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…忘れられてますよね~、すみません。
あと感想くださった方ありがとうございます!生き返りました!
現実では鮮度の落ちた鯖みたいな目をしていますが、まだ完全には逝っておりません。
頑張りたいと思います。
サラが気がついた後、興奮冷めやらぬ彼女を連れてヴィクトル達は一度帰っていった。
その後、商会より頼まれたという職人が来て建物の改築をすると言い出した。
どうやら私が住むには粗末過ぎるというサラの心遣いが暴走した結果だったようで、可愛い娘のいう事には逆らえない父親というのは世界が変わったとしてもテンプレなんだなぁと変に感心したものだ。
一応サラとヴィクトル一行には、ここに私がいる事を口止めしたのだが、この調子だとサラの父親にはバレてる気がする。ああ、うん、してる、絶対。
だってそうじゃなきゃ、どうして女物の服の仕立てまで寄付の名目で入ってるのさ!
ありがたいけどね、私の元の世界の服はやっぱり目立つし。
一応クリスティーナが古着を買ってきてくれたのでそれを着てるけど、こっちの人って西洋人ベースだから皆背が高くて手足がながい。
賢明な読者は分かるね?微妙にサイズが合わないんだよ、袖とか丈とかウエストとか胸とかな!!
ってか全部だな!!!
改築にはさらに増築も加えられて、なんとお風呂を作るという大工事に…。
これでサラの父親にバレてないと思うのは、鈍感系主人公だけだと思う。
でも子供たちは喜んでるし、私も確かに嬉しいけどね。駄目だ、考えるな、考えちゃ駄目だ。
給金を弾んでもらい、更には所謂聖地の工事に携わる人たちもモチベーションが高いためか、かの世界に匹敵する勢いで工事がすすめられていく。
工事の人がいるから、更に私は部屋から出れなくなってちょっとだけストレスがたまる。
サラが失神したあの日、私はヴィクトル達の国に行くことは可能かと彼に聞いた。
「…可能だと考えます。ですがこの国が愛し子様を手放すとは考えられません」
「そりゃそうよね、国益が逃げちゃうんだもん」
「愛し子様に対する気持ちは…この国に縁のある者からすれば本能のようなものです。愛し子様が望まれるのであれば…」
「いや、ヴィクトル達に迷惑かけるつもりはないんだ。ただそっちの国に行ったらもう少し自由かな~って」
「自由…ですか…そんな不自由な生活を強いられていたのですか、問題ですね」
ヴィクトルの眉間にシワ!美少年がなんて顔を!
「違う違う!衣食住はもうこれでもかって程贅沢過ぎてこっちが恐縮するほどでね!ただ、私は庶民としてもっと自由に暮らしてたから、貴族に準じた生活が息苦しくてさ。庶民として暮らしたいんだよ本当は」
「庶民、ですか?愛し子様それは」
「無理だよねぇ、周りがほっとかないだろうし」
「そうですね…それはどこの国に行っても難しいと思われます」
「ヴィクトル達に着いてったら多分国家間の問題にもなりかねないし、かといって一人旅は」
「危険なので絶対におやめください」
美少年が食い気味にせりふを被せてきた。
やりかねないと思われてるのかなと考えつつ、周囲への影響を考えるに王子サマの庇護の下にいるのが一番無難だという事を悔しいけど実感させられる。
「後見人である第四王子殿は…愛し子様の悩みをご存知なのでしょうか」
「庶民として暮らしたいというのは知ってる、実現は難しいって事は私も理解してるから、王子サマを責めないでやってよ。私の暮らしやすいように最大限配慮はしてくれてるんだ、一応」
「それならばどうして愛し子様はこの孤児院にいらっしゃるのですか?」
真剣な表情のヴィクトルは、不誠実な対応を許さないという怒りに満ちている。
「…あ~、うーん。大人の事情?ちょっとね」
「それは、第四王子殿の元にいられない事情があったという事ですね」
「まぁ、そうなんだけど、私も良くなかったかな~、今王子サマとケンカ中なんだよね」
「ケンカ…ですか。では愛し子様は、第四王子殿の元に居たくなかったのですか」
「うん…色々なんてゆーか、主に女子的な意味で」
「女子的?仰る意味が良く分かりませんが、愛し子様に不安を感じさせる環境というのは問題です」
「お互い頭冷やしてる最中と思ってくれたらいいよ。今後どうするかはまだ決めてないけど、暫くこの孤児院にやっかいになる予定。滞在中は良かったらまた遊びにきてよ」
「…ありがとうございます。勿体無いお言葉です。必ずお役に立って見せます」
「いやいや~、こちらこそ話聞いて貰えただけでも助かったよ~」
なんか引っかかる発言があったけど、不用意に突っ込んだらやぶへびな気がした。
現在、工事の職人に見られないように建物の中に引きこもっている私のところには、サラのお家で雇っているという仕立て人が来ていた。例の女性用の仕立ての名目の寄付である。
貴族の仕立てをする事もあるという彼女達は、顔をベールで隠した私の姿にも動じずテキパキと採寸をしていく。
「ご尊顔を拝見するわけにはいかない、貴族の方の採寸にはよく使用される手段なんですのよ」
採寸が終った後、すぐに仕立て人達は服を作るために帰り、今はサラとヴィクトルが孤児院に残っている。家庭教師からは得られない情報を、彼女は私に与えてくれるのがとてもありがたい。
暫く顔を見せなかった間に、二人は私が保護された領地に観光に行っていたらしい。
「わぁ!美味しそうなジャム!!」
「かの領地は果物を加工した特産品も有名ですものね、喜んでいただけて光栄ですわ」
甘味は高級なものだと聞いたのだが、サラのお家は本当にお金持ちなんだな。
「もうすぐ工事も終りますし、良かったですわ」
「びっくりするぐらい早かったよね…それに大掛かりな工事になっちゃって。支払いとか本当に大丈夫なの?いくらなんでも無理しすぎなんじゃ…」
「いいんですのよ、愛し子様の為になんて名誉な事ですもの。それに商人ですから自分に損になるような事はいたしませんわよ」
サラ達とのんびりお茶をしていると、自分が追われている事を忘れてしまいそうになる。
でもいつか見つかるかも知れないとビクビクもしている。
サラがお花を詰みに席を立ってしばらくすると、それまで沈黙を保っていたヴィクトルが口を開いた。
「愛し子様、これからどうするかもう決められたのでしょうか」
「まだ決められてないんだよね。情けないけど、この国を出ても結局は誰かの庇護を受けないと生活もままならないし」
「そうですね…、どこに居ても庶民として生活するのは難しいです。しかしこの国で、王家の手から逃れるのも無理です」
「いっそ冒険者にでもなってやろうかしら~!なんのスキルもないけど!」
この世界には冒険者という職種もある、まぁ魔術師がいるくらいだし、ラノベの世界ならおかしくはない。それに冒険者と言っても何でも屋さんといった方が正しいとは思う。魔物を退治するというような依頼もあるらしい。
「冒険者であれば国家間を移動してもなんの問題もありませんね」
「国を跨いだ冒険者ギルドって奴があるからでしょ?」
「ええ、どこにいてもギルド証明があれば依頼を受ける事ができますし、金銭を得る事もできます」
「ますます、今の私にはうってつけと思えるけど、冒険者になれるようなスキルがなんもないわ」
「あるではありませんか」
「なに言ってんの?なんもないよ」
「愛し子様の守護の力、スキル以外の何だというのですか」
年度末、年度末です。
決算期で毎日死にそうです。
仕事にウエイトおいてたら、プライベートがおろそかになるのは当たり前ですね。
一日は24時間しかなくて、体は一つで、一度に出来る事はそんなに多くない。
全方向に100%完璧とかありえないっすよ、とぼやきたくもなります。
連休ですが何の予定も入れず、ただひたすらHP(体力)の回復とMP(精神力)の回復にいそしんでおりました。
もうおっちゃんだからさ…あちこちガタ来てるんで、あんまこき使わないで欲しいな…。