ラーメン屋の知り合い遭遇率は異常
サブタイトルは楽しんで良いと某銀色の魂アニメで学びました
狭間木高校の生徒は、ある条件を満たせば土日に限り地上へ出る事を許可されている。
生徒の居場所を常監視する為に作られたリストバンドを身につけることと、最低二人以上での行動だ。
親しい生徒がいない者には、教師などが引率として付き添うこともある。
「淳はさ、結局何がしたいの?」
「ん、何がしたいって、何で?」
「いや―――神崩し入ってさ、何の為に戦いたいとか。例えば俺は、好きな漫画とかを自分の神形で広めたいわけよ」
「特にって感じ―――両親と姉さん入ってるから、追いかけてるみたいな。本気で何か動機がある人に失礼かも知れないけど、こんなもん」
本屋にて、漫画本を大量に駕籠へと入れる矢津に、漠然と歩鹿乃は応える。
矢津俊典―――歩鹿乃とは中学時代からの仲で、歩鹿乃が隠し事無しで話せる数少ない友人だ。
「目標なんて人それぞれで、失礼とかないでしょ。男と生まれたからには誰でも一生に一度は夢見る地上最強の男になりたい人も、最初っから誰も天に立ってないからって自分が天に立ちたい人も、親と姉に付いてきたい人も。皆んな変わらんのよ」
百合系の漫画を手に取りながら、何処かで聞いた様な特徴を矢津は真剣な顔で語る。
「いや、スケールが違うでしょ」
「それね」
中身があるのか無いのかよく分からない会話をしながらも矢津は漫画合計32冊を購入。
本屋を後にする。
「ご飯何処がいい?」
「淳は?」
「おれラーメン」
「決定じゃん」
即座に次の目的地を決めて、足を向ける。
「神崩し入ったら、何処まで行きたい?」
「何処までって、また主語がないから」
「へいへい、階級だよ」
「階級………上級三くらいが理想」
「結構上なんね」
神崩しの隊兵には、階級が存在する。
一番下から、下等兵、中等兵、上等兵、そこからさらに、上級十等兵から上級一等兵までと、頂点には副総長、総長と分けられている。
階級によって、給料が違ったり、得られる情報の差があったり。
そして、向かう任務の危険度が違ったりする。
任務の危険度は当然として、多くの者が昇進する理由としては、情報が強い。
階級2つ違えば違う生き物。
実力などを見てよく言われる言葉だが、それを表すかの様に、神崩しでは隊兵の情報を秘匿する場合が存在する。
自分より下の階級の隊兵ならばいつでも情報を調べられるが―――上の階級は、例外を除いて2つ上までしか調べられない。
つまり、上級一等兵以下は親族を除いて総長の名も顔も知らぬのだ。
「はい到着。ここの豚骨美味いんだ」
「へえ、来たことない」
暫く歩いて到着した店の暖簾を潜り、席について直ぐに2人同じ豚骨ラーメンを頼む。
すると、それを驚いた様に見る人物1人。
ラーメン屋には似合わない軍を彷彿とさせる城を基調とした制服に、腰まで伸びる淡い紫の髪。
「あ―――淳」
「あ―――姉さん」
ラーメン屋にて、姉弟偶然の合流である。
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