061 以神伝神
今、私は自由だ。
体は宙に浮き、意識は肉体を離れて虚空に舞い上がっている。思考は何ものにも囚われず、どーでもいいことを考えているのだ。例えばそう。べきって言葉は不思議だよね、とかさ。
なになにするべき! そうするべき! なんでべきなの? これを別の言葉に置き換えてみたらどうなる? そうだなぁ……なり、なんてどうかな?
なになにするなり! そうするなり! だははっ、かわいい! こっちの方が断然いいよ。
なーんて感じで。ほんと、どーでもいーことに時を無駄遣いしているのです。
「あー、首刈様またねむりんこしてるー」
「だらしない寝相ね。放谷、さっさと起こしなさいよ」
「おー、その前に顔に落書きでもするかー」
おいやめろ。皇大神だぞ私は。この楓露の最高神が健やかにお昼時の惰眠を貪っているというのに、どうして邪魔をするのか。どっかの国ではお昼寝が推奨されてすらいるんだ。こうなったら神旨を下して、大嶋にお昼寝法案を通しちゃうぞ。
「おい首刈ー。おきろー」
「んむっ、やだぁ……」
「起きないと顔に落書きだぞー」
「身の程を……弁えろー」
ゲシッ――。
「痛っ! ちょ、なんで蹴っ飛ばした!?」
「貴女がぐずって起きないからでしょ」
「いいじゃんお昼寝くらい! てゆーか皇大神を蹴っ飛ばすな!」
「はいはい。さっさと寝乱れた着付けとアホの子みたいな寝癖を直す。出かけるわよ」
「出かける? どこへ?」
「……あっきれた。ならいいよっ、置いて行くからね!」
「えー? どっか行く予定なんてあったっ……けたたた! あったぁ!! ちょっと待って! 直ぐに行くからっ! ちょっと待ってってばぁ!!」
「首刈様はのんびりんこなの。斑良はお外で待ってるねー」
無情に去る神々。
私は慌てて跳び起き、身なりを整え、転がるように寝間を飛び出した。昼日中の陽射しに輝く杜を前に、縁側に立って手櫛で寝癖を直せば、頭皮への刺激が段々とぼやけた頭をはっきりさせる。
昨夕、霊猫神社に着いた私たちは参拝の後、客棟に通されて人心地ついた。それから手筈通り茅の輪を開いてジーノスたちを招き、本殿へ移って歓待の夕餐。
御神座に設えた席は梅の花も香る春の一席。愛発姫のお孫さんの一人、あーちゃんこと綾目ちゃんが染め上げたという座卓の絹布は五色の葉に八色の花々。子供らしい原色の着彩は所々柄をはみ出していたけど、とっても華やかで場を彩るに相応しいものだった。
並んだ料理はどれも色彩に富んでいて、密林の珍味に舌を震わせた。特徴的なのは珈琲の香り付けをした料理が多かったこと。そこはさすが、地球でも高級品と賞されるコピ・ルアクを生み出す麝香猫と言ったところか。
見たこともないような木の実や果物。神域の小川で獲れるというお魚。レブのお店で頂いたような、詰め物をした鳥の丸焼きなんかも並べられた。そして極めつけは昆虫料理。これにはウヘッとなったものの、これから巨虫の群と相対することを思えば、平らげずしてなんとする。そんな気概で挙って食べた。しかも食べてみれば美味しいのだこれが。
座がお開きになるとその日は三々五々、客棟で一寝入り。お風呂がないのは残念だったけど、小川の上流にある水浴びの池で沐浴をしてさっぱり。あとは薄掛けを引いてスヤスヤと眠るだけ。
そして本日。
本当は朝餉を頂いたら直ぐにも大地の亀裂へ向かって調査の予定だったんだけど、そこでジーノスたちから進言があった。
曰く、亀裂の最寄りである霊猫神社には何らかの資料が残されているのではないか、と言うのだ。言われてみればさもありなん。話を振れば愛発姫も蔵を調べてみましょうと書庫殿を開いてくれた。で、午前中は調べ物をして調査は午後からという運びになったのだ。
当然私も手伝った。手伝ったんだけど古文書とか達筆過ぎて読むに読めない訳ですよ。段々頭が痛くなってきて、休憩がてらお昼寝をしていたという次第。
とにもかくにも午後は現地で調査開始だ。寝ぼけ頭に目的を取り戻した私は廻廊をたったか走った。そうして拝殿前の舞台でみんなと合流。
「お待たせしましたぁ!」
「遅い!」
「そんなに怒んないでよ。あ、寝癖ちゃんと直ってる?」
「どーでもいいでしょ」
「ちょ、夕星が直せって言ったんじゃん」
夕星に叱られる姿を小さ神が見ているのだから、本当に立つ瀬がない。と、そこへ脇に控えていたジーノスたちが寄って来た。
「あ、調べ物! どうだった?」
「まだざっくりと調べただけですが、過去に大地の亀裂の崩落状況を記録した資料が幾つか出てきました。こちらです」
古びた古文書を広げてジーノスが示したのは大地の亀裂の絵図面だ。
「ここに一四五紀とあります。他にも同様の資料がありまして、最も古いもので一三〇紀。間に抜けもありましたが、この間百年毎に崩落の記録を書き留めていたことが分かりました」
今が一五一紀だから二千百年前から六百年前までの記録があるということになる。愛発姫によると六百年前は三代遡るそうで、自身の記憶としては記録に関する覚えがないとのことだった。
「なるほど。じゃあ今日は最新の一四五紀の資料にある崩落箇所を見に行けばいいのかな?」
「最初の足掛かりとしてはそれがいいでしょう。一つの目安になります」
「了解。それじゃあ行ってくるね。その間も調べ物の続きをお願い」
「承知しました」
「あ、それとイビデとカルアミさんにはお孫さんたちのお相手もお願いしたいの。愛発さんも一緒に行っちゃうから、霊猫衆がいるにしても、お客さん自体珍しいから喜ぶと思う」
「お任せ下さい!」
振った途端に目を輝かせてカルアミさんは大乗り気。可愛いものに目のない人だから、下手したら調べ物なんてそっちのけになるかもしれない。隣で苦笑いのイビデが「なんとかしておきます」と小さく笑った。うん、任せた。
「それじゃあ行ってきます」
ジーノスから一四五紀の絵図面を受け取って、私は舞台の縁に駆けて行った。
「みんなー、行くよー!」
合図して飛鳥の御業を紡ぎ、星霊の翼で舞台から羽搏く。鱗粉を散らす蝶のように星霊の曳光を残して、不知火たちの待つ一の鳥居へと神域の宙を舞った。
やがて、一人、二人と居並ぶ兜鎧傀儡の前に着地。私は胡爪鬼の前に降り立った愛発姫に駆け寄り、手ずらから絵図面を渡した。
「この辺りの地理に一番明るいのは愛発さんなので、ここに記されてる崩落箇所まで案内をお願いします」
「お引き受けします」
片側に流れる黒髪を肩口に払って愛発姫は微笑んだ。この女盛りがお婆ちゃんだというのだから、神々というものはとんと見た目では測れない。
「それじゃあみんな。出発前に輪になって、手を繋ぎましょう」
「ちょっと、何を始めるつもりよ?」
「いーからいーから、夕星もほらっ」
兜鎧傀儡の乗り手となる六柱に放谷を加えて七人。手に手を取って輪っかを作った。これをする理由は昨晩にまで遡る。昨夜、私は就寝前にジーノスたちを訪ね、チームワークに関する相談をしたのだ。その上で、出発前にはこれをしようと決めていた。
***
「チームーワーク、ですか」
ジーノスは顎髭を摩りながら意図を探る顔つきになった。
彼らに割り当てられた客棟には私一人で忍んで来たので余人、いやさ余神はいない。
「そう。ほら、神様って大抵のことは自分でしちゃうじゃない? そのせいか周りとの連携には向かない、てゆーかその手の経験に乏しいんだと思うの。でも今回は今で七柱。千軽ちゃんたちが来れば十二柱にもなるから、てんでバラバラじゃどうしようもないと思って。それで相談」
ふむ、と顎を引いて「しかし、神と人とでは」と、渡人らしい線引きをしながらジーノスはイビデとカルアミさんを窺った。それを受けたイビデの発言。
「私たちの場合。パーティの編成は技量、経験に大きな開きがないことや、近接間接といった得物の構成。知識面での得意分野なんかを総合的に見て、初顔合わせのメンバーであってもバランスが取れるように気を付けてます」
「なるほどね。技量や経験は私から夕星までピンキリもいいところだなぁ。得物は御業だから近接間接なんでもござれだよね。知識はどうだろう。その辺はまだちょっと分かんない」
「大まかな目安の内、二つに不安があれば、私たちの場合は組みませんね」
「そうなんだ。じゃあ神々は既に崩壊してるね」
「ですけど相性といったものも大事なのは確かです」
「それは大事だねっ」
即答して意味深にジーノスをチラ見すると、イビデから「やめて!」みたいなアイコンタクトが飛んできた。いいなぁこの感じ。神と渡人がアイコンタクトだよ?
それに熊トーテムの信者と見紛う熊男へ向けられた片恋。これも面白い。イビデは筋肉あるけど背が高いから縦長にシュッとした印象。ジーノスのズンとしたイメージとは好一対だ。朴念仁が察するのが先か。恋愛下手が踏み込むのが先か。神の視点で高みの見物。一つ鞘に収まるようなら、ゆくゆく私の恋路の参考にさせて貰おう。なんてことを思ったてたりする訳ですよ。ぐへへ。
「聞いてますか?」
「ん? 聞いてるよ。続けて」
「はい。相性のいいメンバーは早くから気心を通じてまとまりも連携も短期的に備わります。私たちのように同じメンバーで長く活動するのがこのパターンです。首刈様は相性面はどう見てますか?」
「相性ねー。私と夕星は水と油。とまでは言わないけど、かなり雑に扱われてる。小さ神のみんなはそうだなぁ……。相性というか、タイプで言うと、斑良ちゃんは夕星とおんなじフリーダムタイプ。鉀兜姫は大人しくて素直な感じ。馳哮さんは忠犬型だよね。凄く懐かれてる感じがする。あとは愛発姫。この人は千軽ちゃんの頭を叩くような人だから、どうなのかなあ。お孫さんとの様子を見てると優しい感じもするんだけど。他は、放谷は言うまでもないし、後から来る面々は一先ず置いとく、でいいかな。どう思う?」
返した問いをイビデはジーノスに差し向けた。
「そうですね。俺が見た所と、今聞いた話からすれば、チームを二つの小班に分けるのも手ではあるかと思います。その場合、先ず首刈様と鉀兜姫、そして馳哮姫とで一組。夕星媛と斑良姫、愛発姫とで一組。こう分けます。前者は首刈様が危惧されているような極端な動きにはならない班編成です。対して後者は夕星媛が班長に就くことで抑え役に回る点と、従う二柱が揃ってネコ科の小さ神という点で連携が取れるものと期待できます」
「おお、ブラボー!」
なんて素敵な提案だろうか。私が常々、どう抑えるかと頭を悩ましていた夕星を、逆に抑え役に任命するとは。名軍師爆誕の瞬間である。
「それ、頂き! そっかそっか。班を分けて片っぽ夕星に任せればよかったんだ。さすがジーノス! 頼りになるぅ」
「大したことでは――」
「あー、気が楽になった。手のかかりそうな面子は夕星に丸投げだ!」
「いえ、そういうつもりで言ったのでは……」
シーノスの意図が別にあれど、私にはすっきりさっぱり正に天啓。諸手を挙げて万々歳だ。これだけでも霊猫神社まで来て貰った甲斐があるというもの。と、伸びきった腕を下ろそうとしたところで、聞き役に回っていたカルアミさんと目が合った。
「あ、カルアミさんからも何かあったりします? アドバイス」
「はい。私からは一つだけ」
「お願いします」
魔法使いであり学究者でもあるカルアミさん。御業にも造詣の深い彼女に対して、私は狼トーテムの信徒という身近さにも勝る敬意を抱いていた。なので、可愛いもの大好きという卑近な一面を知ってからも、なんとなく言葉丁寧に接している。
「首刈様には一度、行動を共にする皆様と同調することをお奨めします」
「同調か。基本ですね。最近は新しい御業やら兜鎧傀儡やらですっかり忘れてました」
「はい。同調することで互いに印象を刻むことができますし、それがまた関係を深めて行く切欠にもなると思います」
なるほど納得のご炯眼。確かにそうだ。犬神神社で初めて同調を試みて以来、南風さんの勧めもあって日課のように取り組んできた同調。私、阿呼、放谷、夕星と、四人でいた時には欠かさずやっていたのだけれど、頭数がどっと増えてからはなし崩しになおざりになっていた。
同調は重要だ。それは早々に神余を身に付けるという目的に限らず、互いの波長、星霊を通わせることが立派なコミュニケーションになるからだ。寧ろ万物に宿る星霊こそ、言葉にも勝る万物共通のコミュニケーションツールと言っていい。
「ありがとうございます、カルアミさん。同調のことはここ最近、すっかり頭から抜け落ちてました。だから今のアドバイス、とっても為になりました」
「首刈様のお役に立てたなら、私も嬉しいです」
***
カルアミさんから頂戴した貴重なアドバイスを元に、私は私なりにアレンジした方法で同調を試すことにした。七人が輪になって、隣り合う者同士、手と手を握り合う。
「いい? ここから先は息を合わせて行動することが大切。なので、これからみんなで同調をして、心を一つにするよ」
「おもしろそう!」
ぴょこんと跳ねたのは斑良ちゃん。一方、チラッと馳哮姫を見たのは愛発姫だ。その意を悟った私は、二人の間に立つ鉀兜姫に愛発姫と入れ替わって貰えるよう促した。
「何故ですか!?」
「や、愛発さんと馳哮さんの同調が一番怪しそうだからです」
「にゃむぅ」
そんなに嫌なのかな。馳哮姫の方は寧ろ嬉しそうにしてるのに。これがイヌ科とネコ科の違いなのか。はたまた二人の過去に何かあったのだろうか。ともあれ皇大神の采配だ。愛発姫は渋々ながら馳哮姫の手を取った。それでは始めましょう。
「集中ー! 千軽ちゃんたちが来たらまた全員でやるから、一足先に上手にできるようになっておこう」
全員を見回して、右の放谷、左の夕星に自らの星霊を少しずつ流して行く。
放谷との同調は慣れたものだ。犬神神社以来、散ざっぱら練習したからね。夕星とも赤土で合流してから練習したし、すんなりと交わる。ポルカのように飛んで跳ねる陽気なリズムが心地いい。
「息を整えてー。左右に流した自分の気がぐるっと回って戻って来るようにー」
体操のお兄さんっぽく音頭を取りながら、肺腑一杯に深呼吸。やがて夕星の側から小気味よいサンバのリズムが流れてきた。斑良ちゃんだなと思って、それを更に左の放谷に伝えて行く。この時、私の所で斑良ちゃんのリズムが損なわれないように雑味を絡めず、奇麗に流して行かなくてはならない。これが複数人による同調の妙であり難しさだ。
さぁ、今度は放谷の側から馳哮姫の気が流れてきた。一本調子に反復する元気なリズムは楽器や音楽と言うよりアメリカンクラッカーのようなイメージ。それが放谷の明るい太鼓の拍子に上手く重なって、お囃子のような賑やかさになってきた。そこへ左右からシャンシャンと鈴の音が追い被さる。
あれ? 待って。このイメージってどう考えても鉀兜姫なんだけど……。
「ストーーップ! 一旦やめーっ」
半ば以上。八分九分上手く行っていたのに、愛発姫を飛ばして左右から鉀兜姫の波長が流れ込んできた。これは明らかに呼吸が合っていない証拠だ。
「今、愛発さんの波長より先に鉀兜姫の波長が流れて来ました。愛発さん、もう少し波長を強めて流しましょう。他はいい感じだったから、そのままもう一度ね」
それでは始め、と同調再開。
最初の波は太鼓とポルカ。続いてアメリカンクラッカーとサンバのリズム。そして鈴の音色と、これは……。
おお!? リズムとメロディが併せて流れるこの感じ。タンゴのステップが脳裏を過るその音色は正しくバンドネオン! なんて素敵な愛発姫の波長。
「いい感じ! そのまま続けて。キープしてっ」
ズンチャッ、ズンチャッと私の中で鳴り響く軽快なジャム。パーカッションの刻むリズムにメロディが乗ればどうにも心は踊り出す。興に乗ったらしい斑良ちゃんの波長にはギザ山を棒で擦って鳴らすギロの音まで加わった。
さても頃合いお立会い。ここらでせーの、やってみよう!
「みんな、輪の中心に意識を集めてっ」
演劇の練習でよくやる、輪の中心に一つの感情を集める要領で全員の意識を輪っかの中心に寄せて行く。そこにみんなの星霊を借り受けて異世界の御業を紡ごうという試みだ。上手く行くも行かぬも八卦。私はラララで賑やかなメロディを歌い上げた。
「光ってる! 虹!」
斑良ちゃんの嬉しそうな声。
そう、最初は光だ。常夏を象徴する太陽が燦々と輝いて、滝壺に落ちる水飛沫にサークルレンイボーが結ばれる。無数の生命が響き合うこの世界を、愛する気持ちが増しに増して――ラララ、ラララ、ラララララ。
光の三原色が当たり前の毎日を鮮やかに彩れば、普段は気付き難い幸せがそこかしこに浮かび上がる。ありかとう! どういたしまして! 守りたい日常を私たちの手で守ろうよ――ラララ、ラララ、ラララララ。
蔦は伸び、花は開き、紫暮れの空に星が降る。
放谷の声が重なれば、音痴な夕星も元気一杯ラララララ。
夜を彩る発光虫。明けて煌めく草の露。
馳哮姫は吠えるように、斑良姫は笑うように。声を合わせてラララララ。
陽が高まれば風も立って。鳥たちが舞い、獣たちは走る。
愛発姫の伸びやかな声を鉀兜姫の鈴鳴り声が包むようにラララララ。
いつしか足は軽やかに跳ねて、七柱の輪っかは楽し気に回り始めた。
ラララ、ラララ、ラララララ。
ラララ、ラララ、ラララララ。
「ぃやっほーぅ!! 上出来ぃ!」
結んだ両手を振り上げてパッと離せば、紡ぎ上げた幻想は若草色の霞に溶けて、柔らかなそよ風に攫われて行った。そこへ時節の雨がしとしとと降り始める。
「凄いっす! めちゃくちゃ感動したっす!」
初めて異世界を体験した馳哮姫が興奮気味に駆け寄ってきて、あっという間に私を担ぎ上げた。見れば鉀兜姫も愛発姫も揃って拍手喝采だ。
いやー、我ながらいい仕事をしました。なんと言っても望んだ一体感が今ここに在る。これぞ以心伝心ならぬ以神伝神。この経験を切欠にチームワークで動けるようになったら最高だよね!
「相変わらず首刈の異世界は凄いなー」
「ありがとう。みんなの星霊を借りてのことだから、上手く行ったのもみんなのお蔭だよ。今感じた繋がりを忘れずに、きちんと連携して行こう」
肩車から降ろして貰って、放谷とサムズアップを突き合わせる。得意満面と言うやつです。
「いい具合に思惑通りなんじゃない? 息を合わせるのにこんな手があったなんてね」
やるじゃない。と珍しく夕星も褒めてくれた。まぁ歌に関しては夕星は私のファンだからね。この先も今の調子で持ち上げてくれれば、遠からず野飛の歌を進呈しますよ。
「それじゃあみんな。兜鎧傀儡に乗り込んで出発進行! 先頭は愛発姫でっ」
号令一下、それそれの兜鎧傀儡に乗り込んで、さあ、いよいよ本格的な調査の始まりです。




