはもう過去の出来事でどうしようも出来ない出来事で、一番の黒歴史だが、今でも時々好きだった漫画の結末や、散々テストプレイが出来ると言って延期され続けたゲームの事が気になってしまう。あの素晴らしき世界へもう一度戻れたら。そう物思いにふけながら眠りについた。
焦げた匂いに気がつき目覚めてみると、どうやら外が騒がしい。どうやら火事に巻き込まれたようだ。死ぬのには慣れていたし、ここで死んでもどうせまた転生できるだろう。俺には全く焦りはなく、むしろ次の人生に想いを馳せながらワクワクしていた。そんな時近くから少女の鳴き声が聞こえた。逃げ遅れたのだろうか。俺は何も考えずにすぐ少女の元へ向かい、抱えて出口まで走る。出口は崩れていたが、幸いにも少女が抜けれるぐらいの隙間があり逃す事が出来た。前世では出来なかったヒーローの真似事も今世では出来たのだ。少女を逃した数秒後宿は火に包まれ俺は死んだ。
目を覚ますとそこは知らない天井、知らない人達、自由の効かない手足。死ぬ前から予感していたが、俺はまた転生したらしい。前世では孤児院で育ち、16歳になった日に追い出され止まった宿で火事に巻き込まれて死んでしまった。2度人生を送ったのに、全くと言って良いほど長生き出来ていない。そうだ今世では長く生きて人生を全うしよう。
少し経って気づいたが今世の家庭は貴族らしい。どうりで家は広くメイドも多いわけだ。余生はのびのび豪遊して、金貨8万枚ぐらいは使いたい物だ。
そこから数年経ち7歳になった俺は、庭で剣を振るっている。のびのび豪遊ライフが送れると思っていたが、全くの思い違いだった。この家は先祖が戦争で戦果を上げ貴族になったらしく、男兄弟は皆剣術を学び軍に入隊するらしい。しかも俺は八男で家督も継げないし、剣の道で生きるしかないらしい。まじかよ、八男ってそれはないでしょう、と叫びたくなる気持ちを抑えつけ剣の修行に励む。また時は流れ10歳になった俺は幸いにも剣の才能があったらしく、年上相手にも負けない程の力を手に入れた。これも幼い頃から素振りをやり続けた成果だろうか。本当にしんどかった、多分感覚的には何千億年くらい素振りをしている様な感覚だった。やっぱり素振りって凄い。前世は、何も能力がなくて本当に無職転生って感じだったけど、前世はとりあえず剣士転生になれた。そこからまた時は流れ16歳の冬、俺は初めての戦場に駆り出された。
初の戦場で大雪の中、普段は持ち慣れてる剣が本当に重く感じる。雪に体温と足を取られ、普段訓練をしていない農民の兵士は限界を迎え、俺たちの軍は暖をとることになった。
流石に疲れた。目を瞑って体を休めようとした時、物凄い轟音がなり山の頂上の方を見上げると雪崩がこちらに迫っていくる。
目を覚ますとそこは知らない天井、知らない人達、自由の効かない手足。
「おっと???まじかあそこまで努力して磨いた剣術を生かさないまま死んだの嘘でしょ?」
どうやら俺はとことん運に見放されているらしい。寡黙な俺もついに声が漏れた。と言っても赤子なので周囲にはオギャオギャとしかしこえてない。せめて今世は剣術を活かせる人生を送れると良いな。
5歳になりこの世界の事はわかってきた。今この国は魔王軍の侵略を受けているらしい。これは前世で鍛えてきた剣術を活かせると思い、その日から素振りや剣術の鍛錬に励んだ。一様魔法もあるにはあるが、俺には素質が全くないらしく、魔法という邪念を振り絞って剣に没頭した。その甲斐あってか16歳で軍の精鋭部隊に配属され、なんと勇者パーティーの剣士枠として同行が決まったのだ。やったぜ!
俺たち勇者パーティーは順調に魔王に近づいていき、遂に魔王城へ到達した。だが、俺たちはここまでの道のりが順調過ぎて、完全に天狗になっていたのだ。魔王城の入り口で俺たちは、死の呪文による奇襲を受け俺は勇者を庇って死んだ。
目を覚ますとそこは知らない天井、知らない人達、自由の効かない手足。何度目だろうか良い加減もう慣れた。だがいつもと少し違和感を感じるのは、窓から見える景色がどことなく懐かしいからだ。俺は気づいた。前世と同じ世界だ。街並みがいくらなんでも同じすぎる。転生してから数年経ち色々調べてみると、俺が死んでから100年ほど経っていた。あの後勇者たちは、魔王をギリギリの事まで追い詰めたが殺し切る事は出来ず勇者は死に、魔王は眠りについたらしい。魔王が眠りについてからという物、魔王軍は統率力を失い脅威としては少なくなり、今では街や行商人を守るために、冒険者ギルドなる物が発達して、稀に街を襲いにくる魔物や、森に住む魔物を討伐しお金を稼いでいるらしい。でももう戦いは散々だ。ここらで一旦物騒な事から手を引いて、好きだった料理を学びコックとして生きてみたいと心に決めた。
数年経ち16歳の夏、冒険者をしていた兄が死んだ。どうやら魔王が目覚めたらしい。今までは統率の取れていなかった魔物たちが、集まりつつしかも力をつけだしたらしいのだ。正直しんどい。
時は経ち、17歳春遂にいつも死んでいた16歳を過ぎ喜んでいた矢先王直属の占い師が、17歳の男の中に魔王を討伐する勇者がいるとほざいたらしく、俺はわざわざ王の城まで出向いて水晶に手をかざさないといけなくなってしまった。嫌な予感がする。悪い予感と言うのは当たる物で、水晶に手をかざすと金色に光り輝き俺は勇者になった。まあ良いわかってたし、少し修行からは離れていたが、剣の腕には自信があった。
少し経ちわかった事は、聖剣がないって事と今世の俺は魔法の才能に満ち満ちているって事だった。少し考えればわかった事だけど、同じ世界の100年後で、前の勇者パーティーが魔王とほぼ相打ち状態で戦いが終わったのなら、魔王城に聖剣置きっぱじゃん。だが俺は勝ちを確信した。なぜなら聖剣同じ聖属性の攻撃魔法を俺は使えたからだ。随分とご都合主義だがそれはこの世界を作った神様にでも言ってほしい。神様と言えば昔読んでラノベでは、彼らが能力をくれたりすると思っていたが俺はこんなに転生しているのに一度も出会えていない。やっぱりフィクションはいいよな。リアルになると、たとえ勇者だとしてもかなりしんどい。
行きたくないと思いながらベットで寝転ぶ生活を1週間ほどしていたら、サポートしてくれるパーティーが完成したらしいので、いよいよ本格的な魔王討伐の旅が始まる。まあ前世と同じ世界という事でこの街から魔王城への最短ルートや、各城の仕掛けもわかってたのでめちゃくちゃ余裕だった。そして何より聖属性魔法が強すぎたのだ。俺たち勇者パーティーは全ての魔物をワンパンしながら魔王城へ進み今回は油断せず全ての待ち伏せを倒した。目の前の大きな扉を開けて、初めて魔王と対面する。目が合った瞬間俺は聖属性魔法を放ち魔王を討伐したが、俺は魔王に道連れの魔法を使われて死んでしまった。
俺は転生しては勇者になる呪いでもかけられたのだろうか。前世以降同じ世界への転生と言うのはなかったものの、俺は魔王を討伐してからその後転生した、3回の人生を勇者として過ごして20歳前に毎回死んだ。1度目は勇者という強大な力を嫌った隣国の暗殺部隊によって殺され、2度目は魔王との相打ちで死に、3度目は魔剣を使っていた事で寿命を吸われ死んだ。
目を覚ますとそこは知らない天井、知らない人達、自由の効かない手足、そして今までに経験した事ない違和感。そう俺の聖剣がない。いつかくると思っていたが俺は、いや私は遂に女に転生した。そしてこの天井は病院?やっと俺いや私は一番最初に生まれた世界に近しい技術を持つ世界に転生できたのだ。今世こそは戦いから離れ、料理人になろうと決意し料理の修行を始めた。
時は経ち18歳になり俺は順調に料理人としての技術を身につけて、日常生活にも馴染んできた。どうやらこの世界は最初の世界と同じ地球で俺の死んだ30年後の世界だった。最初は私で努力していたが、男のしての人生が長すぎて結局一人称は俺だし、恋愛対象は女だし、スカートは無理だった。最初は学校の勉強も無双していたが、調子に乗ったら中学2年あたりではもう落ちこぼれ組にいて、講義中は寝るか漫画を読む毎日だった。驚いたのがまだH○Hは完結してないし、銀○はなぜかまた連載を始めていた。最近の悩みはずっと誰かの視線を感じるという事だ。学生時代やはり男を恋愛の対象として見れなかった俺は告白してくる全員の告白を断り時には恨みを買うこともあった。高校を中退した俺はそのまま料理人の道に入って、毎日ヘトヘトになりながら家への帰路を音楽を流しながら歩く。それが日常であり、今日もそうなるかと思った。しかし突然背中をとてつもない痛みが襲う。驚いて後ろを振り返ると学生時代に何度も告白され最終的に大勢の前で思いっきり振った男だったのだ。そうして始めての充実した人生からどんどん意識が遠ざかっていった。
目を覚ますとそこは知らない古そうな天井、知らない人達、自由の効かない手足、懐かしの聖剣。そう多分ここは剣と魔法の魔王がいるクソッタレた世界だ。どうせまた勇者になるだろうがもう5度も魔王討伐に関わっていると慣れてくる物で、それまで人生を楽しもうと思う。今世も料理人になろう。
この世界の魔物はあまり力を持たず、人々の脅威になり得るのは魔王から直接血を分け与えられた、魔族という集団らしい。魔族は陽の光に弱く、浴びると灰になって消えてしまうらしいが、魔王によって世界を覆っている黒い雲のせいで日中でも関係なく活動が出来ているらしい。
俺は17歳を祝われ大いに酔っ払っていた。そして酔っ払った勢いで一人で聖剣の刺さる丘に登り、聖剣に触れると抜けてしまった。また勇者になって、死んでしまうと思った俺は咄嗟に聖剣を斜め上に向かって、ぶん投げると轟音と共に聖剣は吹っ飛び、しばらくして世界を覆っていた黒い雲は晴れ、脅威だった魔王と陽の光を浴びた魔族は全滅し世界に平和が訪れた。
平和になった世界で俺は料理人になり、26歳で独立して自分の店を持った。店を手伝ってくれた幼馴染とも人生初めての恋愛をして結婚。翌年には子供もでき、レオと名付けた。それから時はすぎて、レオは21歳になってもまともに働かずに、毎日夜遅い時間に起き朝に寝るゴミのような生活をしているので、人気店になりチェーン展開をしているうちのイタリアンレストランで週4で働かせることにした。今も十分苦労していると言えば別の意味でしているが、勇者の時に比べればなんて事ない幸せな日常を送れている。願いを一つ叶えれるとしたら、もう転生は懲り懲りだ。
それからしばらくしてわたしは、歳をとり妻と息子に看取られながら眠りについた。悲しいことにレオは生涯独身だった。
目を覚ますとそこは知らない天井、知らない人達、自由の効かない手足。
ばっどえんど