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また守れなかった。(アルブレヒト視点)

昨日は投稿できなくてすいません。

仕事が溜まっていたもんで...(言い訳)

予告通り、アルブレヒト視点です。

「クソっ!いったいどこにいるんだ。」

ブルーアイズ王国第二王子は机を殴る。

その顔は明らかにやつれており、目の下にもひどい隈があった。


「無理はよくないよ、アル。最近寝てないそうじゃないか。」


そんなアルブレヒトに話しかけるのはこの国の第一王子だ。

名をリューポルド。民からの信頼が厚く、王位継承権も第一位だ。


「黙れ!僕はもう二度と失うわけにはいかないんだ!」

「我が弟ながら強情だな。あの程度の令嬢ならほかにもいるだろう?」


「リアを愚弄するか。兄といえどそれは許さんぞ。」

アルブレヒトはリューポルドを睨む

その目はまるで飢えた狼のように鋭く、怒りに燃えていた。

「おお、こわいこわい。」


威嚇は通じす、リューポルドは部屋から出て行った。


どうしてこうなったか。

事は一月前にもさかのぼる。



********


あの日はリアの誕生日パーティーだった。

なのに主役のリアはなかなか現れなかった。


「申し訳ありません、アルブレヒト殿下。お恥ずかしながら娘は...その、寝起きが悪くて。メイドがお越しに行っているので、もうそろそろ来るはずです。」


なるほど寝ていたんだね。そして、寝起きが悪いと。

「そうですか。気にしていませんよ。」

そっか。リアは寝起きが悪いんだ。

愛する彼女の新たな一面を知ることができた。


他の貴族に挨拶をしているとリアがまだ少し眠そうな目でやってきた。

「すいません。少し用を思い出しましたので、お話はまたの機会に。」


貴族たちのゴマすり話を無理やり切り上げ、リアの元へ向かう。

「こんばんは、リア。

いつものかわいいけど、今日のリアは一層かわいいよ。」


こういった場で、女性をほめるのは男性のマナーのようなものであり、事実は重要ではない。

今の自分は心の底からかわいいと思っている。

きちんとしたドレスに身を包み、薄くではあるが化粧もしているようだった。

と言いうのも、普段の彼女はワンピースかそれに近いシンプルなドレスしか着ようとしなかった。

だって、動きにくいんですものって言って。


少し話をしただけでどこかへ行ってしまった。

恥ずかしいのだろう。かわいいやつだ。




結局、それ以上話すことはなくパーティーは終わった。

その夜、僕は部屋である知らせを待っていた。

すると、ノックが鳴る。

「殿下、教会から書簡が届いております。」


「確かに受け取った。下がれ。」

書簡を受け取り、従者を下がらせる。

封を切って中身を見る。その内容は予想をはるかに上回るものだった。


「ステータス値オール100だと?!」

そう。この書簡に書かれているのは、紛れもなくアベリア・スカーレットのステータスだった。

アルブレヒトは金と権力を利用し、教会に彼女のステータスを自分に送るように話をつけていたのだ。


「これで僕はリアと婚約できる!」

王子が妃を選ぶ条件は3つ。本人の意思、家柄、そして妃自身のステータスだった。

子供のステータスは親のステータスにある程度依存する。

王族は高ステータスを維持するために高ステータスの相手と結婚する必要があった。


王族であるアルブレヒト自身も例にもれず、生まれつきステータスが100近くある。

だが彼女は違う、スカーレット公爵夫妻のステータスは平均より上程度なのだ。

その娘であるアベリアのステータスが100であるというのは奇跡としか言いようがないものだった。



僕は浮かれていたのだろう。


次の日、僕は自分の愚かさを後悔する。

王城にアベリアが誘拐されたという知らせがあった。

それを聞いた時、心臓が止まるかと思った。


よく考えればあり得る話なのだ。

他の貴族だって跡継ぎにはよい嫁を与えたい。

だから、めぼしい貴族のステータスを自分に横流しにするよう、教会に金を握らせるのだ。

その結果、高いステータスを保持していることが分かれば結構相手の候補に入れる。

しかし、リアの場合は規格外すぎた。そのステータスは王族を超える。多少の無理をしてでも欲しがる貴族が多いだろう。


また僕のせいだ。

何としても探し出さないといけない。



そして、彼女を傷つけたやつを絶対に殺してやる。



*******************


「クソっ!」

捜査は難航していた。

さらった奴らは手練れで、彼女につながるものをほとんど残していかなかったのだ。

捕らえられた者もほとんどは落ちぶれた冒険者たちで、冒険者の報酬にも税金が引かれているというデマで動かされたただったため、彼女の足取りはつかめなかった。


騙されていたとはいえ、こいつらのせいでリアはさらわれた。

処刑以外の選択肢はない。


そうこうしているうちに一月が経ってしまった。

イライラしているとまたノックが鳴る。

「アルブレヒト殿下、エドワードでございます。スカーレット公爵令嬢のことですこしお話が...」

「入れ!」

エドワードは兄上付きの執事だ。

今は兄上から借りて、リアの捜索をさせている。


「スカーレット公爵令嬢の居場所が判明しました。」

「本当か?!どこだ!彼女は無事なのか!」


見つかったをいうのにエドワードの表情は暗い。

おいまさか。うそだろ?



「スカーレット公爵令嬢は死亡しました。」



それは、僕にとって一番聞きたくない言葉だった。


「そんな、そんなわけないだろ?さては、嘘なんだろ!本当のことを言えよ!」

僕は泣いているんだと思う。

リアが雷に撃たれたあの日と同じように。


「事実でございます。隣国のイスカール帝国に存在したある奴隷商の館から発見されました奴隷の遺品に、スカーレット公爵令嬢のものと思われる血痕が見つかりました。」


奴隷商だと?国内の貴族じゃないのか?

だが、今はそんなことどうでもいい。


「その商人を連れてこい!口を割るまで拷問する!」


「いけません殿下。そのようなことをなされては外交問題になりますぞ。それに、もうその商人はこの世におりません。」


怒り狂う僕をなだめるためか、エドワードはゆっくりと真実を語る。

その話し方に僕も少し落ち着きを取り戻した。


「どういうことだ。」

「何者かによって奴隷商は襲われ、館は全焼しました。地下牢につながれていた奴隷たちは無事でしたが、奴隷商やその護衛は死体すら残っていませんでした。」


僕は違和感を感じた。


「死体がないならなぜ死んだといえるんだ。それにほかの奴隷たちが無事なのになぜリアがいない。」

エドワード目を伏せて答える。


「死体はありませんでしたが、大量の血痕が残されていました。あの出血量ではまず助からないかと...。奴隷たちの件に関しては、おそらく貴族の奴隷であるスカーレット公爵令嬢はほかの奴隷とは違い、ある程度丁寧に扱われたんでしょう。」


「その結果、巻き込まれた...と。...もうよい。下がれ。」

「それでは、失礼します。」


あぁ、まただ。また守れなかった。

あの時、僕がリアを守ると誓ったのに何もできずに死んでしまった。

もう二度と会えない。


今、僕はどんな顔をしているだろう。


リアがいないなら、こんな自分も、こんな国も、こんな世界も。




もうどうでもいいや。壊れてしまえ。

読んでくれてありがとう。


男のほうが感情移入しやすい気がするのはなんでなんだろうね。

王子様がどんどん闇に落ちていく。

そろそろメインの新キャラ出したいなぁ。

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