表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/23

第4話 到着 お祭り 市長さん

三人は目指していた町、メイランに辿り着いた。


「ここがメイラン……!?」

フウマは予想していた雰囲気とあまりに違う街の様相に驚きを隠せない。


「おじいちゃんからは小さい村だって聞いたんだけどなあ……。ガラ、ほんとにここがメイランか? 間違いないか?」


「いや、ここで合ってるはずだ」

ガラは地図を確認しながら答えた。


「じゃあここがメイランってことでしょ! きっとフウマのおじいちゃんが知ってる時より、発展して大きい街になったんじゃない?」

ルーシェルは納得したというように、左の手のひらに右手の拳をポンと叩いく。


「そういうことになるよな。じゃあおじいちゃんの旧友の村長さん……市長さんにでもなってるのかな? ゼイランさんを訪ねよう」

フウマは歩き出した。


「おい! こんなでかい街だと探すのが大変だろ! 迷わないようにお前は俺の横を歩けよ! 迷子の天才だろ!」

ガラは慌ててフウマに声をかける。


「むう……分かったよ」

不服そうにしながらも、フウマは大人しくガラの隣を歩いた。


二人の様子を後ろから見ていたルーシェルは思わず笑ってしまう。

「うふふ。なんだかんだで仲良しだから可愛いわ」


「ち、違う! 今まで何度も迷子になって探してもらってきたから言い返せないだけ! 別に仲良しとかじゃない! 腐れ縁なんだよ!」

フウマは慌てて訂正する。


「ふふふ。分かってる分かってる」

ルーシェルのニヤニヤはなかなか収まらなかった。




街の門番に尋ねて村長の居るところを教えてもらった。門番は快く教えてくれた。


「今は村長じゃなくて市長さんだよ。メイランで一番、市民から尊敬されているひとだ。忙しいだろうからすぐ会えるか分からないけど、ゼイランさんはいい人だ。きっとあんた達を歓迎してくれるだろうよ」


「どうもありがとう。行ってみるよ」

フウマは街の地図を受け取って礼を言う。


「運のいい事に、今日は特別な日だ。ゆっくり楽しんでくれ!」

門番は手を振って三人を見送った。

親切な門番に、三人も手を振って応える。


市長の邸宅兼、役所の建物は、街の中心部にあった。

そこまで続く大通りには、様々な出店が立ち並んでいた。

賑やかな喧噪。どこからか聞こえてくる笛の音。途方もない人々の足音。出店の主人が客引きをする威勢のいい声。鉄板で食べ物を焼く際の、あのお腹の減る音。

たくさんの音が街の賑やかさを教えてくれる。そして今日が街にとって特別な日であるということも。


「祭りだ!」

「お祭りだあ!」

「祭りだな」


フウマ、ルーシェル、ガラは顔を見合わせた。


「「……」」

言葉を交わさなくてもお互いの考えは分かっていた。すぐにでも走り出して、お祭りを見て回りたい。しかし、市長を訪ねるという目的を優先すべきか、それともお祭りに向かって走り出すかどうか。


「さ、三十分だけだ。三十分したら市長の邸宅に行くぞ。……用事が済んだらゆっくり祭りを見て回ればいい」

ガラがそう提案した瞬間、三人はすぐに解散して、それぞれが祭りを見て回る。ガラはフウマを見失わないように気を付けていた。目を離すとすぐに裏道に迷い込んで戻ってこれなくなるからだ。


三十分後、三人は先ほどの場所で合流した。フウマはガラに連れられて、やっとのことで戻る。


フウマは右手でチョコバナナを食べながら、左手にはベビーカステラの入った袋を持っている。

ルーシェルはピンクと白が交互に渦を巻いている模様の、タライのように大きい綿あめを食べている。

ガラはイカ焼きそばを食べながら言った。


「よし、市長さんを探しに行くぞ」




街の中心部に向かって歩いている最中、ガラが二人に話し始めた。

「さっき聞いてきたんだが、この祭りは守り神に感謝の気持ちを表すための祭りらしい。“ミケ大祭”っていう祭りだそうだ」


「守り神の祭りだったのか!」

フウマは目を輝かせた。

「やっぱりこの街には、守り神の伝説の鍵があるんだ! やっぱり来てよかった……!」


「フウマ、良かったねえ! 早く市長さんに会いに行こう!」

ルーシェルは喜んでいるフウマを嬉しそうに見る。


「ああ! ガラ、聞いてきてくれてありがとな! よーし! 行くぞー!」

フウマは拳を振り上げて、張り切って歩き出した。


市長の邸宅は役所と一続きの建物になっているので、すぐに見つかった。

ある程度お腹の満たされた三人だったが、様子を窺って少し不安そうな面持ちになる。

役所が祭りの本部になっているようで、そこにいる人々は行ったり来たりで忙しそうだ。


「すごく声をかけづらい雰囲気だ……」

フウマは祭りとはまた違った、裏方の活気に怯む。


「が、頑張ろうフウマ! こういうのは勢いよ!」

ルーシェルはフウマの背中を押す。


「今はダメでもアポイントとれればいいだろ。あ、すみません。旅の者ですが、市長のゼイランさんに手紙を預かってきたんですが、お取り次ぎ願えませんか」


ガラは近くを通りかかった人物に声をかけた。速足で役所の中に入っていこうとしていたその人は、ガラに声をかけられて足を止めた。


「ゼイランは私ですが、誰からの手紙ですかね」


「「ええ!?」」

フウマとルーシェルは思わぬタイミングの良さに声を上げる。

フウマは慌てて市長に訳を説明した。


「お忙しいところすみません! 僕はフウマと言います。祖父、バンジョウの孫です。祖父からゼイラン市長への手紙を預かってきました!」

フウマは小さなカバンの中から手紙を取り出そうとした。その手をゼイランが制した。


「君のことは手紙で聞いたよ。フウマちゃん、大きくなったね。積もる話はあるけれど、残念ながら今は手が離せないんだ。明日なら手が空く。すまないが、明日の午前にまた役所を訪ねてくれないかな。手紙はその時に受け取るよ」

ゼイランは申し訳なさそうにフウマに言った。


「分かりました! どうもありがとう!」

フウマは元気よく返事をした。まるで生前の祖父と話しているようで安心した。


「ではまた明日」

ゼイランはフウマの頭をポンポンと叩いて、足早に去っていった。


「ガラ、ありがとな! おかげでうまいこといったよ! いい人だったな!」

フウマはとても嬉しそうにガラに言う。今にも飛びつきそうな勢いだ。


「ん。よかったな」

ガラは素っ気なく返事をした。


「よ~し! じゃあお祭りを楽しもう! さっき聞いたけど、今日は初日だから花火上がるんだって!」


「それは楽しみだな! こんなに大きい街の花火……! きっと派手だろうな!」

フウマとルーシェルは手を取り合って大はしゃぎだ。


三人はお祭りを堪能しようと踵を返した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ