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黄昏に染まるその陰で  作者: 三当香季
18/19

第4部 ACT1の6 コロばぬ先の杖

 そのあとも”未来予知”は起きて、そのたびに私たちはお金を増やしていった。

配当が下がるぐらいの高額な投資(馬券購入)をするのはあまり意味のないことだと知ってからは、購入する額を調整。

買う馬券の種類も多くして、なるべくハイリターンを気にするようにした。

 私は”未来予知”があったときだけ購入してたんだけど、彼はときどき自分の予想でも購入してたみたい。

結果は出せなかったようだけど。


 二人は、3億を手に入れたあとに退職願を提出。きちんと手続きを踏んで一か月後に退社した。

 肩書は無職になったけど、お金には困らない身分になれちゃったので、結婚して、家を建てて、母と一緒に三人で暮らすようになった。

母には、「父の保険金を投資したら儲かっちゃった」って説明した。まあ、嘘ではないよね。

 彼が、

「億万長者になったけど、浮かれないようにしよう」

 と、戒めてくれたおかげもあって、その後もお金がある割には質素な生活を続けて普通に生活していったのよね。


 そうそう、あとで驚いたのが、競馬で大儲けすると、これに税金がかかってきちゃうんだって。

なんかいろいろとパターンというか、ケースというのがあるらしいんだけど、収入として税金がかかるみたいなのね。

 私たちは使い込んでなかったし、増える一方だったから、税金はちゃんと払えたんだけど、かなりの額を持っていかれるんだものびっくりしちゃった。

 彼は、税理士に相談して税金対策をしてもらったんだけど、一年目はもう本当にかなり持っていかれちゃったわね。


二年目からはもう税金対策・節税が仕事みたいになっちゃった。

でもね。金が金を呼ぶっていうのは本当ね。税金対策で投資し、会社を立ち上げ、知らないうちに旦那は資産家と呼ばれるようになり、嘘みたいな毎日が繰り広げられるようになっちゃった。


 そして、”未来予知”は2年もしないうちにぱたっとなくなってしまったの。

まあ、そのときにはもう、競馬に頼らなくてもいいぐらいのお金持ちになっていたんだけどね。

 子宝にも恵まれ、何の不自由もない生活。こんな風になれるとは思ってもみなかった。

 それにしても、旦那があれほど実直な人だったとは思わなかった。

大金持ちになっても嫌な感じの成金なんかにはならなくて、いたって自然に普通の人のままだった。そして、私と子供たち、そして私の母のことも大事にしてくれた。

 お金に苦労した母には、全くお金の心配がいらない生活をしてもらえたと思う。孫と一緒に楽しそうにしている母を見ていると、私も幸せな気分になれた。

そんな母も、晩年は心臓や他の臓器が弱ってしまって、入退院を繰り返したのちに逝ってしまった。最期は家族みんなで看取ることができた。

 母を見送った次の年、旦那が新型のウイルスに感染したことが原因で逝ってしまった。専用の病院で隔離となったので、彼の最期を看取ることはできなかったのが心残り。肺炎を併発して、彼は還らぬ人となってしまったの。

 この新型のウイルスは、その年に世界規模で流行。パンデミックを引き起こした。ある程度の収まりを見せるまでに、3年の月日を必要とした。


 旦那の経営していたものについては、子供たちが継いでくれて、各自それなりに順調にやれているみたい。

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