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随分間が空いてしまいました…何度も書き直してどうすれば心情が伝わるかな…と。

ちょっとした空き時間に楽しんでいただけると嬉しいです。


「それは私が連れて来たからだ、以前騎士団の食事に興味を持っていたからな」


 後ろに食事の載ったトレイを持っている騎士二人を連れて、王子サマが帰ってきてリュカさんにそう説明した。


「そうでしたか…。お久しぶりです、愛し子様。お元気そうで何よりです」

「リュカさんご無沙汰してます、元気ですよ!今、仕事もしているんですよ」

「私の書類仕事を補佐してもらっている」


 トレイを持ってきた騎士たちは私と王子サマの前にトレイを置いて礼をして去っていく。私もちょこんと頭を下げたら、二人の騎士は嬉しそうに笑って他の騎士たちの元に戻り、そしてもみくちゃにされていた。


「そうですか、愛し子様は何かできることをしたいと仰っていましたから、それは良かったですね」


 ニッコリ笑うリュカさんはなんというかほのぼのする雰囲気を持つ美形さんだ。食事を終えたらしいリュカさんは、少し話をしただけで去っていってしまった。もう少し話をしたかったけど、忙しいだろう護衛騎士をあまり拘束もできないし、なにより目の前に座る王子サマの機嫌が悪くなりそうだった。

 王子サマに食事を用意してくれた事に礼をいい、「いただきます」と言ってからトレイに乗せられた食事をまじまじと見る。おいしそう、盛り付けも上品なんだけど品数も量も多い、そして王子サマのトレイをみると…肉が多い。やっぱり体動かす職業だからなのかな?私は元々肉をあまり食べなかったのだけど、こっちに来て苦手になった。

 なんかね、現世より肉全体的に獣臭くてかたいの。ここでは肉は飼育するのではなくどちらかというと狩るものだ。当然野生の獣なのだからその違いもあるのかな。まぁ肉質がどうとか追及して飼育しているお肉とはやっぱり違うだろう。子供舌を持つ私の口には合わないのでそれ以来食べていない。まぁ別にそこまで肉スキーでもないので、ないなら無いで困らない。

 肉が苦手な私の分はそれ以外のメニューや野菜や果物が多めに盛られている、そしてはたと気づいた。王子サマは私の食の好みまでちゃんと知ってるんだという事、でも私は王子サマの好みなんて全然知らない。私、意識的にこの人の事知ろうとしたことなかったもんな。

相手がいい人だとか認識してしまうと、そんないい人に迷惑かけたらとか、私の事でいやな気持ちになってないかとか、以前の私は自分のせいじゃないことを自分のせいにして罪悪感でがんじがらめになってた。その罪悪感を利用されて、散々いやな目にもあった。


 王子サマは愛し子である私を囲い込む為に好意を示してると考えて、警戒している。ほだされちゃいけないってそれは今でも思ってる。こんな夢の世界でまで搾取されてたまるもんか。

 意識的に見ないようにしていた部分を認識してしまった事に、後悔を感じながら食事をしていると王子サマと目があう。


「うちの屋敷の食事も美味しいですが、ここの食堂もなかなかでしょう?」

「うん、美味しい。連れてきてくれてありがとう」

「ふふ、そうですか。ナツが喜んでくれて良かった」


 …やばいなんだか罪悪感を感じてきた。良くない兆候だと思う。影で色々と私のためにしてくれてるのに、こんな態度でいいのかとかいう考えが浮かんでくる。これがそもそも間違いだと思う。色々してるのは、私のためという大義名分で、それは王子サマ自身のために王子サマが自分の意思でやっていることだ。だから私がそれに対して罪悪感を感じる必要は本来無いはず。

 ふるふると軽く頭を左右に振って、軽く深呼吸をする。そうだ、間違えるな。


「どうかしましたか?具合でも悪いのですか」

「ううん、初めての経験ばっかりでちょっといっぱいいっぱいだっただけ」

「少し休みますか?騎士団の私の執務室でよければ…」

「いや、まだ仕事残ってるから」

「いいですよ、今日の予定分は午前中で終ってしまいましたし、騎士団に来たついでに午後の訓練も見学していきませんか?前に見たいと言っていたでしょう?」

「そうだけど…。王子サマ前は『あれもダメこれもダメ』で取り付く島もなかったのに」

「そうでしたね、そのせいでナツには嫌われてしまいましたしね」


 なんて答えたらいいのか困るような返しをしないで欲しいな。


「雇い主の私がいいというのですから、今日はもう仕事は終わりという事にして、せっかくですので騎士団の見学をしませんか?滅多に見られるものじゃありませんよ」

「まぁ…王子サマがそれでいいならいいけど。前倒しに書類終らせた方が期間が短くて安く済むよ?」


 今回は目安で3日の予定は入れていたけど、もし2日で終れば2日分の依頼金で済む。私は1日単位でしか仕事を請けないようにしているからだ。


「ナツはそんな心配しなくていいんですよ、できることなら独占して依頼したいところなんですが…」

「使うべきところにお金使ってください、経費ケチるのも良くないけど、無駄な出費はしたらダメでしょ。だから私の事での無駄遣いもやめて」

「ナツがそういうのでしたら」


 美味しく昼食を頂いた後は、騎士団の中を見学させて貰った。一つ忘れていたが、私はまだ室内履きだった。という事は移動はやはり…王子サマに抱きかかえられてだった。騎士団の人達の驚きと生暖かい視線が痛い。でもあんまり痛すぎて一周まわってどうでも良くなってきた。好きに思っててくれ。


 そっと宝物でも抱いて運ぶような、大切にされている感がありありのこの雰囲気も辛い。

あと私結構重いので、その辺りも申し訳なく思うけど王子サマは別に無理している感じはしない。まぁ、長身細身だけどもの凄く筋肉付いてるし…、服越しの体の硬い感じが騎士としての鍛錬の成果を物語っている。この世界の人は皆力持ちなんだな~くらいに思っておこう。

 

 移動しつつ、見えるものを説明してくれる王子サマの話を聞きながら、楽しそうな表情で生き生きと語る彼の表情と、ふわふわしているカフェオレみたいな色の髪が揺れるのを見て、「人懐っこい大型犬みたいだな」と思ってしまった。以前の王子サマに対する印象とだいぶ違っているので、本当に私が飛び出してから何があったのかなと不思議に思う。あんなに束縛も酷かったのに…最初からこうだったらもっといい関係築けたのかな…。いやいや、何考えてんだ、しっかりしろ。


 午後の鍛錬が始まるというので訓練場の端にある見学席のようなところに運ばれ、そっと下ろされた。

そこは誰かが設えてくれたのだろう日よけやクッション、さらにはお茶の用意までされていた。聞くと不定期ではあるが貴族相手に訓練の公開なども行っているため、このような準備も出来るとの事だった。

本当だろうな?無理いって用意させたものではあるまいな?


 訓練は実戦さながらで、あまりそういうものを見慣れていない私にはちょっと恐怖を感じるものだった。剣は刃を潰してあるとはいえ、当たれば相当なダメージを負うだろうし、ちょっとした言い争いも珍しく、暴力沙汰なんてニュースの中の出来事、くらい平和ボケした私には充分怖かった。なにより人が痛いのも自分が痛いのも大嫌いなのだ。新人騎士らしい人が歴戦の騎士っぽい人に吹っ飛ばされてるのを見て思わず目を覆ってしまう。


「大丈夫ですか?」

「私より、吹っ飛ばされた騎士さんが大丈夫なのか心配してあげて」


恐る恐る覆った指の間から薄目で訓練場を見ると、よろよろと何とか自力で起き上がっている新人騎士。防具つけてたってそりゃ痛いよね…。


「大丈夫ですよ、あれぐらい普通の訓練です」

「騎士として使い物になる前に体壊してたら意味ないよ」

「それぐらいでどうにかなるようなら騎士は務まらないですよ」


そういうものなのか…。

心を亡くすと書いて忙しいですが、まさにそんな感じで桜が咲いてることにすら気づきませんでした。

気づいた時には遅く、雨と風で少し散ってしまっていた桜を昨日なんとか見に行く事ができました。とはいえ散歩がてら川沿いの公園のベンチで座ってただけですが。(花見という宴会はしてない)

一番好きな花なんですが、昔は咲く前からわくわくして何時咲くのかと見守る余裕もあったのに

今年はなんという体たらく。こうやっていろんな事に鈍感になっていくのかな、とちょっと怖いですね。

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