あれから数年後・・・
はい、連投になります。
まだ先に挙げたのを読んでない方は、そちらからどうぞ。
あれから数年の年月が過ぎ・・・
とある冒険者ギルド内の酒場 時刻：南天
「あぁ～もうやってられねぇ～！」
そう言って、横にあった椅子を蹴りながらエールを煽る一人の冒険者
「どうしたんだ？」
と、このギルドでよく顔御合わせる馴染みの冒険者の一人が隣に座ってきた。
「うち馬鹿族【馬鹿＋家族】共、
ギルドに貯蓄していた新しい装備用の有り金を全部持って行きやがった！」
「はぁ！？ちょっとまて、どうやって持っていくってんだ？
本人しか出せないだろ？」
「どこからか正規の委任状を手に入れて、それを信じた受付が全部渡したんだよ！
その後の補填も無し！裏でギルドと繋がっているとしか思えん！」
そう声を荒らげて、カウンターを拳で叩いた。
「マジかよ・・・。」
本来ならギルド側の確認ミスで出るはずの、補填金が発行されなかったのである。
【もちろんギルド側のミスを隠すためである】
「今後の依頼受けるのにも支障が出るし、
今の装備状態で採取のみとか無謀だぞ・・・
馬鹿族のせいで、剣や鎧も修理に出せない。
それにこう公言しやがった！」
「なんて言ったんだ？おめ～の家族。」
「『あんたは、私達二人の奴隷だ。家族の世話をするのが当たり前だろ！
一体誰のおかげでここまで大きくなれたと思ってるんだい！』と、
まあこう言いやがった。
今はもう居ない祖母に育てられた覚えはあるが、母親に育てられた覚えは無い！
まあ、あの馬鹿族含めてだが・・・、勝手に転移でこの世界に連れてこられて、
なれない土地で頑張ってるのにだ。
よくこちらに来てから、１年も見つからずに居る事ができたのが不思議さ。
転移後の状況対応できたのは俺だけ。
あの足で纏い二人は俺に寄生してグータラ生活だ！
そして俺が上位ランクに上がるために稼いだ装備費用も、
自分たちの娯楽と借金返済に使うと来た・・・
未だにこの世界は、現実とは違うと思っていやがる！」
「お前さん良くそれで生きてこれたな・・・」
「本当に良く、今まで生き抜けてこれたって思うよ。
しかもアイツ等の酷い所は・・・これを見てくれ・・・」
胸元の焼印を見せた。
「マジかよ！？そんな事までしやがったのか！？
幾ら家族でも、それはやったら駄目だろ。」
「あぁ・・・コッソリ俺の食事に薬入れ込んで眠らせて、
翌朝起きたら胸元にコレだよ。
僅かに残っていた馬鹿族への信用と信頼もコレで消え失せたよ。」
そこに押されていた焼印は、隷属印の焼印だった。
「護衛依頼や、討伐依頼でもやらなきゃ厳しいのに、
採取探索だけだぜ・・・此れの制約のせいで・・・
採取探索だけで上位ランクに上がれとも言って来やがる！」
「そりゃ無理だろ！？採取探索だけじゃあ、何年かかると！？」
「それが判ってないんだよ。現場の事なんて理解もしない。
自分達の懐に入る金銭と俺という道具が壊れなければ良いって考えなのさ。
エール追加ぁ～！」
そう言った後、二杯目のエールを頼むのだった。
「ちなみに、偶然としか言えないんだろうがな・・・
この隷属の焼印を押した奴に会えたんだ・・・
だけどな、これ死なね～と消えない種類の隷属印らしいんだわ。」
「ちょっと待て！？死なないと消えないって・・・
例えばだが抉り取ってもか・・・」
「焼印を押す際に、特殊な魔法薬と染料を使う事でそうなるらしい・・・
しかも自殺防止機能付きだとよｗ笑えちまうぜ！」
「いや、笑えねぇ～よ！？」
そしてお互いエールに口を付け、
「まあ、ギルドの１ランク上の依頼を受ける事が出来る仕組みを利用してな、
Ｃランクの採取を受ける予定だ。」
「その装備でか！？危険すぎる！」
その言葉に驚いた周りが一瞬静かになった。
「本来なら例の件でギルドが補填金をしなければ行けないはずが、
それをしなかったんだ。補填金があればもう少しマシだったんだがな・・・」
「だがそれでも・・・、危険すぎるだろ。」
「まあ場所は近場のヴェルハインド山だが、死ぬことは無いだろｗ
それにこの町のすぐ北側にある山だしな、
余程めぐり合わせが悪くない限りは大丈夫だよｗ」
「まあ、彼処なら何かあっても直ぐに帰っては来れるか・・・」
「明日、行く予定だ。戻ってきたらエールぐらい奢ってくれよｗ」
「エールじゃなく、刹那の闇夜亭の一番高い飯でも奢ってやるさｗ」
「ありがとよｗ」
「念の為知り合いになった鍛冶師に、装備の発注しておくか。
成功報酬と分割払いで行けるように、頼み込んでおくとして・・・
初心者セット安く売ってもらわないと・・・な・・・」
半月後の冒険者ギルド内にて・・・ 時刻：西降
「そういえば、あれからあの転移者の兄ちゃん見てないが・・・
どうしてるか知らないか？」
と、エールを飲みながらギルド内のバーにいるバーテンダーに聞いていると・・・
自分の背中側から、とある女性冒険者に声をかけられた。
「アンタ、アイツの知り合いかい？アイツなら山で採取中に亡くなったよ・・・」
「亡くなったって・・・え？
なんで採取のはずなのに、死ななきゃならないんだ！？」
「出された依頼の場所にたどり着いて、採取していたまではよかったんだ・・・
あんなのが現れるまではね！」
「い・・・一体、何が現れたって言うんだ？」
「アンデッドナイト・・・しかも黒のアンデッドナイトだ・・・」
それを聞き、思わず口に含んだエールを吹き出してしまった。
「な・・・なんで東側のヴェルハインド山にそんな上位のアンデッドナイトが！？
なんで逃げなかったんだ彼奴は！！」
「アタシのパーティーもあの子と同じ依頼を受けたんだけどね。
あの子からどういう事情が有るのかは聞いたさ・・・、
アタシらを逃がすためにあんな装備で殿に出てね。」
「だったら、何で死ななきゃ・・・まさか・・・」
「そのまさかだよ。
アイツに付けられた隷属紋は死なないと・・・
消えない種類だってね・・・。」
「だがアイツ・・・、自殺はできないって・・・」
「自殺は出来なくても、死の相手が自然災害や、怪物相手だったらどうなる？
その時点で、自然災害による事故死、
怪物相手による戦闘死になるから自殺ではなくなるさね。」
「まさか、それを狙ってＣランク依頼を受けたのかアイツは・・・」
「こう言ったら、アイツへの冒涜になるかも知れないけど、
奴を見た瞬間、柔らかな笑顔だったよ、ようやく自由になれたんだよ。
依頼に関しては純粋に、美味しい仕事だと思っていたみたいでね、
黒のアンデッドナイトに関しては、天の配剤に見えちまったんだろうさ。」
「そうか、東のヴェルハインド山はギルドに通達して、
暫く封鎖してもらわね～とな。」
「ん？ヴェルハインド山は北だろ？依頼書にもそう書いてあったぞ？」
「はぁ？ヴェルハインド山は東だぞ！？北にあるのは、
名前のよく似たヴィルバインド山だぞ！？」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「「ギルドの依頼受付係は何処だ～～～～！！」」
月明かりの指すとある日のヴィルバインド山 時刻：夜天
『あれ？俺、なんで生きてんだ？あの時アンデットナイトに刺されて・・・
あぁ～もしかして、この手ではよくあるアンデッド化したのかｗ
って、さっきからカタカタカチャカチャ音が五月蝿いな・・・
確か水辺が近くにあったはず・・・、行ってみるか。」
仰向けの体制から立ち上がり不安定な足取りで、
月明かりに照らし返される水辺までたどり着き、
『アハハハハｗ通りでカタカタカチャカチャと音が五月蝿いわけだｗ
スケルトンになってやがるｗでも剣や鎧は生前の身につけてるから・・・
さしずめスケルトンソルジャーか？」
『それにしても、なんでアンデッドに？
もしかして剣をされた時に、暗黒神ファ〇リスに祈ったからか？
まあ、破壊神カー〇ィス辺りだとゾンビとかになってそうだしな・・・』
辺りを見回して気配が無い事を確認し、その場で仰向けに倒れ込んだ。
『あぁ～・・・これで陽光浴びたら灰になるとかだったらマシなんだけど。
陽光耐性なんて付いていよう物なら、念話の技能とか欲しくなるよな。
まあ、隷属印は無くなってるみたいだし・・・
・・・ん？まて？今スケルトンソルジャーなんだよな？生前の装備付けた？
骨になるまで放置されてたってことか！？」
ちょっと落ち着いて考えれば直ぐに分かることだった。
『まあ、アンデッドナイトの居る山なんて怖くて来んわなｗ
・・・まて？今は俺がいるから・・・？
ハァ～・・・、まあアンデッドに成ってしまったものは仕方ないか。
暫くはこの山を拠点に、冒険者達や教会関係に見つからないように、
生活するしかないか。』
そしてスケルトンソルジャーになった冒険者の第二の人生？が始まる。
主人公ステータス
種族：骨人剣士
加護：異世界の暗黒神（ファ〇リス）の加護
職業：商人ＬＶ２ 物語を紡者ＬＶ１ 探索者ＬＶ２ 冒険者ＬＶ２
技能：相互言語理解ＬＶー 交渉ＬＶ２ 物書きＬＶ１ 料理ＬＶ２
気配遮断ＬＶ３ 気配察知ＬＶ３ 薬草学ＬＶ４ 陽光耐性ＬＶ１
嗅覚強化ＬＶ３ 聴覚強化ＬＶ３ 聞き耳ＬＶ３ 薬品作成ＬＶ２
」
はい、短編で上げた物に加筆修正加えたものになります。
一応次話もある程度書いた物もあるのですが、
虫食い状態といってもいいです。
なので次のお話はいつになるかは不明です＾＾；
先にメイン【政秀さん】の方、をできれば完結までもっていきたいという願望？があるので＾＾；
こちら『とある転移系冒険者の苦悩・・・』を楽しみにされている方・・・【居るのかな？】
できれば・・・できれば気長にお待ちいただきますようおべがい致します。
